第八課 発表のしかた
本文
研究したことや調査したことなどを発表したり報告したりする場合、要点を書いたメモをもとにして、聞き手によくわかるように話しましょう。
どんなことを話すか、その要点は何か、どんな順序に話すかなどを考え、発表の内容をまとめておくのです。特に重要な事柄には、印を付けておくのもいいでしょう。また話の初めをどうするか、どのように話を結ぶかも考えて、書いておきましょう。
発表するときは、十分に間を置いたり、必要なときには特に強めて言ったりするなどの工夫をして、聞き手に分かるようにしましょう。
また、発表を聞くときには、大事なことを聞き落とさないように気を付けましょう。このときも必要に応じてメモを活用するといいでしょう。後で発表の内容を容易に思い出すことができるし、大事なことを人に伝えるときにも役立つからです。
会話
ひろ子 :おじさん、私ね、来週、クラスで研究発表をする予定になっているんですけれど、心配なんです。
おじさん:ほう、研究発表をねえ。おもしろいじゃないか。何が心配なの。
ひろ子 :私は、人の前に立つと、どきどきしてきて、話そうと思うことが、うまく話せないので、それが心配なんです。
おじさん:でも、相手は、毎日一緒に勉強している友達や先生だろう。心配しなくてもいいと思うけれどな。
ひろ子 :ええ。友達と話し合ったり、先生の質問にちょっと答えるくらいなら平気なんですが、研究発表とか報告とか、まとまったことをひとりで長く話すのが、うまくできないんです。
おじさん:なるほど。ところで、ひろ子さんは、どんな発表をするの。
ひろ子 :ひよこの成長を観察しているので、それを発表するつもりです。
おじさん:ははあ、ひろ子さんは、動物が好きだし、よく鶏の世話をしているからね。それで、発表することはまとまっているの。
ひろ子 :ええ、だいたいまとまっているんですけれど……。
おじさん:だいたいか。ちょっと心細いね。人にわかるように話すには、話そうとすることを、一度きちんと書いてみるといいね。形式はどうでもいいから。そうすると、話すことが、ほんとうに自分のものになるよ。
ひろ子 :はい、書いてみます。
おじさん:それからね、聞かせるだけでなく、見せることも大事だよ。ひろ子さんは、ひよこの生活をスケッチしているだろう。
ひろ子 :スケッチも書いてありますし、成長の様子を調べた表や、目方を量ったグラフもあります。
おじさん:それ、それ。そのスケッチやグラフをみんなに見えるくらい大きく書いて、これはこうだ、ここはこうなっていると、むちでさしながら話をするんだね。ものによっては、事物や写真を見せるのもいい。そうすると、きっと、みんなよく聞くよ。それに、ひろ子さんも、らくに話せる。それから、さっき心配だと言っていた、どきどきするということね、少し取り越し苦労じゃないかな。初めちょっと恥ずかしくても、みんなの方をよく見て、はっきり、ゆっくり話していると、そのうちに、きっと落ち着いてくるよ。
ひろ子 :そうですか。それじゃ、用意してやってみます。
おじさん:やってごらん。思い切って一度やると、話す力もぐんと伸びるし、ひろ子さんの観察も、またずっと進んでいくよ。
応用文
お金の話
私たちは、毎日、お金を使って生活しています。お金無しに、生活は成り立ちません。そこで、私は、お金について調べてみました。そのことを、これから発表します。
大昔には、お金というものはありませんでした。物と物とを取り替えて暮らしていたのです。それでは不便なので、手軽に持っていって、どんなものとでも取り替えられるもの、そんなものがあれば便利だと思うようになりました。そうして、今のお金に似たものが考え出されました。
中国では、昔、貝殻が使われました。当時、貝殻は貴重品だったのです。それで、お金に関係のある漢字には、みな貝という字が付いています。例えば、貸、貴、財などです。日本では、稲を使いました。「値段」の「ね」は、「いね」の「ね」から来ているという説があるそうです。江戸時代になっても、武士の給料を米の量で決めていたのは、その名残りだと思います。
