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猟師と薬屋の話(1)_小川未明童話集_日语阅读_日语学习网

时间: 2024-10-24    作者: destoon    进入日语论坛
核心提示: 村むらに一人ひとりの猟師りょうしが、住すんでいました。もう、秋あきもなかばのことでありました。ある日ひ知しらない男おと
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 村むらに一人ひとりの猟師りょうしが、住すんでいました。もう、秋あきもなかばのことでありました。ある日ひ知しらない男おとこがたずねてきて、
「私わたしは、旅たびの薬屋くすりやでありますが、くまのいがほしくてやってきました。きけば、あなたは、たいそう鉄砲てっぽうの名人めいじんであるということですが、ひとつ大おおきなくまを打うって、きもを取とってはくださらないか。そのかわり、お金かねはたくさん出だしますから。」といいました。
猟師りょうしは、貧乏びんぼうをしていましたから、これはいい仕事しごとが手てにはいったと思おもいました。
「そんなら、くまをさがしに山やまへはいってみましょう。」
「どうぞ、そうしてください。このごろ、くまのいが、品切しなぎれで困こまっているのですから、値ねをよく買かいますよ。」と、薬屋くすりやはいいました。
これをきいて、猟師りょうしは、よろこんで引ひき受うけました。
村むらから、西にしにかけて、高たかい山々やまやまが重かさなり合あっていました。昔むかしから、その山やまにはくまや、おおかみが棲すんでいたのであります。
猟師りょうしは、仕度したくをして、鉄砲てっぽうをかついで山やまへはいってゆきました。霧きりのかかった嶺たかねを越こえたり、ザーザーと流ながれる谷川たにがわをわたって、奥おくへ奥おくへと道みちのないところをわけていきますと、ぱらぱらと落おち葉ばが体からだに降ふりかかってきました。
猟師りょうしは、しばらく歩あるいては耳みみをすまし、また、しばらく歩あるいては耳みみをすましたのです。そして、あたりに、猛獣もうじゅうのけはいはしないかと、ようすをさぐったのでした。
そのうちに、目めの前まえに、大おおきな足跡あしあとを見みつけました。
「あ、くまの足跡あしあとだ!」と、猟師りょうしは思おもわずさけびました。
これこそ、天てんが与あたえてくださったのだ。はやく打うちとめて家うちへしょって帰かえろう。そうすればきもは、あの旅たびの薬屋くすりやに高たかく売うれるし、肉にくは、村むらじゅうのものでたべられるし、皮かわは皮かわで、お金かねにすることができるのだ。こう思おもいながら、肩かたから、鉄砲てっぽうをはずして、弾丸たまをこめて、その足跡あしあとを見失みうしなわないようにして、ついてゆきました。
裏山うらやまは、雲くもが切きれて、秋あきの日ひがあたたかそうに照てらしていました。そして、二、三十メートルかなたに、大おおきなとちの木きがあって、熟じゅくした実みがぶらさがっていましたが、その下したに黒くろいものがしきりに動うごいているのを見みつけたのです。
「いた! いた!」と猟師りょうしは、低ひくい声こえでいいました。そして、じっと気きづかれないように木こかげにかくれて、ようすをうかがいました。その一匹ぴきは大おおきく、その一匹ぴきは小ちいさかったのです。小ちいさいのは、まだ生うまれてから日数ひかずのたたない子こぐまで、大おおきいのは、母ははぐまでした。二匹ひきは、いま自分じぶんたちが、人間にんげんにねらわれているということもしらずに、楽たのしく遊あそんでいたのであります。子こぐまは、お乳ちちを飲のみあきたか、それとも、とちの実みをたべあきたか、お母かあさんの背中せなかに乗のったり、また、胸むねのあたりに飛とびついたりしました。母ははぐまは、それをうるさがるどころか、かわいくて、かわいくて、しかたがないというふうに、子こぐまのするままにしていたが、ときどき、自分じぶんでひっくりかえって、子こぐまを上うえに抱だきあげ、子こぐまがぴちぴちするのを見みて喜よろこんでいたのでした。
猟師りょうしは、鉄砲てっぽうのしりを肩かたにつけて、ねらいを定さだめました。名人めいじんといわれるだけ、万まんに一つも打うちそんじはないはずです。そして、引ひき金がねをおろしかけて、ふと打うつのをやめてしまいました。
「あの母ははぐまを殺ころしたら、どんなに子こぐまが悲かなしがるだろう。そして、晩ばんから、あたたかなふところに抱だいてもらって眠ねむることができない。かわいそうな殺生せっしょうをばしたくない。」
こういって、猟師りょうしは、打うつのをやめて、また、出直でなおしてこようと家うちへもどろうとしたのであります。
その途中とちゅうで、知しらない猟人かりゅうどに出であいました。その猟人かりゅうどもこれから山やまへ、くまを打うちにゆこうというのです。その男おとこは、傲慢ごうまんでありまして、なにも獲物えものなしに帰かえる猟人かりゅうどを見みますと鼻はなの先さきで笑わらいました。
「私わたしは、これまで山やまへはいって、から手てで家うちへ帰かえったことはない。こんどもこうして山やまへはいれば、きつねか、おおかみか、大おおぐまをしとめて、土産みやげにするから、どうか私わたしの手並てなみを見みていてもらいたいものだ。」と、大口おおぐちをききました。
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