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夕焼け物語(2)_小川未明童話集_日语阅读_日语学习网

时间: 2024-10-24    作者: destoon    进入日语论坛
核心提示:二またほかの二人ふたりの娘むすめらは、一人ひとりは、美うつくしいくしを頭あたまに差さし、きれいな指輪ゆびわをはめています
(单词翻译:双击或拖选)
 

二


またほかの二人ふたりの娘むすめらは、一人ひとりは、美うつくしいくしを頭あたまに差さし、きれいな指輪ゆびわをはめています。一人ひとりは、いい音色ねいろのするオルガンを鳴ならして歌うたをうたっています。ある日ひのこと、ちぢれ髪げの少女おとめは、友ともだちにあってみますと、一人ひとりは、美うつくしいくしと指輪ゆびわを持もっているし、一人ひとりは、いい音色ねいろのするオルガンを持もっていますので、なんとなく、それを心こころのうちでうらやみました。
彼女かのじょは家うちに帰かえると、独ひとりで、花はなの前まえに立たって、
「ああ、わたしも、あんな指輪ゆびわとオルガンが欲ほしいものだ。」
と、小ちいさな声こえでいったのであります。
このとき、どこからともなく、白しろい鳥とりが飛とんできました。そして、不意ふいに庭にわに咲さいているとこなつの花はなをくわえて、どこへとなく飛とんでいってしまいました。
少女おとめは、この有あり様さまを見みて驚おどろきました。そして、そこに泣なきくずれました。
「ああ、わたしが悪わるかった、他ひとのものなどをうらやんだものだから……神かみさまにたいしてすまないことをした。ああ、どうしたらいいだろう。」
といって、地ちに伏ふしてわめきました。けれど、もはやどうすることもできません。
いくら姉ねえさんにあいたいたって、もはや、とこなつの花はなはなかったのであります。もう二度どと、その花はなの前まえに立たって、なつかしい姉ねえさんの顔かおを見みることができなかったのです。
少女おとめはどうかして、あのとこなつと同おなじい花はなはどこかに咲さいていないかと思おもって、毎日まいにちのように浜辺はまべを探さがして歩あるきました。浜辺はまべにはいろいろな青あおや、白しろや、紫むらさきや、空色そらいろの花はななどがたくさんに咲さいていました。けれどあの赤あかいとこなつと同おなじい花はなは見みつかりませんでした。少女おとめは姉ねえさんの面影おもかげを思おもい出だしては、恋こいしさのあまり泣なきました。そして、その明あくる日ひも、また彼女かのじょは浜辺はまべに出でては、草原くさはらの中なかを探さがして歩あるきました。
夕焼ゆうやけは幾いくたびとなく、海うみのかなたの空そらを染そめて沈しずみました。少女おとめは岩角いわかどに立たって、涙なみだながらにそれをながめたのでありました。
ある日ひのこと、彼女かのじょは、いつか赤あかい紙かみに石いしを包つつんで投なげた岩いわの上うえにきて、海うみを望のぞみながら、神かみさまに手てを合あわせて、静しずかに祈いのりました。
「どうぞもう一度ど、あのとこなつの花はなをくださいまし。わたしがほかのものをうらやみましたのは悪わるうございました。どうぞおゆるしください。」
といいました。
すると、夕焼ゆうやけのしたかなたの空そらの方ほうから、また白しろい一羽わの鳥とりが飛とんできました。そして、少女おとめのすわっている頭あたまの上うえにきて、くわえてきた一本ぽんのとこなつの花はなを落おとしました。少女おとめはそれを見みて、夢ゆめかとばかり喜よろこんで、これを拾ひろいあげました。それは、いつか庭にわに植うえておいた花はなとまったく同おなじでありました。彼女かのじょは、その花はなに接吻せっぷんして神さまさまにお礼れいを申もうしました。しかし、その花はなには根ねがなかったのであります。
少女おとめは、せっかく白しろい鳥とりがくわえてきてくれた花はなに根ねのないのを悲かなしみました。けれど、彼女かのじょはどうかして大事だいじにして、いつまでもその花はなを枯からさないようにしなければならぬと思おもって、髪かみに差さして勇いさんで家うちに帰かえりました。すると、花はなはいつのまにやら、まったくしおれていました。少女おとめはあまりの悲かなしさに、花はなを抱かかえて声こえをあげて泣なきました。
みんなは、少女おとめが泣なくもので、どうしたのかと思おもって入はいってきてみてびっくりしました。
「まあ、どうしておまえさんは、産うまれ変かわったように髪かみがたくさんになって、しかも黒くろくなって、美うつくしくなったのか。」
といって騒さわぎました。
少女おとめはこれを聞ききますと、そんなら自分じぶんの少すくない、ちぢれた赤あかい色いろの髪かみの毛けが変かわったのだろうかと思おもって、手てを頭あたまに上あげて触ふれてみますと、なるほど、ふさふさとしてたくさんになっています。これは夢ゆめでないかと驚おどろきまして、さっそく鏡かがみの前まえにいって映うつった姿すがたを見みますと、真まっ黒くろなつやつやした髪かみの毛けがたくさんになって、そのうえ自分じぶんの顔かおながら、見違みちがえるように美うつくしくなっていました。少女おとめは、これを見みると、いままで泣ないていた悲かなしみは忘わすれられて、思おもわずほほえんだのでありました。
日ひごろから、この娘むすめはおとなしい、情なさけ深ぶかい、優やさしい性質せいしつのうえに、急きゅうにこのように美うつくしくなったものですから、村むらの人々ひとびとからはその後ごますますほめられ、愛あいされたということであります。
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