そうしているうちに、金属でお金を作ることを考えました。金属には価値があるし、腐ったり壊れたりしません。決まった分量に分けることもできるし、持ち運びも便利だからです。日本でも、今からおよそ千三百年前、元明天皇のときに、銀と銅で作りました。その後、銀貨、銅貨のほかに、金貨も作られました。
ところが、金属のお金でも、たくさんになると重くて不便です、そこで、紙に印刷したものを使うようになりました。これが、今日使われている紙幣です。
また、銀行に預金があれば、お金と同じ働きをする小切手などを使うことができます。これなら、手元にお金がなくても、物を買うことができます。
私は、お金のことを調べてみて、お金がどんなに便利なものかよく分かりました。お金のことを中心とした経済という学問もあるということです。私は、これからも、お金のことをもっと詳しく調べてみたいと思いました。私の発表は、これで終わりです。
ファンクション用語
賛成と反対
A 今の提案についてどうお考えですか。
B ああ、それはいいことですね。大いによろしいと思います。
C 私も今の提案に賛成します。
A 異議はありませんか。
D 残念ですが、今の提案はだめです。私は賛成できません。反対です。
単語
要点(ようてん)(名)③ 要点
順序(じゅんじょ)(名)① 次序,过程
事柄(ことがら)(名)〇 事情,事态
結ぶ(むすぶ)(他五)〇 系,结
間を置く(まをおく)(組) 留出时间
強める(つよめる)(他一)③ 加强
聞き落とす(ききおとす)(他五)④ 听漏
活用(かつよう)(名 自他サ)〇 实际应用
ひろこ(博子 寛子 弘子)(専)① (人名)
ほう(嘆) 嗬(吃惊或感叹时发出的声音)
どきどき(副 自サ)① (心)怦怦跳
纏まる(まとまる)(自五)〇 概括,总结
観察(かんさつ)(名 他サ)〇 观察
心細い(こころぼそい)(形)⑤ 心中没底,孤独
きちんと(副)② 整齐,好好地
スケッチ(名 他サ)② 速写,写生(sketch)
表(ひょう)(名)〇 表格
それ、それ(代)〇 就是它,就是它
鞭(むち)(名)① 鞭子
取り越し苦労(とりこしくろう)(名 自サ)⑤ 自寻苦恼
恥ずかしい(はずかしい)(形)④ 害羞,惭愧
そのうちに(副)〇 过一会儿,不久
思い切って(おもいきって)(副)②④ 大胆地,断然地
ぐんと(副)〇 使劲,一口气的
成り立つ(なりたつ)(自五)〇③ 成立,形成
大昔(おおむかし)(名)③ 远古
手軽(てがる)(名 形動)〇 简便
そうして(接)〇 然后
貝殻(かいがら)(名)〇 贝壳
貴重品(きちょうひん)(名)〇 贵重品
稲(いね)(名)① 稻
説(せつ)(名)①〇 主张,说法,学说
武士(ぶし)(名)① 武士
名残り(なごり)(名)③ 遗痕,残余
金属(きんぞく)(名)① 金属
価値(かち)(名)① 价值
壊れる(こわれる)(自五 自一)③ 坏,碎
分量(ぶんりょう)(名)③ 分量,数量
持ち運ぶ(もちはこぶ)(名)〇 搬运
凡そ(およそ)(副)〇 大约;完全
元明天皇(げんめいてんのう)(専)③ (日本天皇,661-772年)
銀(ぎん)(名)① 银
銅(どう)(名)① 铜
銀貨(ぎんか)(名)① 银币
銅貨(どうか)(名)① 铜币
金貨(きんか)(名)① 金币
預金(よきん)(名 自他サ)〇 存款
小切手(こぎって)(名)② 支票
手元(てもと)(名)③ 手头
経済学(けいざいがく)(名)③ 经济学
学問(がくもん)(名 自サ)② 学问
(感谢 xzbaszy 输入课文和单词)
一、…をもとにして(本文)
要点を書いたメモをもとにして、聞き手によくわかるように話しましょう。
表示以……为依据,以……为参考。与「…をもととして」意思相同。
この記事は二人の学者の対談をもとにして書かれたものだ。
这篇报道是以两位学者的谈话为依据写的。
この映画は同名小説をもとにして作り変えたものだ。
这部电影是依照同名小说改编的。
二、「に」表示主体(本文)
聞き手によくわかるように話しましょう。
「に」接在体言后面表示主语。后续动词一般为表示可能的动词。
とても私に買えるような値段ではない。
绝不是我能买的价格。
この山ならわたしにも登られる。
这座山,我不能登上去。
三、~の(会話)
何が心配なの。
(1)表示询问,要用升调。男女都用。相当于「のですか」。
細かいのがないの。
没有零钱么?
