それは、庭に桜の木を植えること。中途半端な木ではありません。見上げてお花見ができるくらいの大きな木。できれば傘のように包み込んでくれる。薄いピンク色の枝垂れ桜がいいのです。
育った家の庭はそこそこの広さがあり、庭師さんの手入れが必要な松の木がそびえだっていました。庭石があり、その周りをツツジが囲みます。私だったら、枝垂れ桜を1本、②ただそれだけを植えるのにと、庭を眺めながら思ったものでした。
結婚して家を持ち、とても狭いけれど今は自由になる庭があります。小さな小さな枝垂れ桜の木なら植えられるかもしれません。
でもそうもいかないのです。季節は桜の季節だけではありません。特に夏、我が家の庭はトマトにキュウリにピーマンと、そっくり家庭菜園になります。寒くなるころまで収穫できるハーブもシソも家族の大好物。それらを犠牲にして、枝垂れ桜を1本だけとはぜいたくすぎます。
桜の季節、せめてお弁当を持って、時間の許す限りお花見に出かけることにしましょうか。それでもいつか、と夢見つつ。
練習問題
1、文中には①「桜の開花予想が発表されると、私は毎年ため息を漏らしてしまいます ( ´Д`)=3。」とあるが、それはなぜか。
いろいろな野菜を犠牲にして、枝垂れ桜を1本だけとはぜいたくすぎるから。
結婚してから子どもの思い描いている夢が頭をもたげるから。
結婚して家を持ったが、庭はとても狭いから。
小さいころから庭に桜の木を植えるという夢が頭をもたげるから。
2、本文の内容に合ったのもを下から選びなさい。
結婚してからの家は庭が狭いけど、ちょうど桜の木が1本植えられていた。
実家の庭が広くて、ツツジや枝垂れ桜などが植えられていた。
思い切って野菜を犠牲にして、好きな枝垂れ桜を植えた。
自分の庭に植えられた枝垂れ桜の夢がなかなか実現できない。
3、文中の②「ただそれだけを植えるのに」の「のに」と同じ使い方のものはどれか。
まだ四月だというのに、もう真夏のように暑い。
彼を説得するのに、まだまだ時間がかかりそうだ。
教えてくれれば、僕も行ったのに。
兄はよく勉強するのに、弟は遊んでばかりでいる。