牛窓(うしまど) (岡山県瀬戸内市)
語源は「牛転」。皇后に圧倒されて転んだ牛鬼
「牛窓」という地名の由来は、神じん功ぐう皇こう后ごうにまつわる伝説にある。
その昔、神功皇后が乗った船が大和へ帰る途中のこと。牛窓の瀬戸を通過するときに、その皇后の威光に驚いた牛鬼が転んだのだという。
それ以来、この土地は「牛うし転まろび」と呼ばれるようになり、それがのちに、「うしまろび→うしまどび→うしまど」と訛なまったのではないかといわれている。
この牛窓、現在も港には、クルージングのできる立派なヨットやクルーザーがひしめいており、瀬戸内海のなかでも活気のある良港だ。江戸時代から、西海航路を好んだ参勤交代の大名たちが、風待ち、潮待ちに使った町でもある。
また、鎖国下の江戸時代にあって、唯一朝鮮とのあいだで行き来があった朝鮮通信使の一行が来港する海の玄関口でもあった。
海や魚、港や船などにちなんだ名前ではない「牛窓」という名前はどこか不つりあいな気もするが、伝説のなかに船が出てくるあたりが、この港町らしくもあるといえよう。