福島県浅川町の農家から出荷された牛の肉から、国の暫定基準値を超える放射性セシウムが検出された問題で、出荷された42頭の牛のうち、1頭の肉の一部が愛知県の食肉加工業者から東海地方の焼肉チェーンに出荷されていたことが分かりました。
この問題は、福島県浅川町の農家が、餌として肉牛に与えた稲わらから最大で国の目安のおよそ73倍に当たる放射性セシウムが検出され、さらにこの農家から出荷された42頭の牛の一部の肉から国の暫定基準値を超える放射性セシウムが検出されたものです。愛知県によりますと、この42頭のうちことし4月8日に横浜市で食肉処理された1頭の牛の肉26.5キロが愛知県春日井市の食肉加工業者に出荷されていたことが新たに分かったということです。この肉は別の産地の牛肉と混ぜ合わされたあと、系列の焼肉チェーンに出荷され、5月31日と6月1日に「国産牛上カルビ」や「国産牛特選カルビ」として客に提供され、ほとんどが消費されたということです。このチェーンが肉を出荷した店舗の数は愛知県の61店舗のほか、三重県、岐阜県などの合わせて80に上るということですが、問題の牛の肉が80店舗すべてに出荷されたかどうかは分からないということです。福島県内で問題となった牛の肉が愛知県で流通していたのが確認されたのはこれで3件目となります。愛知県生活衛生課の照井一由課長は「一緒に飼育されていた牛の検査結果を見る限り高濃度の放射性セシウムが含まれているおそれは低い」と話しています。また、国によりますとこれらの牛肉を食べても直ちに健康に影響が出ることはないということです。