中南米に生息する小さくて茶色いトゥンガラガエルは、浅い池に座り、「クーン」や「コッコッコッ」という音を組み合わせた独特な求愛の鳴き声を響かせる。
その声は、口の下にある「鳴嚢」を膨らませたりしぼませたりすることで出しており、その際に足元の水たまりに波紋が広がる。研究者らは、この「水紋」が他のオスとの競争や、カエルを狙うコウモリの捕食行動にどういう影響を与えるかに注目した。
研究の結果、求愛の鳴き声を上げた時に波紋を伴うと、波紋なしの場合よりもライバルの鳴き声を誘引する傾向がより高くなることが分かった。さらに、天敵のコウモリが生来備わっている音波探知能力を使ってこの波紋をキャッチすると、暗いところにいるカエルでも見つけ出せることを発見した。
カエルは、コウモリを一目見れば鳴きやむが、遅きに失することがほとんど。しかしカエルが落ち葉のたまった場所にいて水紋が広がらないと、コウモリの探知能力は役に立たないという。
米テキサス大学オースティン校(University of Texas at Austin)、パナマ・スミソニアン熱帯研究所(Smithsonian Tropical Research Institute)、オランダ・ライデン大学(Leiden University)、米メリーランド(Maryland)州のソールズベリー大学(Salisbury University)の研究者らがまとめたこの研究の論文は、米科学誌サイエンス(Science)に掲載される。
難しい言葉:
【テキサス大学オースティン校】德克萨斯大学奥斯汀分校
【オランダ・ライデン大学】荷兰莱顿大学
【ソールズベリー大学】索尔兹伯里大学