碁盤島（ごばんじま）

碁盤島（ごばんじま） （石川県志し賀か町まち）

　　 弁慶に負けて碁盤を投げた源義経
 

　源頼朝が武家政権を樹立する過程で大きな力になったのは、間違いなく弟・義経だった。、ところが、壇ノ浦で平家追討に活躍したあとの義経は、後世の多くの物語が伝えるように、不運な人生を送ることになる。

　頼朝が義経の力を恐れた、いや義経が軽率だった、後白河法皇の策略だ、義経は乱世の武将で平時の為政者にはなれなかったなど、現代の彼への評価はじつにさまざまだ。

　しかし、とにかく義経は、反逆者として頼朝に追われる身となる。そのときに逃避先に決めた奥州平泉への義経の経路は、日本海側の北陸道だった。そのため、加賀・能登には義経伝説が数多く残っている。

　そのなかでもいちばん知られていて、能や歌舞伎の題材にもなった「安あ宅たかの関」は、現在の石川県小松市にある。

　安宅の関での義経は、弁慶に打ち据えられながらもひたすら耐えたが、能登金剛に残された義経主従の逸話では、義経は横暴者として描かれている。

　主従のエピソードが残るのが、旧富と来ぎ町にある「碁盤島」だ。名前の由来となったのは、逃避行中の義経と弁慶が、ここで碁を打ったからなのだという。

　そのときに何番勝負をしても一度も勝てなかった義経は、腹を立てて碁盤を投げつけた。碁盤島にある池のなかには、碁盤形の岩があるというから、それがおそらく義経の投げた碁盤の変身した姿なのだろう。