サウジアラビアのアブドラ国王は7日夜、反政府デモへの武力弾圧を続けるシリアのアサド政権を強く非難する声明を発表し、アサド政権に対する包囲網は、これまで沈黙を保っていたアラブ諸国にも急速に広がることになりそうです。
サウジアラビアのアブドラ国王は7日夜、中東の衛星テレビ局「アルアラビア」を通じて、シリア情勢について緊急の声明を発表しました。声明では、「シリアは手遅れの状態に陥る前に、市民の求める改革を直ちに実施すべきだ。これ以上、罪のない市民の血が流されるのは断じて許されない」として、武力弾圧を続けるアサド政権を強く非難し、シリア駐在の大使を召還することを明らかにしました。シリア情勢を巡っては、これまで欧米諸国が厳しい姿勢で臨んでいるのとは対照的に、反政府デモへの対応に追われるアラブ諸国は「内政干渉はしない」として沈黙を保ち、互いに強権的な体制を刺激し合うのを避けているとみられてきました。サウジアラビアが、ここにきて強い非難に踏み切ったのは、アサド政権の武力弾圧が激しさを増し、国連安全保障理事会がシリア非難の議長声明を採択したことなどを受けたものとみられます。この地域で強い影響力を持つサウジアラビアの方向転換により、包囲網がほかのアラブ諸国にも急速に広がるのは確実な情勢で、アサド政権の孤立は一段と深まることになりそうです。