天童(てんどう) (山形県天童市)
二人の童子が天から楽器を演奏しながらやってきたという伝説 山形県天童市に伝わる「天童伝説」は以下のようなものである。
昔むかし、春うららかなある日、舞鶴山の山頂で僧侶が念仏を唱えていると、突然、笛や太鼓の音などとともに、美しい「キヨ」という楽器を奏しながら、天から二人の童子が舞い降りてきた。
一人は護衛童子、もう一人は摩ま竭かつ童子と名乗り、
「われは自在天(仏)の使者にして、貴僧はこの山頂の大士(菩薩)なり、よろしく一宇(お堂)を建立し、一いつ切さい衆しゆ生じようを念仏すべし」
と言い残して消えたという。
それ以来、僧侶は二人が降り立った霊峰を天童山と名付け、それが、このあたりの地名になったということである。
また、この伝説とはべつに、有名な慈じ覚かく大だい師し円えん仁にんが命名したという話もあるし、「北畠天童丸」という人物が住んでいたから、天童という名前が付いたという説もある。
なお、最近では、慈覚大師円仁が創建した山寺に招かれた舞楽団が、「天から童子が降りてきた」という伝説の基になっているのではないかという新しい意見もあるようだ。