「あの人は、私が話し始めて一分とたたないうちに、話題を自分の話しにすりかえてしまう」と言われる人のなかには、決して聞き上手ではないけれど、不思議と嫌われない人がいる。
話を奪われた人も、「私の話よりずっとおもしろそう。私の話が宙に消え(注1)てもしょうがないか」という寛容な気持ちになるのだろう。
もちろん、私は「だから、話上手になればいいんですよ」とは言わない。ただ、「聞き上手でないことが帳消し(ちょうけし)になるほど話上手な人のしゃべりは、ちょっと研究してみる価値がありますよ」とご提案したい。
聞き上手になるための「修業(注2)」をしていると、そのうち話の上手な人の特徴がわかってくると思う。
聞き上手から、話上手でもあるというプラスアルファの魅力を持つ人間へとステップアップ(注3)するには、いつの間にか相手を自分の話に引き込むのが上手な人の話ぶりを「それはなぜなのか」と自分なりに分析すると、とても勉強にあるのだ。
一人で分析するのが難しければ、だれかに「あの人は話が上手だよね。どんな話しぶりに惹かれる?」と疑問をぶけるてみるのもいい。
その勉強の成果は必ずや、自分の言動に投影(とうえい)されるはずだ。だれだって、他人のいいところは真似したいと思うから。
(注1)話が宙に消える:話が途中でどこかへ行ってしまう
(注2)修業:学んで身に付けること
(注3)ステップアップする:進歩する
「問い」「寛容な気持ちになる」とあるが、なぜそうなるのか。
1 相手の話が自分に話より、おもしろくて引きこまれてしまうから
2 話を奪ってしまった人の態度が堂々としていて魅力的だから
3 自分の代わりに話上手な人が話をしてくれれば助かるから
4 相手は確かに話上手だけれど、聞き上手とは言えないから
「問い」話上手になるにはどうすればいいと筆者は述べているか。
1 話上手な人になぜ上手なのかと尋ねて分析する
2 どんな話題でも自分の話に変えられるようによる
3 人の真似をしないで、聞き上手になるために研究をする
4 話上手な人をよく観察して、その特徴を自分のものにする
「問い」筆者の考えと合っているのはどれか。
1 聞き上手になるだけでなく、話上手な人にも学んでみるとよい
2 聞き上手は損をすることがあるので、話上手になったほうがよい
3 他人に嫌われないように、話上手より聞き上手になったほうがよい
4 聞き上手から話上手になるには、自分の話し方を分析してみるとよい