ニュージーランド南部で起きた地震で語学学校が入っていたビルが倒壊したことについて、現地の建物に詳しい専門家は「柔らかい構造の建物の中にエレベーターが設置された頑丈な部分があったために建物がねじれるように揺れ、倒壊した可能性がある」と指摘しています。
建築工学が専門の東京大学の神田順教授はおととし、クライストチャーチの大学に半年間滞在し、ニュージーランドの耐震基準などを研究しました。神田教授によりますと、ニュージーランドの耐震基準では、倒壊を防ぐために建物に求められる強度は日本とほぼ同じレベルになっているものの、地震の揺れを抑える力は日本の半分程度でよいことになっています。このため現地の建物の多くは、地震の際、ある程度変形して揺れを吸収することで倒壊を防ぐ、柔らかい構造になっているということです。そのうえで倒壊したビルについて神田教授は「柔らかい構造の建物の中にエレベーターが設置された構造の頑丈な部分がある。このため、『偏心』と呼ばれるバランスの崩れた状態になり、エレベーター部分を中心に建物がねじれるように揺れて倒壊した可能性がある」と指摘しています。また、神田教授は「建物の構造のバランスは設計の段階から考慮しているはずで、なぜ倒壊に至ったのか、実際の設計や地盤の状態