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归京(二)

时间: 2014-06-16    进入日语论坛
核心提示:【帰 京】(二)  夜ふけて来れば、ところどころも見えず。京に入り立ちてうれし。家に至りて、門(かど)に入るに、月明かけ
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【帰 京】
 
(二) 
 夜ふけて来れば、ところどころも見えず。京に入り立ちてうれし。家に至りて、門(かど)に入るに、月明かければ、いとよくありさま見ゆ。聞きしよりもまして、言ふかひなくぞこぼれ破れたる。家に預けたりつる人の心も、荒れたるなりけり。中垣こそあれ、一つ家のやうなれば、望みて預かれるなり。さるは、便りごとに物も絶えず得させたり。今宵、「かかること。」と、声高にものも言はせず。いとはつらく見ゆれど、志はせむとす。
  
 さて、池めいてくぼまり、水漬ける所あり。ほとりに松もありき。五年(いつとせ)六年(むとせ)のうちに、千年(ちとせ)や過ぎにけむ、かたへはなくなりにけり。今生ひたるぞ交じれる。大方(おほかた)のみな荒れにたれば、「あはれ。」とぞ人々言ふ。思ひ出でぬことなく、思ひ恋しきがうちに、この家にて生まれし女子(おむなご)の、もろともに帰らねば、いかがは悲しき。船人(ふなびと)もみな、子たかりてののしる。かかるうちに、なほ悲しきに堪へずして、ひそかに心知れる人と言へりける歌、
 
  生まれしも帰らぬものをわが宿に小松のあるを見るが悲しさ
 
とぞ言へる。なほ飽かずやあらむ、また、かくなむ。
 
  見し人の松の千年に見ましかば遠く悲しき別れせましや
 
忘れがたく、口惜しきこと多かれど、え尽くさず。とまれかうまれ、とく破りてむ。
 
(現代語訳)
 
 夜がふけてやって来たので、途中のあちこちが見えない。都の町なかに入ってうれしい。家にたどり着いて、門に入ると、月が明るいので、とてもよく状態が見える。うわさに聞いていた以上に、話にならないほど壊れている。家を預けていた人の心も荒れていたのだった。仕切りの垣はあるにはあるが、同じ家のようなので、先方が望んで預かったのだ。それでもついでがあるたびにお礼の品も絶えずあげていた。今夜は、「こんなにひどいとは」などと従者たちに大声で言わせたりしない。たいそうひどいとは思うが、お礼はしようと思う。
 さて、池のようにくぼんで、水に浸かっているところがある。側に松もあった。五、六年のうちに千年も過ぎたのだろうか、半分がなくなっている。新しく生えたのがまじっている。ほとんどみな荒れ果てているので、「大変だ」と人々が言う。思い出さないことは何一つなく、恋しく思うなかでも、この家で生まれた女の子がいっしょに帰らないのが、どれほど悲しいことか。同じ船で帰京した人たちはみな子どもが寄り集まって大騒ぎしている。そうしているうち、やはり悲しさに堪えられず、ひっそりと気心が知れている人と詠んだ歌、
 <ここで生まれたあの子も帰ってこないのに、わが家の庭に小松が生えているのを見ると、子どもが思い出されて悲しい。>
と言ったことだ。それでもまだ満足できないのか、またこう詠んだ。
 <亡くなったあの子が、松のように千年も見ることができたら、永遠の悲しい別れなどすることもなかったのに。>
忘れられず、残念に思うことが多いけれども、全部を書き尽くせない。まあともかく、こんなものは早く破いてしまおう。
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