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『ケンブリッジ見聞録』42

时间: 2016-04-19    进入日语论坛
核心提示:WIMPYとの再会もう十年も前、私がロンドンで短期のホームステイをしていた頃、あちこちに「WIMPY(ウィンピー)」という名のファ
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 WIMPYとの再会
 
もう十年も前、私がロンドンで短期のホームステイをしていた頃、あちこちに「WIMPY(ウィンピー)」という名のファーストフード店があった。wimpyというのはBritish Englishでハンバーガーの愛称なのだが、この店のハンバーガーはまずいことで有名だった。かの「地球の歩き方」にも「想像を絶するまずさ」「話の種に一度挑戦してみよう」と紹介されていたほどである。
 
その頃の「地球の歩き方」といえば、野宿ありヒッチハイクありの貧乏なバックパッカーの友だった。紙質も悪くやたら分厚く、背負った荷物を減らすために回った土地のページをどんどん破り捨てていくのが通だった。口コミ情報も多かったがその分間違った記述もあって、口の悪い輩は「地球の迷い方」と呼んでいた。
 
そんな貧乏旅行の人々をして「想像を絶するまずさ」といわしめるWIMPYだったが、本当にまずいのかどうかは私の周りでは誰も食べたことがないのでわからなかった。
 
ファーストフード店のメニューは同じように見えるが、実はその土地のニーズに合わせて微妙に変えてある。たとえばイギリスのマクドナルドにはその頃からメニューに紅茶があって、コーヒー用クリームではなくミルクのパックをごろごろとつけてくれたし、ドイツで入ったマクドナルドにはビールがメニューにあった覚えがある。国内勢力であるWIMPYはイギリスの名物料理とされるfish'n'chips(フィッシュ?アンド?チップス)がメニューにあった。
 
これは文字どおり魚のフライ(fish)に大量のポテトフライ(chips)を付け合わせて酢と塩をたっぷりかける単純な食べ物である。多分発音は「ふぃっしんちっぷす」に近いと思う。
 
本来は町角の屋台で揚げたてのアツアツを新聞紙で直に包んだものを買って、そのまま指でハフハフと食べるものだったらしい。包んだ新聞紙の紙質やインクで味が決まるといわれ、タイムズがおいしいとかデイリーミラーがいいとか言われていたそうだが、新聞紙で包むのは今は禁止されているという。屋台で買ってもプラスティックのトレイとフォークがついてわら半紙で包んであったりする。
 
なぜWIMPYにフィッシュ?アンド?チップスがあることを知ったのかは覚えていないが、一ヶ月の滞在期間で2~3回食べた記憶がある。頼むのはいつも「ふぃっしんちっぷす」とコカコーラ。ハンバーガーならともかく、魚をただ揚げたものとじゃがいもをただ揚げたもの、それと世界水準のコカコーラなら外れる可能性は極めて低い。小さな赤い箱に入っていて、味も形態もちょうどケンタッキーフライドチキンのフィッシュフライとポテトフライを合わせたようなものである。実際、日本に帰ってからも懐かしんで何回かケンタッキーフライドチキンで食べたものだ。
 
屋台のを食べる勇気も、レストランのを食べるお金もなかった私は、「ふぃっしんちっぷす」といえばWIMPYの他にはステイ先のお母さんが作るのしか知らなかった。といってもスーパーで売っているものをただ揚げたものらしく、小さな四角い形をしていた。後年レストランに入って、皿からはみ出さんばかりの魚の大きさに驚いたものである。
 
その頃の私は極貧生活を送っていて、なおかつステイ先の晩ご飯があまりに口に合わないのでお昼をリンゴ一個で済ませていた。倹約と空腹を保っていたのである。が、ある日どうしても「ふぃっしんちっぷす」を食べたくなって、語学学校の帰りにWIMPYに寄って食べた。そして家に帰り着いた満腹な私を迎えたのは、お母さんの用意した「ふぃっしんちっぷす」だった。世の中の皮肉な巡り合わせをしみじみと感じたものである。
 
というわけで、WIMPYには私の「青春の思い出」があったのだが、あれだけあったWIMPYを今回さっぱり見かけなくなってしまった。現地の人に聞いてもピンと来ないらしい。バスで通ったロンドンの場末のところで一軒だけ見かけたのだが、あのWIMPYなのだろうか。それともまったく別物だろうか。
 
確かめるすべもなく月日は過ぎていったが、先日ケンブリッジの北の方にあるピーターバラ(Peterbourogh)に遊びに行ってWIMPYを見つけたのである。ピーターバラは鉄道の要所で、かのトーマスクック(Thomas Cook)の時刻表が最初に作られたところだという。
 
へぇ、ここでねぇ…などと感慨を覚えつつ街をぶらついていて発見したWIMPYは、なんとファーストフードからファミリーレストランへと華麗なる変貌を遂げていた。といっても見るからに、元はバーガー屋でしたぁ、というたたずまいである。正面にカウンターとキッチンがあり、テーブルと椅子が不自然にぎゅうぎゅうとセットされている。一応ウエィトレスが注文を取りにくる。メニューはハンバーグにジャケットポテト、アイスクリームサンデーの類。そして、あった、ありましたよ、「ふぃっしんちっぷす」。
 
もちろん「ふぃっしんちっぷす」とコーラを頼む。しばらくして出てきたそれは気取って瀬戸物の食器に盛りつけられてはいるが、まさにあの形、あの味である。安っぽいタルタルソースがついてくるところまでそのままである。コカコーラをぐびぐびと飲み、熱々の「ふぃっしんちっぷす」をほおばった。これなんだよねぇ、私の知ってる「ふぃっしんちっぷす」は、などと浮かれて口をつく。
 
どうやらWIMPYは拠点を絞って単価をあげるという作戦に出たらしい。魚のフライとポテトフライで3£なにがしかという値段は決して安くない。これから他の場所で見かけても、きっともう行かないだろうな、と思う。私の中では切りがついてしまった。それにしてもあの頃は一体いくら払っていたのだろうか。お小遣い帳をつけておけばよかった。
 
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