遠い昔、祖母が語ってくれた。流れ星を見た後、最初に知り合った人は運命の人だと。そんなことを思い出したのは、ペンションのテラスから流れ星が見えたからだ。
あ、また、流れました。
不意に声がした。
横を見ると、初老の男性が、夜空を見ていた。この人が、私の運命の人?私は、おかしくてクスッと笑った。
その男性はいぶかしげに私を見た。
いえ、何でもないです。
私は答えた。
その男性は、しばらく、私の顔を見つめた後、相模さん?と私に尋ねた。それは母の姓だった。
私はそのことを彼に伝えた。
お母さんの名前は静子さんですか?
はい、そうです。
そうですか、私は、お母さんの古い友人で、谷田六郎と言います。
そう言って、殻は感慨深げに私を見つめた。その視線は、暖かった。しかし、少し悲しげもあった。
母はこの人を好きだったのでは、私は不意に思った。そして、この人も母のことを。
お父さん
声がした方を振り返ると、美しい瞳をした私と同年配の青年が立っていた。私は、その時、何か感じた。それは、何かが始まるといった予感めいたものだった。
私は、祖母の言葉をもう一度、頭の中で繰り返してみた。