臨時党大会を開催4候補が政見を訴える
任期満了に伴い新代表を選出する2012民主党臨時党大会が21日、東京都内で開かれ、野田佳彦、赤松広隆、原口一博、鹿野道彦の4候補がそれぞれ代表選最後の決意表明を行い支持を訴えた。
野田候補は「昨年に立候補した思いと原点は同じだ」「日本の最大の政治改革は、決めなくてはならないときに、きちっと物事を決める政治にすることだと確信した。その象徴的なテーマが社会保障・税一体改革だ」と述べ、進めるべき改革の方向性に誤りはないとの確信をあらためて表明。民主党らしい改革を引き続き推進するとし、「子どもを元気にすること、働く人を元気にすること、地方元気にすること、これらを通じて日本を元気にする」と話した。
赤松候補は「2009年総選挙は、国民とともに成し遂げた政権交代だ」とした上で、「政権を担って3年。しかしいまだわれわれは日本社会の疲弊や亀裂を十分に治し切っていない」「政権党としての未熟さもあったが、今こそ民主党の原点に立ち返るべき」「民主党の再生は、ここに集う私たちがまず自信を取り戻すところから始めなくてはならない」とし、議員間や、地方と中央の連携を深め、政権党としての政党力を高めていくことの重要性を訴えた。
原口候補は「日本人の力を信じている。教育の力を信じている。民主主義の力を信じている」と述べた上で、「一番厳しいしわ寄せは子どもたちに向かっている。私たちはそれを変えたい」「私たちの政策の是非が問われているのではなく、主権者との対話、主権者との約束が問われている」と話し、現実と向き合い国民との信頼を取り戻したいとし、「現状か未来かをここにいる皆さんに問いたい、もう一度国民との契約をし直す覚悟を求めたい」と力強く訴えた。
鹿野候補は「政治の役割にいろいろ考え方があるが、私は政府がマーケットにどう介入するかということだと考える」と話し、政府と市場の関係のベストミックスをつくるべきとの考えを示した。社会保障と税の一体改革を急がなくてはならないとも述べ、「民主党は消費増税は全て社会保障費に充てると決めた。その増税分を社会保障のどこに使うかを決めなくてはならない。それをすることが一体改革に魂を入れることになる」と力強く述べた。
野田佳彦代表を再選
臨時党大会で実施した代表選挙の投開票の結果、野田佳彦候補が民主党代表に再選された。中野寛成臨時党大会議長が「本大会で野田佳彦さんの新代表就任を確認したい」と述べ、満場の拍手で迎えられた。
あいさつに立った野田新代表は、「多くのご支持をいただきました衆参国会議員のみなさま、地方議員のみなさま、全国の党員・サポーターの皆さまにあらためてご支援に御礼を申し上げる」と語った。
代表選を戦った赤松、原口、鹿野の3候補の支援者に対しては、「私の至らない点を厳しくご指摘いただいた。そのこともしっかり胸に刻んでこれからの政権運営と党運営に当たっていく」と約束した。
2002年45歳で初めて民主党代表選に挑戦した際「みせかけのチームワークはやめよう」と主張したこと、昨年の代表選の決選投票で当選した際「ノーサイドにしましょう、もう」と訴えたことも振り返り、「チームワークのいい民主党を目指してきたつもりだが、結果的にはご心配をおかけする状況となった」と反省。「その責任の重さをあらためて痛切に感じながら、一人ひとりの力は素晴らしい民主党をもう1回日本を元気にするための戦闘集団に変えていくためのチーム力の強化を目指していきたい」と述べた。
「昨年、内閣総理大臣に就任して以来まさに365日24時間、緊張感をもって職責を果たしてきた。私の後ろにはだれもいない。最後は党内が、あるいは国論が二分しているときでも決断しなければならないときがある。その苦しさと重みを痛切に感じた1年間だった。これからも、内外ともに大きな困難のあるなかで、その都度決断をしていかなければならない」と、責任の重さへの実感にも言及した。
「私心はまったくない。心からこの日本と国民を愛している。そのための決断を皆さんと一緒に知恵を出しながらしていく、そうした思いのもとで頑張っていく」「目指しているのは子どもの笑顔が広がる国、お父さんお母さんの笑顔が広がる国、おじいちゃんおばあちゃんの笑顔が広がる国、そういう国を皆さんといっしょにつくりたいと思う。ぜひ、すべての皆さんの力を政権運営に、党運営に結集していただけるように心からお願いする」と訴えた。
執行部人事については、週明けから国連総会に向かう前にまず主要な役職について選任する意向を表明、拍手で了承された。
選後の記者会見発言要旨
野田佳彦新代表は21日午後、都内で行われた臨時党大会(2012代表選挙)後に記者会見を行い、再任に際し政権運営、党運営への決意をあらためて語った。
野田代表は冒頭、「これまで以上にしっかり気を引き締めて政権運営、党運営に当たり、国民の皆さんの負託に応えていく。ますます緊張を持ちながら責任を果たしていく」と表明。そのうえで、代表選挙を通じてさまざまな提起があった組織の立て直しに向け、その要となる党役職の人事については、国連総会出席のためにニューヨークに発つ24日夕刻までに執行部の中でも枢要な役割の選任を行う意向を示し、「この1年間輿石幹事長に懸命に助けていただいた。今夕にでも輿石幹事長と相談し、これからのことを意見交換しながら、自分なりの考え方をまとめていきたい」と述べた。
野田代表が目指す「チーム力の向上、強化」については、「ベテラン、若い議員ともに底力を持っている方が多い。それぞれの皆さんが政権運営、党運営に何らかのかたちで役割を果たせる適材適所を考えていきたい。政策をつくると同時に実現することに皆で汗をかいていく構図をつくっていきたい」「衆院・参院選挙が遠くない時期にある。選挙対策等々について力を入れなければいけない」と力を込め、「そのへんに心を砕きながら全体のバランスを考えながら判断していく」と語った。
「衆院選挙にあたって定数削減法案の成立は必須と考えるか」との質問には、「やらなければいけない。違憲違法と言われている格差の是正は何よりも最優先であり、この状態が続いていることは立法府として怠慢である」との見解を明示。衆院小選挙区の0増5減と比例40削減、一部連用制を導入、さらに次々回までに定数を35削減するとの民主党提出の衆院選挙制度改革関連法案が衆院では可決したものの参院では審議していないことに言及し、「他にアイディアがあるなら出してほしい。社会保障と税の一体改革を進めていく際に多くの国民の声は『まず隗(かい)より始めよ』、この姿勢を示してほしいというものであり、3党合意を賛成した政党には特にこの問題意識も共有してもらいたい」と求めた。
また、補正予算の編成については「切れ目のない経済対策は必要」としたうえで、「税収の見込み、経済情勢をよく分析、把握したうえで適切に判断したい」と述べた。