返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 小川未明童話集 » 正文

野菊の花(1)

时间: 2022-12-03    进入日语论坛
核心提示:野菊の花小川未明一正二しょうじくんの打うちふる細ほそい竹たけの棒ぼうは、青あおい初秋しょしゅうの空そらの下したで、しなし
(单词翻译:双击或拖选)
 

野菊の花

小川未明


一

正二しょうじくんの打うちふる細ほそい竹たけの棒ぼうは、青あおい初秋しょしゅうの空そらの下したで、しなしなと光ひかって見みえました。
「正しょうちゃん、とんぼが捕とれたかい。」
まだ、草くさのいきいきとして、生はえている土つちの上うえを飛とんで、清吉せいきちは、こちらへかけてきました。
「清せいちゃん、僕ぼくいまきたばかりなのさ。あの桜さくらの木きの下したに、犬いぬが捨すててあるよ。」と、正二しょうじはこのとき、鳥とりの飛とんでいく方ほうを指さしながら、いいました。
「ほんとう、どんな犬いぬの子こ?」
「白しろと黒くろのぶちで、耳みみが垂たれていて、かわいいよ。」
「それで、どうしたの。」と、清吉せいきちは、ききました。
「みんな、見みてるよ。」
「困こまるね。僕ぼくたちの遊あそぶ原はらっぱへ捨すてるなんて、だれだろうなあ。」
清吉せいきちの心こころは、もうそのほうへ奪うばわれてしまいました。
棒ぼうを持もった正二しょうじも、清吉せいきちについてきました。
二人ふたりは、並ならんで歩あるきながら、話はなしをしました。
「このあいだ、どこかの若わかいおばさんが、ねこの子こをこの原はらっぱへ捨すてにきたとき、正しょうちゃんはおらなかったかな。」
「ああ、おったとも。僕ぼくたち、ボールを投なげていたじゃないか。まだ三十ぐらいのやさしそうなおばさんだったろう。」
「なにがやさしいものか。だれか見みていないかと、くるくるあたりを見みまわしてから、ふいに、ぽいとねこの子こを草くさの中なかへ投なげたんだよ。ねこはニャア、ニャアと泣ないている。あまりかわいそうだから、僕ぼく、おばさんを追おいかけたのだ。なんでねこの子こをこんなところへ捨すてるんですか、かわいそうじゃありませんかといったのさ。」
「そうだったね。」
「そうすると、おばさんは、怖こわい目めをして僕ぼくの方ほうを振ふり返かえったんだよ。うちのねこじゃありませんよ、お勝手かってへ入はいってきてうるさいから、ここへ持もってきて置おいていくのですと。」
清吉せいきちは、そのときのことを思おもい出だすと、いまでも小ちいさな胸むねが、熱あつくなるのを覚おぼえました。
「しかし、よかったね。洋服屋ようふくやのおじさんがちょうど通とおりかかって、ねずみが出でて困こまっているのだからといって、つれていってくれたので。」と、正二しょうじは、いいました。
「あのねこ、どうしたろうね。」
「いるよ。僕ぼくこのあいだ前まえを通とおったら、ガラス戸どの中なかで、表おもての方ほうを向むいて、顔かおを洗あらっているのが見みえた。」
「手てをなめて、顔かおを洗あらっていたの、かわいいなあ。」
清吉せいきちも、この話はなしをきいて、目めを細ほそくして笑わらいました。
「犬いぬも、ねこも、みんななにも知しらないので、かわいいよ。」
「それだのに、この原はらっぱへ捨すてるなんて、こんど、ここへ犬いぬやねこを捨すてるべからずと書かいて、札ふだを立たてようか。」と、清吉せいきちがいいました。
「そうだね。僕ぼくたちの原はらっぱへ捨すてられた犬いぬやねこは、僕ぼくたちの責任せきにんとなるからね。」
二人ふたりが、桜さくらの木きの下したへやってくると、小ちいさな箱はこの中なかに犬いぬが入はいって、ほかの子供こどもたちは、犬いぬの頭あたまをなでたり、お菓子かしをやったりしていました。けれど、まだやっと目めがあいたばかりで、犬いぬはただ小ちいさな尾おをぴちぴち左右さゆうに振ふるばかり、堅かたいお菓子かしを食たべることができませんでした。
「おとこだよ。」と、年としちゃんが、いいました。
「君きみの家いえで、飼かわない?」
「めんどうだといって、お母かあさんが、飼かってくれないだろう。」
「このごろ、お米こめが足たりないので、みんなが犬いぬを飼かわなくなったんだってね。」と、一人ひとりが、いいました。
「自分じぶんが食たべる分ぶんを、ちっと分わけてやればいいのだろう。」と、正二しょうじは、棒ぼうを土つちの上うえへ投なげて、犬いぬを抱だき上あげました。清吉せいきちは、上衣うわぎのポケットを探さがしていたが、破やぶれた鼻紙はながみといっしょに五銭せんの白銅はくどうを出だして、
「釣つりにいくとき、針はりを買かうのにもらったのだ。これで牛乳ぎゅうにゅうを買かってきてやろうよ。だれか、いちばん家いえの近ちかいものが、おさらを持もってこない。」
すぐに、勇ゆうちゃんは、かけていきました。
やがて、一枚まいのさらを持もってきました。
「このさらいらないの。」
「いらないよ。」
清吉せいきちと勇ゆうちゃんは、町まちの方ほうへ出でかけていきました。二人ふたりがいなくなった、後あとでした。
「年としちゃん、だれか犬いぬの子こをもらうものはないかね。」と、正二しょうじが、いいました。
「捨すて犬いぬをもらうところがあると、いつかお父とうさんがいったよ。」
「どこだい、きいておくれよ。」
「お父とうさんが、お役所やくしょから帰かえったらきく。」
「殺ころしてしまうんでないだろうな。」
「年としちゃん、殺ころすんだったらだめだぜ。」
「もちよ。」
小犬こいぬは、腹はらがすいたか、母犬ははいぬのお乳ちちが恋こいしくなったか、クンクン泣ないていました。

 

轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: