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天女とお化け(3)

时间: 2022-11-26    进入日语论坛
核心提示: いま、この教会きょうかいからもらったクレオンは、品質ひんしつが上等じょうとうとみえて、赤あかの色いろはまったく鮮紅せん
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 いま、この教会きょうかいからもらったクレオンは、品質ひんしつが上等じょうとうとみえて、赤あかの色いろはまったく鮮紅せんこうだったし、紫むらさきの色いろも、いつか友ともだちの家いえで見みた孔雀くじゃくの羽はねのように光ひかっているし、そして青あおい色いろは、ステンド=グラスをとおして仰あおぐ、あの奥深おくぶかい大空おおぞらのようだったので、彼かれの持もってうまれた創造力そうぞうりょくは、なにをかきあらわしていいか、頭あたまの中なかで、出口でぐちをしきりとさがしたのです。
彼かれは、まず、まざまざと目めにのこっていた孔雀くじゃくをかきました。それとならべて、彼かれには、お化ばけと感かんずる、ひげのはえた丸まるい顔かおをかきました。しかしそれは、人間にんげんの顔かおでありません。目めから火ひを吹ふけば、口くちからも、ちょろちょろと、へびのように、赤あかい舌したを出だしていて、頭あたまをかしげていました。
「だんだん、ほんとうの君きみがでて、おもしろくなるね。」と、若わかい先生せんせいは、なにを画えから見取みとったものか、秀吉ひできちを勇気ゆうきづけました。
このとき、とつぜん秀吉ひできちは、
「先生せんせい、神かみさまは人間にんげんをみんな平等びょうどうに愛あいしてくださるんですか。」といってききました。
「そうですとも。正直しょうじきなもの、また貧まずしいものは、とりわけ深ふかく愛あいしてくださるのです。」と、先生せんせいは、秀吉ひできちを見みながら答こたえて、目めに涙なみだをうかべていました。
やがて、北国ほっこくの村むらや、町まちに、ちらちらと寒さむい日ひは、雪ゆきが降ふるようになりました。教会きょうかいでは、そのころからストーブをたきはじめました。
ある日ひ、秀吉ひできちのかいた自由画じゆうがは、これまでになかった特異とくいのものです。少年しょうねんらしい人間にんげんが雪中せっちゅうに埋うもれて倒たおれていました。
そのそばには、いつものたこ入道にゅうどうが、ひげのはえた口くちを開あけて、さも勝かちほこるように笑わらいながら、赤あかい舌したを出だしている。また目めからも一筋ひとすじの糸いとのように火ひを吹ふいて、少年しょうねんの死骸しがいを見下みおろしている。そして、この化ばけ物ものには、幾本いくほんも手てや足あしがあって、それがへびのように、電信柱でんしんばしらや街灯がいとうの柱はしらに、まきついて、つめから血ちがしたたっている。
すると、そのとき、頭あたまの上うえを孔雀くじゃくのような美うつくしい羽はねのある天女てんにょが、ぐるぐると輪わをえがくごとく飛とび舞まっていました。あちらの空そらは、真まっ青さおで海うみの色いろをし、また片方かたほうの空そらは真まっ赤かで、日ひが沈しずみかけていました。
若わかい先生せんせいは、この画えにひどく感動かんどうしたようすでした。
「なんという題だいをつけたらいいかね。」と、先生せんせいは、秀吉ひできちにいいました。
「天女てんにょとお化ばけです。」と、秀吉ひできちは答こたえたのです。
「ああ、それがいい。この画えの意味いみは、どうやらわかるようだ。」と、先生せんせいは、いつまでも画えに見入みいっていました。
教会きょうかいへあつまる子供こどもらの画えには、それぞれ特色とくしょくがあり、個性こせいがあらわれていたので、教会きょうかいでは、それらの作品さくひんをあつめて、一般ぱんにしめす展覧会てんらんかいを催もよおすことになりました。
当日とうじつは、学校がっこうの教師きょうしや、また家庭かていの父兄ふけいたちが、参観さんかんにやってきました。ちょうど昼ひるごろのことです。参観者さんかんしゃの一人ひとりが急きゅうに卒倒そっとうして、大おおさわぎとなりました。さっそく医者いしゃをよんで、関係者かんけいしゃたちは介抱かいほうしましたが、診断しんだんの結果けっかは、急性脳溢血きゅうせいのういっけつということがわかって、もはや手ての下くだしようがなかったのです。
このとき、場内係じょうないがかりの、自由画じゆうがを受うけ持もつ若わかい先生せんせいもやってきて、先生せんせいは二度どびっくりしました。死人しにんの頭あたまがはげて、ひげのある丸まるい顔かおは、秀吉ひできちのいつもかく、お化ばけの顔かおそっくりだったからでした。
 
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