ス サノァ∥ミコトという方かたは、大変力たいへんちからの強つよい神様かみさまでしたが、まあ…色々いろいろと乱暴らんぼうをしたため、神様かみさまの国くにである高天原たかまのはらから一時追いちじおい出だされていました。スサノァ∥ミコトは出雲いずもの国 くにの鳥髪 とりかみという所に降 ふり立 たちます 。そこに肥河ひのかわという川かわが流ながれていました。
スサノァ∥ミコトがああ…どうしようと途方とほうに暮くれて [1] おりますと、川かわの上流じょうりゅうから、お箸はしが流ながれてきます。これは村むらがあるに違ちがいない。食くい物ものでももらおうと、スサノァ∥ミコトは川かわに沿そって歩あるいていきます。すると、村むらに出でまして、そこにお屋敷やしきがあるのですが、中なかからおいおい泣なく声こえが聞きこえてきます。スサノァ∥ミコトが屋敷やしきを訪たずねると、年老としおいた夫婦ふうふと若わかい娘むすめの三人さんにんが泣ないているのでした。
スサノァ∥ミコトはわけを聞ききます。「私わたしはこの国くにを治おさめる国くにの神かみで、名なを足名椎あしなづち、妻つまの名なを手名椎てなづちと申もうします。
私わたしたちには以前八人いぜんはちにんの娘むすめがありましたが、ヤマタノァ№チという大蛇だいじゃに、みな飲のみ込こまれ [2] てしまいました。今年ことしもまたヤマタノァ№チが来くる時期じきになりまして、この…最後 さいごに残 のこされたクシナダヒメまで奪 うばわれようとしておるのです 。」
「ヤマタノァ№チ…はて、はてそれはいったい?」「それはもう恐おそろしい怪物かいぶつで。頭あたまと尾おがそれぞれ八やっつずつございして、とにかくでかい。八やっつの山やま、八やっつの峰みねを這はいわたるほどでございます。背中せなかにはワーッと樹木じゅもくが生おい茂しげって、目めはぴかぴか光ひかっております。」
スサノァ∥ミコトは気きの毒どくになります。そんなか弱よわい少女しょうじょを食くい殺ころすなんてけしからんことです。ふと見みると、クシナダヒメは両親りょうしんの陰かげに隠かくれながらぶるぶる震ふるえています。その小しょう動どう物ぶつ的てき可愛かわいさにスサノァ∥ミコトはもう、一瞬いっしゅんで参まいってしまいました。
「あの、そのヤマタノァ№チというのはわしが退治たいじします [3] 。だから娘むすめさんを嫁よめにください。」
「え、そんな急いそぐな。だいたい、あなたは…どういった方かたですか。」「わしはアマテラスァ ∵カミの弟おとうとのスサノァ∥というものじゃ。たった今いま、天界てんかいから降ふり立たったばかりじゃ。」「なんと…そんな高貴こうきなお方かたでしたか。これは、ぜひ、お願ねがいいたします。」というわけで、ヤマタノァ№チを退治たいじすることになりました。
スサノァ∥ミコトはまずクシナダヒメを髪かみに差さす櫛くしの姿すがたに変身へんしんさせ、自分じぶんの髪かみの毛けに差さします。とりあえずクシナダヒメの身みの安全あんぜんを確保かくほしたわけです。
それから八やっつの酒樽さかだるになみなみと酒さけをつぎ、ヤマタノァ№チがやって来くるのを待まちます。
しばらくして、ドドドドドと大地だいちを揺ゆさぶり [4] 、見みるも恐おそろしいヤマタノァ№チが姿すがたを現あらわします。とにかくでかい。八やっつの山やま、八やっつの峰みねを這はいわたるほどです。背中せなかにはワーッと樹木じゅもくが生い茂しげって、目めはぴかぴか光ひかっています。
