7 岩間とぢし氷も今朝はとけそめて苔のした水道求むらむ
西行法師
【通釈】
7 岩の間を閉じ塞いでいた氷も立春の今朝は解け始めて、苔の下に堰かれていた水も流れ出す道筋を探し求めているのであろう。○今朝 立春の今朝。○とけそめて 礼記・月令・孟春之月に「東風解 凍」といい、立春とともに氷が解けるという考えがあった。○苔のした水 新しい表現か。○道求むらむ 異文「道求むなり」。▽「昨日こそ秋は暮れしかいつのまに岩間の水の薄氷るらむ」(千載・冬・藤原公実)とは逆の状態。西行上人集。自歌合である御裳濯河歌合で判者藤原俊成は「心詞をかし」と評した。西行には「春知れと谷の細水もりぞ来る岩間の氷ひま絶えにけり」(山家集)の類歌もある。定家十体で面白様の例歌とする。