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文化線の低下_小川未明童話集_日语阅读_日语学习网

时间: 2024-10-24    作者: destoon    进入日语论坛
核心提示:文化線の低下小川未明バーンズの詩の中に、野鼠について、うたったのがある。人間は、お前達が、畠のものを食べるといって、目の
(单词翻译:双击或拖选)
 
そして、翌日よくじつ、娘むすめは小鳥ことりと約束やくそくをしたように、林はやしの中なかに入はいってゆきました。彼女かのじょは、たまたま立たち止どまって耳みみを傾かたむけました。いつものいい小鳥ことりの鳴なき声ごえが耳みみに聞きこえてこないかと思おもったからです。けれど、あたりは、まったくしんとしていました。木々きぎのこずえに当あたる風かぜの音おとが聞きこえるばかりでありました。
「どうしたのだろう。」と、娘むすめはいぶかりました。
今日きょう、この林はやしの中なかでまたあう約束やくそくをしたのに、小鳥ことりは、もはや忘わすれてしまったのだろうか。いや、あの鳥とりにそんなことのあろうはずがない。娘むすめは胸むねの騒さわぎを感かんじました。もしやと思おもって、彼女かのじょは、昨日きのう小鳥ことりと話はなしをした木きの下したに走はしってゆきました。するとそこには、かわいらしい昨日きのうの小鳥ことりが冷つめたくなって地ちの上うえに落おちているのを見みました。
彼女かのじょは、その小鳥ことりの屍しかばねを拾ひろい上あげて、しっかりと胸むねに抱だきました。
「おまえのいったことはうそではなかった。みんなほんとうのことであったのだ。そして、おまえは、私わたしのために死しんでくれた。しかし、今日きょうからはおまえは私わたしの胸むねの中なかに生いきるであろう。それでも私わたしは、ほんとうにさびしくなった。もう、おまえと話はなしをすることができなくなってしまった。」といって、娘むすめは、熱あつい涙なみだと、息いきを、冷つめたくなった小鳥ことりの屍しかばねに吹ふきかけました。
小鳥ことりのいったことは、みんなほんとうだったのであります。娘むすめは、だんだん美うつくしくなりました。その目めは清きよらかに黒くろみを帯おんで、その声こえはますます朗ほがらかに、その髪かみの毛けは、つやつやと輝かがやいたのであります。
彼女かのじょは、風かぜの吹ふく日ひも、また、日ひの照てる穏おだやかな日ひも、山やまの林はやしの中なかに入はいっていって、さびしく独ひとりでうたっていました。ある日ひのことです。一羽わの見慣みなれない小鳥ことりが妙みょうな節ふしで木きに止とまって歌うたをうたっていました。娘むすめは、いままでこんな不思議ふしぎな歌うたをきいたことがありません。
「おまえのうたっている歌うたは、なんという歌うたなの。」と、彼女かのじょは、その見慣みなれない小鳥ことりに向むかって問といました。
小鳥ことりは、歌うたをやめて、じっと娘むすめの顔かおを見みていましたが、
「私わたしは、この歌うたを町まちから覚おぼえてきました。」と答こたえました。
娘むすめは、小鳥ことりの答こたえを聞きくとびっくりいたしました。あのかわいらしい、死しんだ小鳥ことりが、母親ははおやのいいつけを守まもって、一生しょう町まちを見みずにしまったことを思おもい出だしたからであります。また、町まちへいったものは、目めの色いろがにごるといった話はなしを思おもい出だしたからであります。
「町まちって、どんなところなの?」と、娘むすめは、町まちを怖おそろしいところと思おもいながら聞ききました。すると、その紅あかい羽はねの混まじっている小鳥ことりは、
「それは、こことは、まるでなにもかも違ちがっています。町まちには美うつくしい家いえがたくさんあります。また、美うつくしい人間にんげんがたくさん歩あるいています。にぎやかな、車くるまや、馬うまが、いつも往来おうらいの上うえを通とおっています。そして、そこには、なにもないものはありません。世界せかいじゅうの珍めずらしいものが、みんなそこに集あつまっています。この林はやしの中なかにある赤あかい木きの実みも、なしの実みも、また丘おかにあるくりも、畑はたけにあるかきの実みもないものはありません。私わたしは、それを見みてきました。そして、まだ町まちを見みない友ともだちにそのことを知しらしてやろうと思おもって帰かえってきたのです。二年前ねんぜんに別わかれた友ともだちを探さがしているのですが、その友ともだちが見みつからないので、いまこの木きに止とまって、町まちで覚おぼえてきた歌うたをうたったのです。」と、その鳥とりはいいました。
「そんなに、その町まちというところは、美うつくしいところなの?」と、娘むすめはたずねました。
彼女かのじょは、その小鳥ことりの歌うたが、なんだか自分じぶんまで誘惑ゆうわくするような気持きもちがしたのです。
「それは、きれいなところです。一度ど町まちを見みなければ、この世よの中なかを見みたといわれません、ただ、困こまったことに、私わたしは、昔むかし、この林はやしでうたった歌うたの節ふしを忘わすれてしまいました。よく友ともだちが歌うたった、あの歌うたです。せっかく友ともだちを呼よぼうと思おもって呼よぶことができません。」と、小鳥ことりは当惑とうわくそうにいいました。
娘むすめは、このときじっとその小鳥ことりを見上みあげていましたが、
「じゃ、私わたしがうたってあげましょう、この林はやしの歌うたを忘わすれるなんて。さあよくおききなさい。
わたしの友ともだちは、
谷川たにがわに、山やまに、林はやし。
雲くもは美うつくしいけれど、心こころが知しれず、
雪ゆきは冷つめたいけれど、白しろくて潔いさぎよし。
四方よもの空そらに、風騒かぜさわぐも、
私わたしの嘴くちばしを出でる、声こえは乱みだれず。」
娘むすめは、いい声こえでうたいました。すると、黙だまって聞きいていましたこずえの小鳥ことりは、
「ああ、その声こえにきき覚おぼえがあります。忘わすれていた昔むかしのことがすっかり見みえるようです。ああ、私わたしのこの小ちいさな心臓しんぞうがふるえる……。」
こういったかと思おもうと、木きからばたりと落おちてしまいました。
 
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