ァ№チは酒樽さかだるを見みつけ、大喜おおよろこびで八やっつの首くびをバシャーンと酒さけにつけ、ごくごくと飲のみまくります。すっかり酔よっ払ぱらったァ№チ。ぐてーんとだらしなく [5] 体からだを伸のばしています。
そこへ、しずっ、しずっ…スサノァ∥ミコトが近ちかづいていき、「えいっ」抜ぬき払はらった剣けんで、ァ№チの体からだをズダズタに切裂きりさきました。ところが、八やっつの頭あたま、八やっつの尾おのうち一ひとつの尾おだけがどうしても斬きれません。なんか固かたい芯しんが入はいっててゴリゴリ [6] してる感かんじです。
「はて…?なんだこの感かんじは」不思議ふしぎに思おもったスサノァ∥ミコトは尻尾しっぽの肉にくを刀かたなの切きっ先さきで丁寧ていねいに削けずり落おとし、中身なかみを取とり出だしました。それは見事みごとな剣けんでありました。
スサノァ∥ミコトは、剣けんのあまり立派りっぱさに自分じぶんの物ものにするのはもったいないということで、アマテラスァ ∵カミに献上けんじょういたしました。これが後のちに草薙くさなぎの剣けんと呼よばれることになった霊剣れいけんであります。
見事みごと、ヤマタノァ№チを退治たいじしたスサノァ∥ミコトはクシナダヒメと結婚けっこんし、ここ出雲いずもの地ちに宮殿きゅうでんを建たてて住すみました。
スサノァ∥ミコトとクシナダヒメからはたくさんの子供こどもが産うまれ、その子こがまた子こを産うみ、何代目なんだいめか後あとに生うまれたのが、因幡いなばの白しろ兎うさぎで有名ゆうめいなァ ’ニヌシノミコトであります。
[1] 「途方に暮れる」,无路可走、想不出办法。
[2] 「飲み込む」,动词。吞下、咽下。
[3] 「退治する」,动词。消灭、惩办。
[4] 「揺さぶる」,动词。摇晃、震动。
[5] 「だらしない」,形容词。散漫、放荡、不检点。
[6] 「ごりごり」,副词。嘎吱嘎吱。
素 戋呜尊是一位力大无比的天神。但因为他干了很多粗暴无礼的事,所以曾经有一段时间被驱逐出诸神居住的天国——高天原。素戋呜尊降落到出云国一个叫鸟发的地方,那儿流淌着一条叫肥河的河流。
“唉!我该怎么办啊?”正当他不知所措的时候,从河的上游漂来了一根筷子。他想:“这附近肯定有村庄,不如去那里找些食物吧。”于是,素戋呜尊沿着河边向前走。不一会儿,他来到了一个村子。这里有一户人家,从房屋里面传出嘤嘤的哭泣声。素戋呜尊推开了房门,只见屋里有一对老夫妇和他们年轻的女儿三个人在伤心地哭泣。
他便询问其中的原委,那老翁回答说:“我是治理这个国家的国神,名叫足名椎,妻子叫手名椎,我们以前有八个女儿。但其中的七个全都被八歧大蛇吞食掉了。今年,又到了八歧大蛇要来的时候了。唉!连最后剩下的奇稻田姬也很快要被抢走了。”
“八歧大蛇……那究竟是什么玩意儿?”素戋呜尊问道。
“那是一个非常可怕的怪物。它有八个头、八条尾巴,总之体型特别大。身体长得足够蜿蜒盘旋过八座山峰。背上还长着茂密的树丛,眼睛闪闪发光。”老翁回答说。
听完老翁的哭诉,素戋呜尊觉得他们十分可怜。那怪物竟然忍心把如此纤弱的少女吃掉,真是岂有此理!素戋呜尊无意中看到了躲在父母身后、浑身打哆嗦的奇稻田姬,一下子就被她那小动物般的可爱模样迷住了。
“我去消灭掉那条八歧大蛇。请把您的女儿嫁给我吧。”素戋呜尊坚定地说。
