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ボスコム谷の惨劇(3)_シャーロック・ホームズの冒険(冒险史)_福尔摩斯探案集_日语阅读_日语学习网

时间: 2024-10-24    作者: destoon    进入日语论坛
核心提示:検視官『お父さんは亡くなる前にあなたになにかいいませんでしたか?』証人『なにかぶつぶつとつぶやきましたが、ネズミがどうの
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検視官『お父さんは亡くなる前にあなたになにかいいませんでしたか?』

証人『なにかぶつぶつとつぶやきましたが、ネズミがどうのというようなことしか聞き取

れませんでした』

検視官『それはどういう意味だと思いますか?』

証人『どういう意味か、ぼくにはまったくわかりません。うわごとをいってるんだと思い

ました』

検視官『あなたがお父さんと口論になった原因はなんですか?』

証人『それはいいたくありません』

検視官『それでも、ぜひ教えてください』

証人『どうしても、答えられません。そのあと起こった悲劇とはなんら関係がないという

ことは誓って申し上げます』

検視官『それは法廷が決めることです。いうまでもありませんが、答えを拒否すると、今

後の審理において、著しく不利な立場に置かれることになりますよ』

証人『それでも答えられません』

検視官『〝クーイー!〟という叫び声は、あなたとお父さんのあいだでふだんから使って

いた合図なんですね?』

証人『そうです』

検視官『それならなぜ、お父さんはあなたの姿を見る前にその合図を発したのですか?

お父さんはあなたがブリストルから帰ってきたことも知らなかったのでしょう?』

証人(かなり困惑して)『ぼくにはわかりません』

陪審員『悲鳴を聞いて引き返し、お父さんが大怪我をして倒れているのを見たとき、なに

もあやしいものを見なかったのですか?』

証人『はっきりとはなにも見ませんでした』

検視官『それはどういう意味ですか?』

証人『ぼくは池のそばの空き地に駆けこんだとき、すごく気が動転していたし、興奮して

いたんです。父さんのことしか考えられませんでした。でも、走りながら、左手の地面に

なにかが落ちているような感じがしました。灰色のコートか肩掛けのようなものに見えま

した。父さんを置いて立ち上がったとき、そっちを見ましたが、そのときはもうなにもあ

りませんでした』

検視官『あなたが助けを求めにいく前になくなっていたということですか?』

証人『そうです』

検視官『それがなんだったか、はっきりしないのですね?』

証人『はい、そこになにかあったような感じがするというだけで』

検視官『死体からどれくらい離れたところにありましたか?』

証人『十ヤードかそこらです』

検視官『森の端からは?』

証人『同じくらいです』

検視官『では、もしそれが持ち去られたとすると、それはあなたが十ヤードほどの距離に

いたあいだのことなんですね?』

証人『はい、でもぼくはそっちに背を向けていました』

 以上で証人の尋問は終わった」

「なるほど」ぼくは記事に目を落としながらいった。「検視官の最後の質問は、ジェイム

ズ・マッカーシーに対して、かなり厳しくあたっているという感じがするね。しかし、父

親がジェイムズの姿を見る前に合図をしたことや、ジェイムズが口論の内容を話すのを拒

否したこと、父親の死に際の言葉についてのおかしな説明などは、検視官ならずとも突っ

こみたくなる点じゃないか。これらはぜんぶ、検視官のいうとおり、ジェイムズ・マッ

カーシーにとって著しく不利なことばかりだよ」

 ホームズは小さく笑って、クッションのきいた座席に寝転がった。「きみも検視官も、

この若者にとって非常に有利な点を、苦労して見つけてくれたようなもんだ。きみの言い

分でいくと、ジェイムズ・マッカーシーはそのときどきで、非常に想像力に富んでいた

り、反対に想像力のかけらもなかったりすることになるんだよ。たとえば、口論の原因に

ついて、陪審員たちが同情してくれるような作り話を考え出すことができないというの

は、彼に想像力がなさすぎることの証拠だ。反対に、父親が最後にネズミについてなにか

いったとか、すぐそばにあった服がなくなったとか、そういうとっぴなことを頭のなかで

考え出したのだとしたら、非常に想像力に富んでいるという証拠だ。そんなのはまったく

おかしい。ぼくはこの事件を調査するにあたって、この若者がほんとうのことをいってい

るという観点に立つつもりだ。そうすることで、どういう結果になるか、みてみようじゃ

ないか。さて、じつはペトラルカ( 注・イタリア、ルネサンス期の詩人 )のポケット版詩集を持って

きてるんだ。これからもう現場に着くまでは、この事件に関してなにもいわないことにす

る。スウィンドンで昼食だが、あと二十分あるね」

 美しいストラウド渓谷や、きらきら光を反射する大きなセヴァーン川を通り過ぎ、四時

近くになってようやく美しい田舎町、ロスに着いた。やせこけて狡こう猾かつなイタチの

ように陰険な顔つきの男が、ホームでぼくたちを待っていた。田舎町の雰囲気に合わせ

て、明るい茶色のダストコートや革のゲートルを身につけているが、この男がスコットラ

ンド・ヤードのレストレイド警部であることはすぐにわかった。ぼくたちは彼といっしょ

に馬車に乗って、「ヘレフォード・アームズ」という宿へ向かった。そこにぼくたちの部

屋が用意されているという。

「馬車も用意しておいたよ」レストレイド警部は宿に着いてお茶を飲んでいるときにいっ

た。「あんたが精力的に動くことや、現場にいくまで満足しないことはよく知っているか

らね」

「それはおそれいります。しかし、なにもかも気圧次第でしてね」

 ホームズがそういうと、レストレイドはびっくりした。「どういうことだね?」

「晴雨計はどうなってる? 二十九か。なるほど。風もなく、空には雲ひとつない。タバ

コも箱いっぱい持ってきたから吸わなきゃいけないし、ここはソファも田舎のホテルにし

ては上等だ。たぶん今夜は馬車を使うことはないでしょう」

 レストレイド警部は鷹おう揚ように笑った。「どうやらもう新聞記事から結論を導き出

したようだね。こんどの事件は単純明快で、調べれば調べるほど、答はあきらかになって

くる。しかしご婦人の頼みは断るわけにいかんからな。とくにあんなにやいやいいわれる

とかなわん。どこかでホームズ君の噂を聞いたらしくて、意見を聞きたいというんだ。も

ちろんわたしは何度も念を押したよ。いくらシャーロック・ホームズだって、わたしがす

でにやった以上のことをできるわけがないと。おや、噂をすれば影だ。ご当人の馬車が

やってきたぞ」

 レストレイド警部の言葉が終わる間もなく、目も覚めるような美しい若い女性が部屋に

駆けこんできた。すみれ色の目をきらきらさせて、唇をなかばひらき、頰をほんのりばら

色に染めて、本来の慎み深さを忘れたかのように、興奮と懸念をあらわにしていた。

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