3月の巨大地震では、日本海溝に近い海底で岩盤の境目が大きくずれ動いたために、津波がより大きくなったとみられていますが、東海地震や東南海?南海地震が想定されている太平洋の海底でも同じようなタイプの巨大地震の可能性があるという専門家の分析結果がまとまりました。
3月の巨大地震では、「太平洋プレート」という岩盤が陸側のプレートの下に沈み込んでいる日本海溝に近い海底で、プレートどうしの境目がおよそ50メートルもずれ動いていたことがその後の調査で分かり、津波がより大きくなった要因と考えられています。専門家などでつくる地震予知連絡会は、22日に開いた定例の会合で、東海地震や東南海?南海地震が想定されている「南海トラフ」と呼ばれるプレートが沈み込む海底でも同じような地震が起きる可能性がないか検討しました。このうち、独立行政法人海洋研究開発機構の堀高峰研究員は、地震が起きるプレートどうしの境目のうち、陸に近い側だけがずれ動くタイプの地震と、3月の地震のように「トラフ」に近い沖合まで広い範囲がずれ動くタイプの地震が百数十年から200年程度の周期で、交互に起きる可能性があるという計算結果を報告しました。計算では、東海地震と東南海?南海地震が同時に起きて四国の沖合のプレートの境目が20メートルほどずれ動くと、今回のようなマグニチュード9に近い巨大地震になるということです。東京大学名誉教授で地震予知連絡会の島崎邦彦会長は「海溝付近では急激なずれは起きないと考えられてきたが、3月の巨大地震でこれが間違いだったことが明らかになった。こうしたことが起こりうると考えて長期的な予測を進めていく必要がある」と話しています。