“啊?不要那么冲动。话说回来,您是何方神圣?”老翁问他。
“我是天照大神的弟弟素戋呜尊。刚从仙界下来的。”素戋呜尊回答。
“什么……原来是如此尊贵的天神啊。那么,这件事就拜托您了。”老翁欣喜地说。就这样,素戋呜尊准备动身去消灭那条八歧大蛇。
为了确保奇稻田姬的人身安全,他先是把奇稻田姬变成一把梳子,插在了自己的头发上。
接着,他往八个酒桶里灌满了酒,就等着八歧大蛇的到来。
不一会儿,“轰隆隆”一阵巨响,大地摇晃起来,让人毛骨悚然的八歧大蛇现身了。只见这条蛇大得出奇,它的身体可以盘延八座山岭和八座山峰,背上毛峰林立,眼睛闪闪发光。
大蛇发现了酒桶,喜出望外,迫不及待地把八个头伸进酒桶里,咕嘟咕嘟地喝个不停。不一会儿,八歧大蛇便喝得酩酊大醉,缓慢地伸展着它的躯体。
这时,素戋呜尊悄悄地接近大蛇,“嗨!”地大喊一声,猛地拔出剑,把大蛇的身体剁成了几块。然而,它的八个头和八条尾巴之中,有一条尾巴怎么也砍不断,总觉得好像里面有一个硬邦邦的芯似的东西。
“咦?为什么有这样的感觉呢?”素戋呜尊觉得很奇怪,他用刀尖仔细地削开那一条尾巴上的肉,拿出了里面的东西。原来那是一把不可多得的宝剑啊!
这一把剑如此珍贵,如果占为己有,那可真是太浪费了。想到这儿,素戋呜尊决定把它进献给天照大神。这就是被后人称为“天丛云剑”的神剑。
素戋呜尊成功地消灭了八歧大蛇,并和奇稻田姬结了婚,在出云国修建宫殿定居下来。
素戋呜尊和奇稻田姬生了很多小孩,他们的孩子又结婚生子,在经历无数代之后诞生了由“因幡白兔”的故事而闻名的大国主命。
语法详解
(1)体言+という+体言
表示“叫做……”
* これは何という花ですか。
这花叫什么?
* 人は彼を天才という。
人们把他叫做天才。
* 鈴木という人からあなたに電話がありました。
一个叫铃木的人给你打了电话。
(2)動詞推量形う/よう+とする
表示动作主体的意愿。主语不受人称限制。相当于“想……”“欲……” “打算……”
* 自分の欠点を隠そうとして、黙ってしまった。
想掩盖自己的缺点,于是默不作声。
* 娘は大学に入学しようとしたが、失敗した。
女儿想上大学,但没考上。
* 夜家に帰ろうとしたが、終点バスに間に合わなかった。
晚上想回家,但没赶上最后一班公共汽车。
小知识
草薙の剣
天叢雲剣(あめのむらくも剣)ともいう。日本神話で、三種の神器の一つ、スサノァ∥ミコトが退治したヤマタノァ№チの尾から出たという剣。後に日本武尊が伊勢神宮でこれを拝受し、東征の途上の駿河国で、この神剣によって野火の難を払い、「草を薙いだ剣」と考えて、草薙の剣の別名を与えた説が広く知られている。三種の神器の中では天皇の持つ武力の象徴であるとされる。神話上重要な剣であるため、この剣は模造、偽造、盗難、消失、水没と様々な遍歴を辿った。結果、現在の所在については諸説語られていて、名古屋市の熱田神宮の祀られると考えるのが普通である。
薙草剑
亦叫天从云剑。日本神话中的三大神器之一,传说是素戋呜尊杀死八歧大蛇时,从大蛇尾巴中发现的。后来,日本武尊在伊势神宫获授此剑,在东征至骏河国时,凭借此剑平息了野火之灾,作为“横砍野草之剑”而被赠与“薙草剑”之名,流传至今。薙草剑在三大神器中象征着天皇所持有的武力。因为此剑是神话中非常重要的一把剑,所以历经了仿制、伪造、被盗、灭失、水淹等。关于该剑现在所存放的地点众说纷纭。目前普遍认为,该剑被供奉在名古屋市的热田神宫中。