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第二章 事件の端緒(2)

时间: 2023-11-07    进入日语论坛
核心提示:「日付は?」とホームズは、手帳を開きながらたずねた。「消息を絶ったのは、一八七八年十二月三日でかれこれ十年になります」「
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    「日付は?」とホームズは、手帳を開きながらたずねた。
「消息を絶ったのは、一八七八年十二月三日で……かれこれ十年になります」「お父さんの荷物は?」「ホテルにありました。手がかりになるようなものは一つもありませんでした……衣類と何冊かの本と、それにアンダマン島からもってきた珍しいお土産みやげがかなりありました。父はその島の囚人警備隊の隊長をしておりました」「お父さんはロンドンに友達をお持ちでしたか?」「存じておりますのは、一人だけ……ショルト少佐という、父と同じ連隊、第三十四ボンベイ歩兵連隊の方です。しばらく前に退役して、アパー?ノーウッドに住んでいらっしゃいました。もちろん、この方とも連絡をとりましたが、父が帰国していることすらご存知ありませんでした」「奇妙な事件ですね」とホームズがいった。
「本当に奇妙なお話はこれからです。六年ほど前……正確に申しますと一八八二年五月四日……タイムズ紙に、メアリー?モースタン嬢の居所をたずねる、本人自ら名乗り出れば有利なことになろう、という広告が出ました。広告主の名前も住所もありませんでした。わたしはその時、家庭教師としてセシル?フォレスター夫人のお家に入ったばかりでした。夫人にすすめられて、私は広告欄に自分の住所をのせました。その日のうちに、小さなボール箱が郵便小包でとどきました。中にはとても大きな、光沢のある真珠が入っています。手紙などは同封してありません。それ以来、毎年この日がくると、同じような真珠の入った、同じような箱がとどくのですが、送り主はいぜんわからないままです。真珠は専門家によると、珍しい種類のもので、相当の値打ちだということです。ご覧ください、とてもきれいですよ」 そういいながら、彼女は平たい箱をあけ、これまで見たこともない、見事な六つの真珠を見せてくれた。
「お話は実に興味深い」とシャーロック?ホームズはいった。「他に何がありませんでしたか?」「ありました、今日この日にです。だから、こうしてご相談にうかがったのです。今朝こんな手紙を受け取りました。どうぞ、お読みください」「ありがとう」とホームズはいった。
「封筒もいっしょにどうぞ。消印はロンドン南西地区局。日付は七月七日。ふん、隅に男の親指の指紋がある……たぶん郵便屋のだろう。最上質の便箋。一束六ペンスの封筒。文房具にかけてはやかましい人だな。差出人の住所なしか。
『今夜七時、ライシアム劇場そとの左から三本目の柱に来てください。信用できないなら、友人を二人連れてくるとよろしい。貴女は不当な仕打ちを受けたのですから、その埋め合わせをしてあげたい。警官を連れてきてはなりません。そうするとすべてが水の泡あわです。未知の友より』 なるほど、こいつはちょっと不思議な事件だ。モースタンさん、あなたはどうなさるおつもりです?」「実はそれをおたずねしたいのです」「では、わたくしたちがまいりましょうか……あなたとぼくとそれに……そう、こちらのワトスン医師とね。相手は友人二人といっています。この男とぼくは以前、いっしょに仕事をしていました」「でも、おいでいただけますかしら?」声と表情に訴えるような調子をこめて、彼女はいった。
    「何かお役に立てば」と私は熱心にいった。「光栄かつ喜びとするところです」「お二人とも本当にご親切に」と彼女は答えた。「わたしは世間と没交渉にしてきましたので、相談する人もいないのです。六時にこちらへうかがえばよろしゅうございますか?」「それより遅くてはいけません」とホームズがいった。「それから、もう一つうかがっておきます。この筆跡は、真珠箱の宛名の筆跡と同じものですか?」「それはここに持ってきております」そういって彼女は、数枚の紙きれを取り出した。
「ほんとに、あなたは模範的な依頼人です。いい
 
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