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不死の薬(2)_小川未明童話集_日语阅读_日语学习网

时间: 2024-10-24    作者: destoon    进入日语论坛
核心提示:二「君きみ! 金峰仙きんぷせんって、あの山やまかい。」といって乙おつは、あちらに見みえる山やまの方ほうを指さして丙へいに
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不死の薬

小川未明

一


ある夏なつの夜よるでありました。三人にんの子供こどもらが村むらの中うちにあった大おおきなかしの木きの下したに集あつまって話はなしをしました。昼間ひるまの暑あつさにひきかえて、夜よるは涼すずしくありました。ことにこの木きの下したは風かぜがあって涼すずしゅうございました。
赤あかく西にしの山やまに日ひが沈しずんでしまって、ほんのりと紅あかい雲くもがいつまでも消きえずに、林はやしの間あいだに残のこっていましたが、それすらまったく消きえてしまいました。夜よるの空そらは深ふかい沼ぬまの中なかをのぞくように青黒あおぐろく見みえました。そのうちに、だんだん星ほしの光ひかりがたくさんになって見みえてきました。
「さあ、またなにかおとぎ噺ばなしをしようよ。」
と乙おつがいいました。
「今日きょうは丙へいの番ばんだよ。」
と甲こうがいいました。
この三人にんは同おなじ村むらの小学校しょうがっこうへいっている、同おなじ年としごろの少年しょうねんで、いたって仲なかがよく、いろいろの遊あそびをしましたが、この夏なつの晩ばんには、このかしの木きの下したにきて、自分じぶんらが聞きいたり、覚おぼえていたりしているいろいろのおとぎ噺ばなしをしあって遊あそびました。
このとき、かしの木きの葉はが、さらさらといって、青黒あおぐろいガラスのような空そらで鳴なりました。三人にんはしばらく黙だまっていましたが、乙おつが丙へいに向むかって、
「さあ君きみ、なにか話はなしてくれたまえ。」
といいました。
三人にんの中うちのもっとも年下とししたの丙へいは、空そらを見みて考かんがえていました。このとき、遠とおく北きたの方ほうの海うみで汽笛きてきの音おとがかすかに聞きこえたのでありました。三人にんはまたその音おとを聞きいて心こころの中うちでいろいろの空想くうそうにふけりました。
「さあ話はなすよ。」
と丙へいはいった。そのりこうそうな黒くろいかわいらしい目めに星ほしの光ひかりがさしてひらめきました。
「ああ、聞きくよ、早はやく話はなしたまえ。」
と甲こうも乙おつもいいました。
丙へいは、つぎのような話はなしをしました。……
昔むかし、支那しなに、ある天子てんしさまがあって、すべての国くにをたいらげられて、りっぱな御殿ごてんを建たてて、栄誉えいよ・栄華えいがな日ひを送おくられました。天子てんしさまはなにひとつ自分じぶんの思おもうままにならぬものもなければ、またなにひとつ不足ふそくというものもないにつけて、どうかしてでき得うることなら、いつまでも死しなずに、千年ねんも万年まんねんもこの世よに生いきていたいと思おもわれました。けれど、昔むかしから百年ねんと長ながくこの世よの中なかに生いきていたものがありませんので、天子てんしさまはこのことを、ひじょうに悲かなしまれました。
そこであるとき、巫女みこを呼よんで、どうしたら自分じぶんは長生ながいきができるだろうかと問とわれたのであります。巫女みこは秘術ひじゅつをつくして天てんの神かみさまにうかがいをたてました。そしていいましたのには、これから海うみを越こえて東ひがしにゆくと国くにがある。その国くにの北きたの方ほうに金峰仙きんぷせんという高たかい山やまがある。その山やまの嶺みねのところに、自然しぜんの岩いわでできた盃さかずきがある。その盃さかずきは天てんに向むいてささげられてある。星ほしが夜々よるよるにその山やまの嶺みねを通とおるときに、一滴てきの露つゆを落おとしてゆく。その露つゆが千年ねん、万年まんねんと、その盃さかずきの中なかにたたえられている。この清きよらかな水みずを飲のむものは、けっして死しなない。それは世よにもまれな、すなわち不死ふしの薬くすりである。これをめしあがれば、けっして死しということはないと、天子てんしさまに申もうしあげたのでありました。
 
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