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雪の国と太郎(2)_小川未明童話集_日语阅读_日语学习网

时间: 2024-10-24    作者: destoon    进入日语论坛
核心提示:君きみは僕ぼくの家来けらいようやくその野原のはらを通とおりこして、かなたの森もりの中なかから学校がっこうの屋根やねが見み
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君きみは僕ぼくの家来けらい


ようやくその野原のはらを通とおりこして、かなたの森もりの中なかから学校がっこうの屋根やねが見みえる村むらはずれにさしかかりますと、いままでどこかに隠かくれていた太郎たろうが飛とび出だしてきて、まっさきになって歩あるいてきた乙おつに突つきあたりました。乙おつは不意ふいをくらってたじたじとなって雪ゆきの中なかに倒たおれてしまいました。
「僕ぼくはなんにもしないじゃないか。」
と、乙おつは雪ゆきの中なかに倒たおれながら、うらめしそうに太郎たろうの顔かおを見上みあげていいました。太郎たろうはじっと雪ゆきの中なかに倒たおれて自分じぶんを見上みあげている乙おつを見下みおろしながら、
「なんで、先せんだって僕ぼくが遊あそぼうといって呼よんだときにこなかったのだい。君きみは僕ぼくの家来けらいになるといったんだろう。」
と、太郎たろうはくるくるした黒目くろめを光ひからしていいました。
その間あいだに、甲こう・丙へい・丁ていなどは、すきをうかがって逃にげ出だして早はやく学校がっこうの門もんへ入はいってしまおうと、あちらに駆かけ出だしました。太郎たろうは、そのほうをしりめにかけて、あえて追おおうとはいたしませんでした。
「あ、僕ぼくが悪わるかったのだから堪忍かんにんしておくれ。」
と、乙おつは、わなわなとふるえながら太郎たろうにたのんでいました。
「きっとかい。僕ぼくの家来けらいになったのなら、帰かえりに待まっておれ。いっしょに帰かえるから、うそをいったら、今度こんどひどいめにあわしてやるから。」
と、太郎たろうはいって、自分じぶんは先さきになって学校がっこうの方ほうへゆうゆうと歩あるいてゆきました。その後あとから乙おつはついてゆきました。
その日ひの午後ごご、授業時間じゅぎょうじかんが終おわって学校がっこうから帰かえるときに、甲こう・丙へい・丁ていは、いちはやく逃のがれて帰かえることができました。けれど、乙おつだけは太郎たろうと約束やくそくをしたので逃にげて帰かえることができずに、ついに太郎たろうといっしょに帰かえることになりました。
乙おつは太郎たろうがどんなことをいい出だすかしらんと心こころのうちでおそれていました。太郎たろうは乙おつをふり向むいて、
「君きみ、海うみへいってみようよ。」
といいました。
海うみには一里りばかりありました。広ひろい野原のはらを越こして高たかいおかを上のぼってそれを下おりなければ、海うみを見みることができなかったのです。
「海うみなんかおもしろくないじゃないの。」
と、乙おつはさも迷惑めいわくそうにいいました。
「君きみは冬ふゆの雪ゆきの降ふっている海うみを見みたことがあるかい。それは盛さかんだぜ。毎晩まいばんゴーゴーといって鳴なり音おとが聞きこえるだろう。僕ぼくは海うみを見みながらハモニカを吹ふくんだぜ、僕ぼくといっしょにゆこう。」
と、太郎たろうはくるくるした目めをみはりました。
「だって帰かえりがおそくなると、お母っかさんにしかられるもの。海うみなんか遠とおくて、ゆくのはいやだ。」
乙おつは泣なき声ごえを出だしていいました。
「ほんとうにいやだなら、いじめてやるぞ。」
と、太郎たろうは雪路ゆきみちの上うえに立たって、怖おそろしいけんまくをしてみせて乙おつをおどしました。乙おつは大おおきな声こえをあげて泣なき出だしました。ちょうどそこへ、乙おつの知しったおじいさんが通とおりかかったもので、
「おい、けんかをしていかんぞ。」
といったので、太郎たろうは独ひとりであちらへいってしまい、乙おつはおじいさんに連つれられ、その日ひは家うちに帰かえりました。
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