大塚(おおつか) (東京都豊島区)
どうして「大塚」の北に「南大塚」があるのか?
東京の巨大ターミナル駅の一つとしても知られる、池袋駅。そして、その隣にあるのがJR山手線の大塚駅である。
大塚は、いまでは池袋とは比べようもないが、かつては池袋よりもはるかににぎやかな繁華街だったという。また、現在では、東京に唯一残った路面電車、都電荒川線が通る駅としても知られている。
ところで、この大塚駅周辺の地図を見てみると、不思議なことに気付く。北から順番に豊島区「北大塚」「南大塚」とあり、その南に文京区「大塚」がある。つまり、大塚の南ではなく、北に南大塚が存在するのだ。
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しかしながら、そもそもなぜこんなことになったのかというと、豊島区と文京区が、それぞれ独自に地名を付けてしまったためである。
住居表示法が施行されるまで、現在の文京区大塚は、小石川区の大塚町、大塚坂下町、大塚仲町となっていた。文京区はこれを一つにまとめて、文京区大塚という地名をつくった。
一方、現在の豊島区北大塚と南大塚は、かつては巣鴨六、七丁目と西巣鴨二丁目の一部だった。大塚駅があるあたりも大塚という町名ではなかったが、すでに隣に巣鴨駅という名前の駅をつくることが決まっていたため、近くの大塚という地名を駅名にしたらしい。
そして、豊島区は新しく地名を付けるにあたって、この駅名をそのまま地名に使うことにし、線路の北側を「北大塚」、南側を「南大塚」とした。これにより、大塚の北に南大塚があるという奇妙な現象が起きてしまったのである。
なにやらお役所の縦割り行政の弊害を連想させる、いささか不思議なエピソードといえる