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正に芸術の試煉期_小川未明童話集_日语阅读_日语学习网

时间: 2024-10-24    作者: destoon    进入日语论坛
核心提示:正に芸術の試煉期小川未明今度の震災の災禍が、経済上にまた政治上に、影響し、従って複雑な関係を個人生活の上にも生じた点が少
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町の真理

小川未明

せみ


B坊ビーぼうが、だれかにいじめられて、路みちの上うえで泣ないていました。
「どうしたの?」と、わけをきくと、こうなのであります。
A坊エーぼうと、B坊ビーぼうは、いっしょに遊あそんでいたのです。すると、みんみんぜみが飛とんできて、頭あたまの上うえの枝えだに止とまりました。
二人ふたりは、家いえに走はしっていって、もち棒ぼうを持もってこようとしました。すると、日ひごろから、強つよい、わんぱく子このA坊エーぼうが、
「これは、僕ぼくのせみだから逃にがしちゃいけないよ。番ばんをしていておくれ。」と、命めいずるように、B坊ビーぼうに向むかっていいました。

清水良雄しみずよしお・絵え[#「清水良雄しみずよしお・絵え」はキャプション]
町の真理
気きの弱よわいB坊ビーぼうは、たとえ内心ないしんでは、それを無理むりと感かんじても、だまって、うなずくよりほかはなかったのです。
「どうか、Aエーちゃんのくるまで、みんみんぜみが、逃にげてくれなければいいが……。」と、B坊ビーぼうは、心配しんぱいしていました。なぜなら、もし、せみが、逃にげたら、きっとA坊エーぼうは、自分じぶんのせいにすると思おもったから。
B坊ビーぼうは、上うえを向むいて、せみを見守みまもりながら、身動みうごきもせず、じっとしていました。せみは、つづけて、ミン、ミン、ミン――と鳴なきました。そして、鳴なきやむと、思おもい出だしたように、遠方えんぽうを目めがけて、飛とび去さってしまいました。うらめしそうに、B坊ビーぼうは、しばらく、飛とび去さってしまったせみの行方ゆくえを見守みまもっていました。
そのとき、もち棒ぼうを持もったA坊エーぼうが、息いきをきらしながら、あちらから駆かけてきました。
「Bビーちゃん、せみはいる?」と、遠とおくから、こちらを見みて叫さけびました。B坊ビーぼうは、なんとなく、すまなそうな顔かおつきをして、頭あたまをふり、
「逃にげてしまった。」と、答こたえました。
「うそだ! 君きみが、逃にがしたのだろう……。」と、A坊エーぼうは、すぐ、そばにくると難題なんだいをいいかけました。
「僕ぼくが、逃にがしたのではないよ。」と、B坊ビーぼうは、あまりのA坊エーぼうの邪推じゃすいに、不平ふへいを抱いだきました。
「君きみは、番ばんをしているといったじゃないか?」
B坊ビーぼうは、たしかにそういったから、だまっていました。
「君きみは、番ばんをしているといったろう。このうそつき!」
こういって、A坊エーぼうは、B坊ビーぼうをなぐったのです。
――話はなしはこういうのでした。さあ、どちらに真理しんりがありましょう?
 
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