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北海の白鳥_小川未明童話集_日语阅读_日语学习网

时间: 2024-10-24    作者: destoon    进入日语论坛
核心提示:北海の白鳥小川未明上昔むかし、ある国くにに金持かねもちの王おうさまがありました。その御殿ごてんはたいそうりっぱなもので、
(单词翻译:双击或拖选)
 

政ちゃんと赤いりんご

小川未明


田舎いなかのおばあさんから、送おくってきたりんごがもう二つになってしまいました。
「政まさちゃんなんか、一日にちに三つも、四つも食たべるんだもの。」
「僕ぼくなんか、そんなに食たべやしない。勇いさむちゃんこそ三つも四つもたべたんだい。」
二人ふたりは、いい争あらそいました。そして、残のこった二つのりんごを、どちらが大おおきいか、めいめいでにらんでいました。
一つは、いくぶんか大おおきいが、色いろが青あおかったのです。一つは、小ちいさいが、赤あかくて美うつくしく見みえました。
「僕ぼく、この大おおきなほうを取とろうや。」と、弟おとうとの政まさちゃんが、すばしこく手てを出だして、大おおきなりんごを握にぎろうとしました。
「それは、おれのだい。」
兄あにの勇いさむちゃんは、政まさちゃんの小ちいさな手てでつかんだ、りんごを奪うばってしまいました。
さあ、たいへんです、二人ふたりは、そこでつかみ合あいがはじまりました。畢竟つまり、年としの少すくない政まさちゃんは、かないませんでした。
「お母かあさん、僕ぼくのりんごを兄にいさんが奪とってしまったんですよ。」
泣なきながら、政まさちゃんは、お母かあさんのところへ訴うったえてゆきました。
「うそですよ、お母かあさん。僕ぼくは、大おおきいから、大おおきいのを取とったのです。政まさちゃんは、小ちいさいから、小ちいさいのを取とるのがあたりまえなんですね。」と、勇いさむちゃんは、つづいて、お母かあさんのところへやってきました。
「そんなことは、きまっていません。政まさちゃんの持もっているものを、なんで無理むりに奪とったりするんですか。」
お母かあさんは、こういう場合ばあいには、小ちいさいものより、兄にいさんをしかるのがつねでした。
勇いさむちゃんは、手てに、青あおい大おおきなりんごをしっかりと握にぎっていました。そして、お母かあさんの裁判さいばんを、不平ふへいそうな顔かおつきをして、うつむいて聞きいていました。
「田舎いなかのおばあさんは、僕ぼくに、送おくってくださったんでしょう。」と、政まさちゃんが、いいました。
「いいえ、みんなに送おくってくださったのです。」
「それみろ、政まさちゃんは、自分じぶんひとりのものだと思おもっているからいけないんだ。」
「あんな小ちいさいの、やだい。」
政まさちゃんは、からだをゆすって、だだをこねました。
「もう一つのを、持もっておいで。」と、お母かあさんは、おっしゃいました。
「僕ぼく、あんな小ちいさいのは、やだい。」と、政まさちゃんは、いいながら、紅あかいりんごを持もってきました。
「まあ、きれいなりんごだこと、ちょっとお見みせなさい。」
お母かあさんは、目めをみはって、りんごをごらんになりました。
「こんな、きれいなりんごが、どうしていけないの。あんな青あおいりんごより、よっぽどいいじゃないの。」
「小ちいさいじゃないか。」
政まさちゃんも、さっき、小ちいさいが美うつくしいから、どちらを取とろうかと考かんがえていたくらいですから、お母かあさんにそういわれると、なるほど、青あおいりんごより、小ちいさくても、このほうがいいように思おもわれてきました。
「これを上手じょうずに写生しゃせいしてごらんなさい。」
政まさちゃんは、学校がっこうで、先生せんせいが、こんどなんでも持もってきて、図画ずがの時間じかんに写生しゃせいしてもいいと、おっしゃったことを思おもい出だしました。
「僕ぼく、これを学校がっこうへ持もっていって写生しゃせいしてもいいの。」
「みごとに描かけたら、おばあさんに送おくっておあげなさい。どんなにお喜よろこびなさるかしれませんよ。」
政まさちゃんの機嫌きげんは、すっかり直なおりました。このとき、勇いさむちゃんは、とっくに大おおきなりんごを持もって出でてしまって、いなかったのであります。
「おなかが痛いたい。」
勇いさむちゃんは、朝あさ起おきると、腹はらを押おさえていいました。
「おなかが痛いたいの、どうしたんでしょうね。」
「ああ、おなかが痛いたい。」
「きっと、おなかを冷ひやしたのでしょう。」
お母かあさんは、心配しんぱいして、勇いさむちゃんのようすを見みていられました。
「ああわかった。お母かあさん、兄にいさんは、きのうりんごの皮かわをむかないで食たべたからでしょう。ばちがあたったのだ。」
そばで、政まさちゃんが、いいました。
「だまっておれ。」と、勇いさむちゃんは、怒おこりました。
「ばちがあたったのだ。」
政まさちゃんは、いいました。腹はらを押おさえて、すわっていた勇いさむちゃんが、飛とび上あがって、政まさちゃんを追おいかけました。
「お母かあさん――。」
「生意気なまいきいうからだ。」
政まさちゃんの呼よぶ声こえと、勇いさむちゃんの、とっちめている声こえとが、もつれてきこえてきました。
「けんかをする元気げんきがあれば、だいじょうぶです。」と、お母かあさんは、笑わらっていらっしゃいました。
二人ふたりは、お膳ぜんの前まえにすわりました。
「もうおなかがなおった?」と、お母かあさんは、おききになりました。
「まだ、ちっと痛いたい。」
「お母かあさん、学校がっこうが休やすみたいからですよ、休やすましてはいけませんよ。」と、政まさちゃんがいいました。
「だれが、休やすむといった。」と、勇いさむちゃんは、政まさちゃんをパチンとたたきました。
「ご飯はんをたべるときまで、けんかをするのですか。」
お母かあさんにしかられて、やっと、二人ふたりは静しずかになりました。そして、ご飯はんをたべて、学校がっこうへ出でかけました。
政まさちゃんは、あの赤あかい、美うつくしいりんごを紙かみに包つつんで、学校がっこうへ持もってゆきました。
「きれいなりんごだね。」
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