富津(ふつつ) (千葉県富津市)
「布流津」に由来。布とはヤマトタケルノミコトの妻の布
千葉県にある富津市。千葉県の南部、房総半島の中西部に位置し、東京湾側千葉海岸線の木き更さら津づ、君津などと並ぶ、自然に恵まれた海岸をもつ都市である。
その地名の由来は「布流津」で、「布が海岸に流れ着いた」という意味の言葉からきているのだという。
名前の由来となった、流れ着いたその布は、ヤマトタケルノミコトの妻、弟おと橘たちばな姫ひめの服の一部だったという。ヤマトタケルノミコトが東征した際、東京湾で嵐にあった。そこで、海神の怒りを鎮めるために、妻の弟橘姫が海に身を投げた。
すると、ウソのように嵐はおさまり、海は穏やかになったという。
富津市だけでなく、近隣の四市では、かつて一つの君津郡だったこともあって合併の話もある。この富津、君津、袖ヶ浦、木更津の四市には、名前の由来にすべて、ヤマトタケルノミコトの伝説が関わっている、という共通点がある。
木更津と君津は、ヤマトタケルノミコトが妻をしのんで「君よ去らないでくれ」といった言葉から、君不去(きみさらず)が二つの地名に分かれたという由来。袖ヶ浦は、富津市の布流津(布が流れ着いた海岸)と同じく、弟橘姫の「袖」が流れ着いたとして、その名が付けられたそうだ。
一見、なんの関連性もないと思える四つの都市名の由来が、一つの伝説に基づいているのは、じつに興味深いことといえる。