いよいよ翌日カトマンズに出発することになった。
カトマンズはネパールの首都である。が、ネパールがどこにあるか定かでない。大体、学会があるからカトマンズに行くという人間と、それについていこうという人間の組合せなので、まったく主体性がない。
ヒマラヤの近くだということは知っているが、はて、今の気候はどうなのだろうか。高山病の危険はないのか。夜になってやっと研究室の地図で確認する。
ほほう、インドとチベットの間か。色で判断すると、高度2千から4千メートルとなっている。げっ。富士山より高いんだろうか。戦々恐々としていると、誰かが「カトマンズは盆地だ」という。盆地なら少しは低いだろう。
しかし、寒そうだ。
泊まるホテルはカトマンズでも超高級の部類に属するという。日本円にすると大した額ではないが、ガイドブックに載っている他のホテルに比べるとべらぼうに高いらしい。名前はYAK & YETI 。ヤクとイエティである。思わず吹き出してしまった。
そういえば漫画「少年アシベ」でアシベの友達の阿南くんが、お父さんの転勤でヒマラヤ方面に行き、そこにイエティという人なつっこい雪男が出てきたのを思い出した。ガールフレンドのチットちゃんとイエティで阿南くんをとりあってたっけ。
そうか、あんなところか。
荷作りを始める。寒いとはいえ、私は小荷物を旨としているので、できるだけ重ね着ができるように組合せを考える。
まず、薄手のセーターを3枚。普段着ているフリースのジャケットと、さらに上から着られるように防風用のスポーツジャケットを持っていくことにする。
スキー用ソックスを2足、防寒用肌着、ストッキング、スパッツ、コーデュロイのスキーパンツ。いざとなったら全部着込んでしまえばいい。痩せているとこういう時に便利だ。(痩せていなければ着込む必要はないのでは…)
あとは下着・洗面用具など。ホテルは超高級だといわれたので、水着も入れる。着るものが単調になるので薄手のスカーフも2枚用意した。キーワードは「薄手」である。
そうそう、一応研究の資料と英和辞典を持っていかなくては…。
荷作りが終ってみると案外小さく済んだ。
夫は相変わらず大荷物になっている。自分の荷物の少なさにふと不安になるが、まあいいや。なんとかなるだろう。彼は商売道具が入ってるし、そういえば、私のかさばるスポーツジャケットも入れてもらったのだった。おほほ。