(1)個人のミスではないとき
課長 :君は○○社との契約をB社に取られたことについて、どう責任をとるつもりだ。
李 :その件に関して、弁解するつもりはありません。しかし・・・。
課長 :言い分があればいいたまえ。
李 :私としてはできるだけのことはしたつもりですが、・・・。
課長 :しかし、直接の担当者として、君にも詰めの甘さがあったんじゃないか。
李 :確かに課長のおっしゃるとおりです。しかし、B社があのような手を打ってくるとは私たちのチームの誰一人予想もできなかったもので、・・・。
課長 :う~ん、今回のことは仕方がないが、このことを教訓に、今後はこのような失敗がないよう、くれぐれも気をつけてくれ。
課長 :はい、今回のことは肝に銘じます。
(2)誤解があるとき
店長 :お客様が「万引き扱いされた」と怒っていらっしゃったが、一体、どんな言い方をしたんだい。
店員 :言葉が足りなかったかもしれませんが、私はそんなつもりで言ったのではありません。「お支払いをお忘れのお品がおありではございませんか」とお尋ねしただけです。
店長 :なるほど、言葉の行き違いというわけか。しかしね。そんなときは、お客が店の外に出るのを待って、言うもんなんだよ。そうすれば相手もいい逃れできないからね。
店員 :そこまでは考えが回りませんでした。いい勉強になりました。
常套表現と解説
・ 弁解するつもりはありませんが、・・・
言い逃れをするつもりはありませんが、・・・
できるだけのことはしたつもりですが、・・・
そこまでは考えが回りませんでした
・ 私の言葉が足りなかったかもしれませんが、・・・
私の説明不足があったかもしれませんが、・・・
誤解があるように思いますので、説明させてください
弁明にもいろいろなケースが考えられるのですが、ここでは「こうなったのは自分自身の責任だけでなく、他にもっと大きな理由がある」ことや、不可抗力であったことなどを弁明するときの表現を<自分一人のミスではないとき>で取り上げました。「弁解するつもりはありませんが、・・・」の次に出るのはもちろん弁明の言葉なのですが、相手の「言い分があればいいたまえ」の一言を待って弁明に入るのがテクニックで、そうすれば自分から言い出したのではなく、聞かれたから答えたという形になります。また、「できるだけのことをしたつもりですが」の一言は、もっと大きな要因があることを暗示する弁解のテクニックです。
また、言葉の行き違いによってトラブルが生じたときの言い方が<言葉の行き違いがあるとき>で、一番よく使われるのが「私の言葉が足りなかったかもしれませんが」という言い方です。なお、「そこまでは考えが回りませんでした」は相手を持ち上げ、自分の不勉強を恥じることで、上司の怒りの矛先を交わすテクニックです。これらはビジネスマンの知恵ですから、覚えておいて損はしません。