あなたもその本、買ったの。
你也买了那本书么?
(2)表示轻微的断定。常用「のよ」。女子用语。相当于「のです」。
あなたに見せたいものがあるの。会社の帰りに家へ寄ってくださらない?
有样东西想给你看。从公司回家时能不能来一下我家?
いま気分が悪いので、何も話したくないの。
现在心情不好,什么也不想说。
(3)表示轻度的命令。相当于「しなさい」。
話さないで、よく聞くの。
不好说话,好好地听。
アルバイトなんかしないで、勉強だけしていればいいの。
不要打什么工了,只要学习就行了。
(4)确认对方的判断,常用「のね」。女子用语。相当于「のですね」。
これは本当にあなたが書いたのね。ずいぶん上手になったのね。
这个真是你写的么。真的写得好多了。
明日の発表会で、李さんも発表するのね。
明天的发表会上小李也作发表的吧。
四、「のだ」表示要求(会話)
むちでさしながら話をするんだね。
「のだ」除了用于说明,还可表示要求。「のだ」接近于命令、禁止的表达方式。
食べる前には手を洗うのですよ。
吃饭前要洗手。
そんなことは、早く忘れるんだ。
那样的事,早点忘了吧。
五、…によっては(会話)
ものによっては、実物や写真を見せるのもいい。
「によって」表示一般情况,「によっては」强调个别情况。
その話を聞けば、人によっては怒るかもしれない。
听了这话,有的人也许会生气。
場合によってはそうしてもよい。
有的场合那样做是可以的。
六、体言+なしに(は)(応用文)
お金なしに生活は成り立ちません。
「…なしに…ない」表示没有……就没有……,与「…がなくては」意义相同。
調査することなしには発言できない。
没有调查过就不能发言。
長い間の努力なしに、成功できない。
没有长时间的努力,就不能成功。
七、どんなに…か(応用文)
お金がどんなに便利なものかよく分かった。
表示感叹,用于书面语。
この病気がどんなに苦しいかは、経験のない人には分からない。
这个病有多痛苦,没有经历过的人是不会懂得。
読んでみると、どんなにつまらないか分かるよ。
读过后,你就知道有多么无聊。
八、なるほど(会話)
なるほど。ところで、ひろ子さんはどんな発表をするの。
(1)表示事实果真如自己以前了解的那样。
新幹線は速いと聞いていたが、なるほどもう東京に着いてしまった。
新干线速度很快,果真如此,车已经到东京了。
「おもしろいから、ぜひ読んでみろ」と父が言っていたが、なるほどこの本はおもしろい。
父亲说“因为这本书有趣,一定要读”,果真如此,这本书有趣。
(2)表示赞同。
「こうすれば問題は解決するでしょう。」「なるほど、そうですね。」
“只要这样做问题就能解决了吧”“的确,就是那样啊。”
なるほど、これから安心して使える。
的确,这样就可以放心地使用了。