現存する国内最古の木造校舎がある岡山県高梁市立吹屋小学校で20日、最後の卒業式と閉校式が行われた。過疎化による児童の減少で廃校の運命となった学舎。ここから巣立った卒業生らも大勢訪れ、100年を超える思い出深い校舎に別れを告げた。
同小は明治6(1973)年に開校。同33年に木造平屋建ての東西両校舎、同42年に木造2階建ての本館(いずれも同県重要文化財)が建てられた。
銅山で栄えた一帯。最盛期の大正時代には約300人の児童が学んだが、今では全校で7人。同校舎の特徴でもある本館2階の折上(おりあげ)天井の講堂で行われた最後の卒業式に臨んだ6年生は3人だけだった。
「日本一の校舎で過ごした日々を忘れません。吹屋小学校最後の卒業生であることを誇りに思います」
校舎完成とほぼ同時期に納められた「100年オルガン」による校歌の伴奏もこれが弾き納めとなった。
続いて、西校舎で閉校式が行われ、全国各地から大勢の卒業生がつめかけた。西井秀明校長から同市教委に校旗が返納され、7人の児童が「古くてきれ いな校舎を誇りに思う」「見守ってくれてありがとう」と1人ずつ思い出や感謝の気持ちを語った。参加者全員で校歌を斉唱する中、感極まって涙を流す卒業生の姿も少なくなかった。
京都市の会社員、三浦泰彦さん(57)は「いたずらっ子で校長室に呼び出されたことを思い出す。閉校は残念」と涙目だった。
高梁市は木造校舎を解体修理し、観光資源として活用する方針という。