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第十二章 ジョナサン・スモールの不思議な物語(1)_四つの署名(四签名)_福尔摩斯探案集_日语阅读_日语学习网

时间: 2024-10-24    作者: destoon    进入日语论坛
核心提示:第十二章 ジョナサン・スモールの不思議な物語 さんざん待たしたあげく、私は馬車にいる警官のところへ戻ったのだが、彼はよほ
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第十二章 ジョナサン・スモールの不思議な物語

 さんざん待たしたあげく、私は馬車にいる警官のところへ戻ったのだが、彼はよほど辛抱強い男であるらしかった。私が空の箱を見せると、彼は顔を曇らせた。

「手当てはふいだ!」彼は憂鬱そうにいった。「金がなければ、手当てもなしです。宝が見つかっていれば、今晩の仕事でサム・ブラウンとわたしは十ポンドはもらえるはずだったんだが」

「サディアス・ショルトさんは金持ちだから」と私はいった。「宝があるなしにかかわらず、お礼はするでしょう」

 しかし、警官は絶望したように首をふった。

「骨折り損だ」と彼はくり返した。「アセルニー・ジョーンズさんだってそういうだろう」

 彼の予言したとおりだった。私がベーカー街に行って空の箱を見せた時、警部は気の抜けたような顔をした。ホームズと捕虜と警部は、途中、予定を変更して、警察署へ報告に立ち寄ったので、到着したばかりのところだった。わが友はいつもの落着かない表情で、肘掛け椅子に腰をおろしていた。それと向かい合わせたスモールが、丈夫なほうの足に義足を乗せて、どっかりと坐っていた。空の箱を見せると、彼は椅子にのけぞって、大声で笑った。

「スモール、お前のしわざだな」アセルニー・ジョーンズは腹立たしげにいった。

「そうさ。絶対にあんたらの手のとどかない所に隠してある」彼は勝ち誇ったように叫んだ。「おれの宝だからな。自分のものにできないのなら、人にも絶対手渡さんぞ。いいかね、あの宝は、アンダマンの囚人収容所にいた三人の奴らと、このあっし以外、誰にも手のつけられないものなんだ。もう宝はおれには用なしになってしまったし、あの連中にしたってそうだ。あっしは自分のためばかりじゃなくて、奴らのためにも事を運んできたんだ。あっしらにとっては、いつも四つの署名だったんだ。みんなだって、あっしがやったとおりのことをやったろうし、ショルトやモースタンの身内なんかに宝をくれるくらいなら、テムズ河へ捨ててしまっただろう。あっしらはこういう連中を金持ちにするために、わざわざアクメットをあんな目に会わせたんじゃない。宝はな、鍵がある場所、そしてちびのトンガがいる場所にあるのさ。あんたらの船に追いつのられた時、宝は安全な場所へしまっておいたんだ。せっかくのご足労だが、あんたらには一ルピーもないよ」

「でたらめをいうな、スモール」アセルニー・ジョーンズが厳しい口調でいった。「宝をテムズ河に捨てるなら、箱ごと投げるほうが簡単じゃないか」

「投げるのも簡単だが、見つけられるのも簡単さ」ずる賢がしこそうな流し目をしながら、彼は答えた。「あっしを捕えられるほど頭のいい奴なら、川底から箱を探すくらいのことは朝めし前さ。だが、宝は五、六マイルにわたって散らばっているから、これは簡単にはいかないよ。捨てる時には心が張り裂けそうだった。あんたらに追いつめられた時には気が狂いそうだった。だが、めそめそしたって始まらねえや。これまでいいことも悪いこともいろいろあったが、後悔だけはやめようってきめたんだ」

「これはきわめて重大なことだ、スモール」と警部はいった。「もしおまえがこんなふうに正義にたてついたりせず、正義に力を貸すならば、裁判ではずっと有利になるんだぞ」

「正義だって!」かつて囚人だった男はどなった。「何が正義だ! 宝だって、あっしらのでなけりゃ、誰のものだい? 自分で手に入れたのでもない奴らに、そいつを渡さなきゃならんなんて、何が正義だよ! いいか、おれがそれをどうやって手に入れたか、教えてやろうか? あの熱病にとりつかれた沼の中で、二十年もの間、一日中、紅樹マングローブの下でこき使われ、夜は汚ない囚人小屋で鎖につながれ、蚊に喰われ、おこりに苦しめられ、白人のまねがすきな、あのいまいましい黒人の警官どもに小突こづかれどおしだったんだぜ。こうしておれは、宝を手に入れたんだ。それなのに、おれが人を喜ばせるためにこんな犠牲を払うなんてまっぴらだというだけで、あんたは正義などとぬかしおる。他人がおれの金で御殿に入ってのんびりやっている、などと牢屋の中で考えるくらいなら、何回も首をくくられるなり、トンガの毒矢をつき刺されるなりしたほうが、おれにはましだ」

 スモールは平静な態度をかなぐり捨てて、このように猛然とまくしたてた。その間、彼の目は燃えるように輝き、激しく両手を振るたびに手錠が鳴った。私はその激怒する姿を見ながら、この男に追われていることを知った時、ショルト少佐は恐怖に襲われたというが、それはなるほど無理もないことだと合点した。

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