動橋(いぶりはし) (石川県加賀市)
揺れ動いて、渡るのにひと苦労の橋
石川県加賀市の東部に、江戸時代に北陸道の宿場として栄えた場所、旧動橋町がある。
ここはかつて、江沼郡における農産物などの大集散地として栄え、たいへんなにぎわいを
見せていた。
その後、一八八九(明治二十二)年になると、動橋村、梶井村、中島村、合河村、八日
市村が合併して、新しい動橋村が誕生する。一八九七(明治三十)年には国鉄北陸本線が
開通し、動橋駅が開業した。その後、動橋~山代間に馬車鉄道が開通。大正に入ると温泉
電軌鉄道が開業するなど、交通の要衝として発展していく。一九四七(昭和二十二)年に
は、町制が施行されて動橋町となったが、一九五八(昭和三十三)年にほかの町村と合併
し、加賀市が誕生した。
ところで、その「動橋」という地名だが、昔、ここを流れる動橋川に架かけられていた
橋が、人が渡るたびに大きく揺れたことに由来するとされる。京都の聖しよう護ご院いん
道どう興こう準じゆん后こうの『廻かい国こく雑ざつ記き』に、一四八六(文明十八)
年、「しきち、いみなみ打過ぎて、いぶり橋とて、危くいぶせき橋にかかりぬ。行き暮れ
てふめばあやふきいぶり橋、命かけたる波の上かな」と記されている。「いぶる」とは
「動く」とか「動かす」「揺れる」「揺する」という方言だ(この歌は現在、動橋大橋の
歌碑として建てられている)。
また、『加越能大路水経』という地元の古い書物のなかでも、動橋川には古くから一本
橋が架けられていて、通行人が渡るたびに大きく揺れ、そのために、「いぶり橋」と呼ば
れるようになったとされている。
このように、古くから揺れ動く橋の存在が知られており、藩政後期の『越登加三州誌』
という古書によれば、動橋村は、かつては「振り橋」「揺橋」「不忍橋」「伊婦里橋」な
どの、さまざまな字があてられていたようだ。
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