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破戒5-4

时间: 2017-06-03    进入日语论坛
核心提示:       (四) 盛んな遊戯の声がまた窓の外に起つた。文平は打球板(ラッケット)を提げて出て行つた。校長は椅子を離れ
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        (四)
 
 盛んな遊戯の声がまた窓の外に起つた。文平は打球板(ラッケット)を提げて出て行つた。校長は椅子を離れて玻璃(ガラス)の戸を上げた。丁度運動場では庭球(テニス)の最中。大人びた風の校長は、まだ筋骨の衰頽(おとろへ)を感ずる程の年頃でも無いが、妙に遊戯の嫌ひな人で、殊に若いものゝ好な庭球などゝ来ては、昔の東洋風の軽蔑(けいべつ)を起すのが癖。だから、『何を、児戯(こども)らしいことを』と言つたやうな目付して、夢中になつて遊ぶ人々の光景(ありさま)を眺めた。
 地は日の光の為に乾き、人は運動の熱の為に燃えた。いつの間にか文平は庭へ出て、遊戯の仲間に加つた。銀之助は今、文平の組を相手にして、一戦を試みるところ。流石(さすが)の庭球狂(テニスきちがひ)もさん/″\に敗北して、軈(やが)て仲間の生徒と一緒に、打球板(ラッケット)を捨てゝ退いた。敵方の揚げる『勝負有(ゲエム)』の声は、拍手の音に交つて、屋外(そと)の空気に響いておもしろさうに聞える。東よりの教室の窓から顔を出した二三の女教師も、一緒になつて手を叩(たゝ)いて居た。其時、幾組かに別れて見物した生徒の群は互ひに先を争つたが、中に一人、素早く打球板(ラッケット)を拾つた少年があつた。新平民の仙太と見て、他の生徒が其側へ馳寄(かけよ)つて、無理無体に手に持つ打球板(ラッケット)を奪ひ取らうとする。仙太は堅く握つた儘(まゝ)、そんな無法なことがあるものかといふ顔付。それはよかつたが、何時まで待つて居ても組のものが出て来ない。『さあ、誰か出ないか』と敵方は怒つて催促する。少年の群は互ひに顔を見合せて、困つて立つて居る仙太を冷笑して喜んだ。誰も斯(こ)の穢多の子と一緒に庭球の遊戯(あそび)を為ようといふものは無かつたのである。
 急に、羽織を脱ぎ捨てゝ、そこにある打球板(ラッケット)を拾つたは丑松だ。それと見た人々は意味もなく笑つた。見物して居る女教師も微笑(ほゝゑ)んだ。文平贔顧(びいき)の校長は、丑松の組に勝たせたくないと思ふかして、熱心になつて窓から眺(なが)めて居た。丁度午後の日を背後(うしろ)にしたので、位置の利は始めから文平の組の方にあつた。
『壱(ワン)、零(ゼロ)。』
 と呼ぶのは、網の傍に立つ審判官の銀之助である。丑松仙太は先づ第一の敗を取つた。見物して居る生徒は、いづれも冷笑を口唇(くちびる)にあらはして、仙太の敗を喜ぶやうに見えた。
『弐(ツウ)、零(ゼロ)。』
 と銀之助は高く呼んだ。丑松の組は第二の敗を取つたのである。『弐(ツウ)、零(ゼロ)。』と見物の生徒は聞えよがしに繰返した。
 敵方といふのは、年若な準教員――それ、丑松が蓮華寺へ明間(あきま)を捜しに行つた時、帰路(かへり)に遭遇(であ)つた彼男と、それから文平と、斯う二人の組で、丑松に取つては侮(あなど)り難い相手であつた。それに、敵方の力は揃つて居るに引替へ、味方の仙太はまだ一向に練習が足りない。
『参(スリイ)、零(ゼロ)。』
 と呼ぶ声を聞いた時は、丑松もすこし気を苛(いら)つた。人種と人種の競争――それに敗(ひけ)を取るまいといふ丑松の意気が、何となく斯様(こん)な遊戯の中にも顕(あら)はれるやうで、『敗(まけ)るな、敗けるな』と弱い仙太を激(はげ)ますのであつた。丑松は撃手(サアブ)。最後の球を打つ為に、外廓(そとぐるわ)の線の一角に立つた。『さあ、来い』と言はぬばかりの身構へして、窺(うかゞ)ひ澄まして居る文平を目がけて、打込んだ球はかすかに網に触れた。『触(タッチ)』と銀之助の一声。丑松は二度目の球を試みた。力あまつて線を越えた。ああ、『落(フオウル)』だ。丑松も今は怒気を含んで、満身の力を右の腕に籠め乍ら、勝つも負けるも運は是球一つにあると、打込む勢は獅子奮進。青年の時代に克(よ)くある一種の迷想から、丁度一生の運命を一時の戯(たはむれ)に占ふやうに見える。『内(イン)』と受けた文平もさるもの。故意(わざ)と丑松の方角を避けて、うろ/\する仙太の虚(すき)を衝(つ)いた。烈しい日の光は真正面(まとも)に射して、飛んで来る球のかたちすら仙太の目には見えなかつたのである。
『勝負有(ゲエム)。』
 と人々は一音に叫んだ。仙太の手から打球板(ラッケット)を奪ひ取らうとした少年なぞは、手を拍(う)つて、雀躍(こをどり)して、喜んだ。思はず校長も声を揚げて、文平の勝利を祝ふといふ風であつた。
『瀬川君、零敗(ゼロまけ)とはあんまりぢやないか。』
 といふ銀之助の言葉を聞捨てゝ、丑松はそこに置いた羽織を取上げながら、すご/\と退いた。やがて斯(こ)の運動場(うんどうば)から裏庭の方へ廻つて、誰も見て居ないところへ来ると、不図何か思出したやうに立留つた。さあ、丑松は自分で自分を責めずに居られなかつたのである。蓮太郎――大日向――それから仙太、斯う聯想した時は、猜疑(うたがひ)と恐怖(おそれ)とで戦慄(ふる)へるやうになつた。噫(あゝ)、意地の悪い智慧(ちゑ)はいつでも後から出て来る。
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