題しらず
6 春といへば霞みにけりな昨日まで波間に見えし淡路島山
俊恵法師
【通釈】
6 立春というので霞んでしまったなあ。まだ冬だった昨日まで波間に見えた淡路島が、今日は見えない。○春といへば 同時代に作例の多い句。○淡路島山 淡路島のことで、歌枕。旧国名は淡路国。現在は兵庫県に属する。「わたつ海のかざしに挿せる白妙の波もて結へる淡路島山」(古今・雑上・読人しらず)、「波間より見ゆる小島の浜ひさ木久しくなりぬ君に逢はずて」(拾遺・恋四・読人しらず)。▽林葉集によれば、徳大寺実定家歌会で立春を詠んだ歌。