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びっこのお馬(2)

时间: 2022-12-07    进入日语论坛
核心提示:みんなは、二郎じろうが、ぼけの枝えだに芽めをふくから、お馬うまの足あしも伸のびるだろうと思おもっているのを、無理むりに打
(单词翻译:双击或拖选)
 
みんなは、二郎じろうが、ぼけの枝えだに芽めをふくから、お馬うまの足あしも伸のびるだろうと思おもっているのを、無理むりに打うち消けすのをかわいそうに思おもったからです。
「じゃ、出だしておいてあげようね。」と、姉ねえさんは、二郎じろうの造つくったびっこの馬うまを二階かいの屋根やねの上うえにのせておきました。
そのうちに、雨あめが降ふってきました。雨あめは、庭先にわさきのぼけの花はなに当あたると、紅あかい花片はなびらが雨あめに打うたれてばらばらと、とれて落おちました。また、雨あめは二階かいの屋根やねに出でていた紙かみの青あおい馬うまにあたりました。するとまもなく、紙かみの馬うまはびっしょりとぬれてしまいました。
一晩ひとばん、雨あめは降ふりつづきました。夜よが明あけると、二郎じろうは、まず起おきて、庭先にわさきのぼけの折おれたところに、芽めがふいたかと見みました。しかし、そこはただ白しろくなって、昨日きのうのままでありました。
「兄にいさんのぼけは、まだ芽めを出ださないが、僕ぼくのお馬うまは、足あしが伸のびたろうか?」と、二郎じろうは思おもいました。
そして、さっそく、二階かいへ上あがっていって、窓まどぎわに立たちましたけれど、脊せが低ひくくて、二郎じろうは、屋根やねの上うえをのぞくことができませんでした。
「姉ねえさん、僕ぼくのお馬うまの足あしはどうなった? 見みさしておくれよ。」と、二郎じろうは、姉ねえさんに抱だいて見みせてくれるように頼たのみました。
姉ねえさんは、窓まどのところへきてのぞいてみますと、青あおいお馬うまは、雨あめに打うたれて、紙かみの青あおい色いろはみんなとれてしまって、いまは汚きたならしく、見みる影かげもなくなっているのでした。姉あねは、こんな姿すがたを二郎じろうに見みせたくありませんでしたから、
「二郎じろうちゃん、お馬うまは、いま雨あめにぬれて、ねんねしているのよ。足あしは、伸のびかけていますの。」といいました。
「どれ、僕ぼくに見みさしておくれ……。」と、二郎じろうは、足踏あしぶみをして頼たのみました。
「いいえ、いまだれも見みないほうがいいのよ。お馬うまは、見みられるのがいやだといっていますよ。」と、姉ねえさんはいいました。
二郎じろうは、我慢がまんをして、もうすこしの間あいだ、見みないことにしました。その日ひの午後ごごから、雨あめが晴はれて、青あおい空そらがあらわれたのであります。風かぜはさやさやと新緑しんりょくの葉はの上うえを渡わたっていました。それは、心地ここちのいい景色けしきであります。
「姉ねえさん、僕ぼくのお馬うまを見みせておくれよ。」と、二郎じろうは、また姉あねに頼たのみました。
姉あねは、二階かいに上あがってきました。あとから二郎じろうがついてきました。しかし、姉あねが窓まどからのぞいてみると、紙かみのお馬うまはいつのまにか乾かわいて、風かぜに吹ふかれて飛とんで、あちらの屋根やねのといにかかっていました。
「姉ねえさん、どうなった?」ときいている弟おとうとに対たいして、姉あねは、ありのままに知しらせる気きにはなれませんでした。
「二郎じろうちゃん、お馬うまは足あしがなおったものだから、元気げんきよくどこかへ駆かけ出だしていってしまいましたよ。」と答こたえました。
二郎じろうは、いつか、みんなから遅おくれて、汗あせを流ながして歩あるいていったびっこの馬うまを思おもい出だしました。また、同時どうじに、足早あしばやに歩あるいていった健康けんこうな馬うまの姿すがたを思おもい出だしました。
びっこの馬うまが、足あしがなおって、元気げんきよくどこかへいったということは、どんなに二郎じろうに、うれしいことであったでしょう。
雨あめのために足あしが伸のびて、馬うまが、どこかへいってしまったことを、二郎じろうは、ほんとうだと思おもいました。
(この哀あわれな少年しょうねんは、大おおきくなったら、すべてを知しるでしょう。)
その夜よは、いい月夜つきよでした。二郎じろうは、田圃たんぼの中なかの真まっ白しろに花はなの咲さいた、あんずの木きの下したに立たっていますと、あちらの往来おうらいを青あおいお馬うまが、月つきの光ひかりに照てらされて歩あるいていくのを、ありありと見みました。そのことを姉ねえさんに話はなすと、姉ねえさんは、そのときは笑わらわずに、泣ないていました。
 
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