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古山博士_妖星人R_江户川乱步_日本名家名篇_日语阅读_日语学习网

时间: 2024-10-24    作者: destoon    进入日语论坛
核心提示:古山ふるやま博士ひとりの新聞記者が、この話を聞きつけて、別所君をたずねてきました。そして、いろいろ質問して、これはうそじ
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古山ふるやま博士


ひとりの新聞記者が、この話を聞きつけて、別所君をたずねてきました。そして、いろいろ質問して、これはうそじゃない、とおもいました。かれは東京の毎朝まいちょう新聞の銚子支局の記者でしたが、さっそく、くわしい記事を書いて、本社に送りました。その記事が毎朝新聞に大きくのったのです。それには別所次郎君の書いた、怪物の写生図しゃせいずまではいっていました。
カニ怪人Rのことは、これで東京じゅう、いや、日本じゅうに知れわたりました。どこへいっても、カニのおばけのうわさで、もちきりです。さかな屋さんの店で、カニをみても、なんだか、うすきみわるくなるので、さっぱりカニが売れなくなったといわれるほどでした。
そんなある日のことです。みなと区の古山博士のうちで、へんなことがおこっていました。
古山文学博士は、岩谷いわや美術館の館長でした。この美術館は、岩谷というお金持ちがたてたもので、陳列室が五つぐらいしかない、小さな美術館でしたが、美術品は、つぶよりのものが、そろっていました。ことに、仏像の部屋には、奈良なら時代から鎌倉かまくら時代までの、国宝や重要美術品がいっぱいならんでいるのです。
古山博士は、古美術研究の大家たいかで、三年ほどまえから、この美術館の館長をつとめていました。美術館も港区にあり、博士のうちからは、一キロぐらいのちかさでした。
博士の家族は、奥さんと、ひとりっ子の古山忠雄ただお君と、書生さんと、女中さんの五人暮らしです。
この忠雄君は、小学校六年生で、名探偵明智小五郎あけちこごろうの助手の小林こばやし少年が団長をやっている、少年探偵団の団員でした。
その日は、古山博士は美術館から、はやくかえっていましたが、午後四時ごろ、洋室の書斎にはいったかとおもうと、大声で、忠雄君をよびつけました。
「パパ、なに。」
忠雄君が、いそいで書斎にはいっていきますと、おとうさんは、デスクの前に、つったって、じっと、その上をみつめているのです。
「これ、おまえが書いたのか。」
みると、デスクの上に、おとうさんの大型の日記帳がひらいてあって、そのページいっぱいに、字だか、絵だかわからないような、上のような形のものが書きなぐってあるのです。それをひと目みると、忠雄君が、とんきょうな声をたてました。
「あっ、ここにも……パパ、おんなじものが、ぼくのノートにも書いてあったよ。」
忠雄君は、いきなり、書斎をかけだして、じぶんの勉強部屋から、一冊の大学ノートをもって、もどってきました。そのノートにも、ページいっぱいに、おなじいたずら書きがしてあるのです。
ふたりは、だまって、目を見あわせていましたが、やがて、忠雄君が、青ざめた顔で、ささやくようにいいました。
「パパ、これ英語のRという字じゃない?」
「うん、そういえばRだね。だが、この二つのまるは、なんだろう。」
「目だよ。」
「えっ、目だって?」
「カニ怪人の目だよ。そして、あいての名はRっていうんだ。Rすい星からきたやつだからね。」
「おまえは、なにをいうんだ。まさか……。」
「だって、新聞にそう書いてあったでしょう。カニ怪人は、じぶんのことをRとよんでくれといって、地面にRの字を書いてみせたって。そのRがカニ怪人の形とよくにていたと書いてあったでしょう。きっと、あいつだよ。」
「おまえは、少年探偵団だから、そんなふうに考えるんだよ。こんないたずら書きをするのには、その怪物が、うちへしのびこまなければならない。そんなことができるものじゃないよ。だれかが、いたずらをしたんだ。カニ怪人なんかじゃない。ひょっとしたら、おまえの友だちがやったんじゃないかい。さっき、二―三人、あそびにきてたじゃないか。」
「ぼくの友だちは、こんないたずらしませんよ。ねえ、パパ、あいつは、あの推古仏すいこぶつをねらってるんじゃないのかしら。書庫の中においてあるんでしょう。だいじょうぶなの。」
推古仏というのは、高さ二十センチぐらいの小さな仏像ですが、七世紀ごろの作品で、たいへん貴重な宝物なのです。それを、あるお金持ちからかりだして、岩谷美術館に陳列することになったのを、博士が一時あずかって、本を入れてある書庫の中においてあったのです。
「パパはいま書庫からでてきたばかりだ。推古仏はちゃんと、たなの上にあったよ。いつものように、錠前じょうまえをおろしてきた。窓には鉄ごうしがはめてあるし、壁はコンクリートだ。いくら怪物でも、あの書庫はやぶれないだろう。……いや、おまえのおもいすごしだよ。そんなへんなかっこうのやつがウロウロすれば、町でも、家の中でも、すぐみつかってしまうはずだ。あの新聞の記事だって、漁師のこどもがみたというだけで、そのまま信用はできないのだからね。」
でも、忠雄君はどうも安心ができません。きっと、どこかに、あいつがかくれているんだとおもいました。新聞にでていた、あの頭でっかちのカニのおばけが、そのへんにいるのかと考えると、ゾーッと、さむけがしてくるのでした。

 

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