生まれて来るときの何らかの事故で脳性まひになった子どもに補償金を支払う「産科医療補償制度」で、再発防止策を検討する委員会は、これまでに分析を終えた15例のうち半数以上に医療機関の側に何らかの問題があったとする初めての報告書をまとめました。
産科医療補償制度は、生まれてくる時の何らかの事故で脳性まひになった子どもに、医療機関に過失があるかどうかに関係なく3000万円の補償金を支払うものです。制度が適用された事例を分析し、再発防止策を検討する専門の委員会が、初めての報告書をまとめ、22日に公表しました。報告書では、制度の運用が始まったおととし1月以降、補償金の支払いが決まった15例のうち8例で、医療機関の側に何らかの問題があったとしています。具体的には、分べん中に妊婦が異常を訴えたものの、胎児の心拍数を確認したのは1時間後だったり、必要なタイミングで妊婦や胎児の状態を確認せず、診断が遅れた疑いがあったりするケースがありました。また、学会が基準とした量を超えて人工的に陣痛を起こす「子宮収縮薬」が使われていたケースも6例あったということです。再発防止委員会の委員長を務める宮崎大学の池ノ上克教授は記者会見で「脳性まひとの関連は不明だが、基本的なことが守られていないケースもあった」と述べました。