がんの一種で、有効な治療薬がない、「滑膜(かつまく)肉腫」の患者に対し、日本の大学の研究成果を基に、世界初の新薬の開発を目指す臨床試験がフランスで始まりました。
臨床試験が始まったのは、フランスのリヨンにあるがん専門の病院「レァ◇?ベラール?センター」です。臨床試験では、遺伝子研究の第一人者として世界的に知られる東京大学医科学研究所の中村祐輔教授らが研究している、ヒトの遺伝情報に基づいた、がん細胞だけを攻撃する薬を、がんの一種の「滑膜肉腫」の患者に投与し、安全性や有効性を確認することにしています。「滑膜肉腫」は、患者数が少ないうえ、有効な治療薬がなく、新薬が開発されれば、ヒトの遺伝情報に基づく世界初の「肉腫」の治療薬となります。日本では、この新薬の開発について、「患者が少なく、実現性が乏しい」などの理由で、政府は補助金を出していないのに対し、フランスでは公的な補助金が交付されることになり、臨床試験が実現することになったということです。中村教授は「日本ではできなかったが、フランスで新薬の開発を進めて、世界の患者に希望を提供できるようにしていきたい」と話しています。