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羽衣物語(2)

时间: 2022-12-04    进入日语论坛
核心提示:二その声こえを聞きき、その姿すがたを見みて、これが、この世よの人ひとであろうかと、若者わかものは、自分じぶんの目めをうた
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二


その声こえを聞きき、その姿すがたを見みて、これが、この世よの人ひとであろうかと、若者わかものは、自分じぶんの目めをうたがわずにはいられませんでした。すぐには、返かえす言葉ことばも出でなかったのです。
「その着物きものを、どうぞお返かえしくださいまし。」と、女おんなは重かさねていいました。
若者わかものは、着物きものの持もち主ぬしがわかると、いままでの楽たのしかった夢ゆめが破やぶれて、がっかりしました。またと手てに入はいらぬ宝たからと思おもえば、なおさら惜おしかったのです。
若者わかものは、
「せっかく、私わたしが拾ひろいましたものを、どうぞ、捨すてたとあきらめなされて、これを私わたしにくださいませんか。」と、頭あたまを下さげて頼たのみました。
こう聞きくと、女おんなは、ぱっちり目めをみはって、さも、たまげたというようすで、
「なんとおっしゃられます。その着物きものを、どうしてあなたにさしあげられましょう。それを着きなくては、私わたしは空そらへ帰かえることができません。」と、答こたえました。
「や、や、それなら、あなたは、まさしく天女てんにょでいらっしゃいますか。道理どうりで、人間にんげんにしては、あまりりっぱすぎると思おもいました。」と、急きゅうに若者わかものは、ようすをあらためました。
知しらぬ人ひとから、こうして見みられるのを、さも恥はずかしげに、天女てんにょは、ただうつ向むいていました。
「話はなしに聞きく天女てんにょの羽衣はごろもとは、これでございますか。」
「さようでございます。」
たぐいなく美うつくしいと思おもうのもそのはず、天女てんにょであったかと、若者わかものの感動かんどうは、しばらくしずまりませんでした。けれど、天女てんにょは、天てんにいるものとばかり信しんじたのを、どうしてこんなところへ降おりたのであろうか、と聞きかずにはいられませんでした。
「あなたは、どうしてこんなところへお降おりになったのですか?」と、若者わかものは天女てんにょに向むかって、たずねました。
天女てんにょは、こう問とわれると、ためらいながら顔かおをあげ、
「ここの景色けしきがあまりみごとなものですから、つい降おりてみる気きになりました。」と、答こたえたのであります。

美うつくしいものに見みとれるのは、ひとり人間にんげんばかりでなく、天てんにすむ天女てんにょも、おなじであるのを知しると、自分じぶんがきれいな羽衣はごろもをほしく思おもうのも、悪わるいことではないような気きがして、若者わかものは、そのうえともしつこく、天女てんにょに向むかって頼たのみました。
「ごむりのお願ねがいかもしれませんが、このきれいな着物きものを、どうぞ、私わたしにおあたえくださいまし。ながく我わが家やの宝たからにしたいと思おもいます。」
これを聞きいて、天女てんにょはあきれたのであろう。が、しばらく言葉ことばもありませんでした。
「どうしても、お許ゆるしになりませぬか。」と、若者わかものがいうと、天女てんにょの顔かおには、悲かなしみの色いろがただよって、ついに口くちをひらきました。
「その着物きものを着きなくては、二度どと天てんへは帰かえれません。人間にんげんには役やくにたたぬものですが、天女てんにょには、なくてはならぬ着物きものでございます。」といって、うつむきました。
若者わかものは、片言かたことも聞ききもらすまいと、耳みみをかたむけていましたが、天女てんにょが、羽衣はごろもを着きなければ天てんに帰かえれぬといったので、これはなんたる自分じぶんにとって、しあわせなことであろう。そうすれば、この美うつくしい人ひとを村むらへつれもどって、いつまでも、とめておくことができると思おもったのでした。
「そう聞きけば、なおさら、この着物きものをお返かえしすることはできません。」
「それはまた、どうしたことでございますか。」
天女てんにょは、おどろいて顔かおを上あげ、目めをぱっちりとひらいて、若者わかものを見みました。
「羽衣はごろもより、あなたのほうが、もっともっと美うつくしいのであります。羽衣はごろもがなければ、天てんへ帰かえれぬとお聞ききしては、あなたを、いつまでもおとめしたいばかりに、羽衣はごろもをお返かえしすることができなくなりました。」と、若者わかものは正直しょうじきに申もうしました。
天女てんにょのからだは、恐おそろしさのあまりふるえ、顔色かおいろは青あおざめて見みえました。これを見みると、若者わかものは、こういったのも、天女てんにょのような美うつくしい人ひとのそばにいたいためであり、少すこしも悪わるい心こころからではないのだ。どうか、それを天女てんにょにさとってもらいたいと思おもいましたので、
「天女てんにょさま、こう申もうしますのも、お恥はずかしい話はなしながら、私わたしはまだ、ひとり者ものなのでございます。もし、あなたさえご承知しょうちになって、私わたしの妻つまにおなりくださるならば、あなたのために、この命いのちもささげます。ただ、人間にんげんの身みとして、天上てんじょうのあなたをお慕したいするのは、つつしみのないことかもしれませぬけれど、美うつくしいものを愛あいする心こころに、神かみも人ひともかわりないならば、どうぞ、私わたしの願ねがいをお聞きき入いれくださいまし。」と、ねんごろにうったえました。
天女てんにょは、にごりけのない若者わかものの心こころに感動かんどうするとともに、自分じぶんにも落おち度どがあったのをさとりました。こんなことになるのも、自分じぶんの軽率けいそつからであった。うかうかと、地上ちじょうへ下おりさえしなければ、何事なにごともなかったと、後悔こうかいしました。
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