日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 岛崎藤村 » 正文

破戒6-1

时间: 2017-06-03    进入日语论坛
核心提示:       (一) 天長節の夜は宿直の当番であつたので、丑松銀之助の二人は学校に残つた。敬之進は急に心細く、名残惜しく
(单词翻译:双击或拖选)
        (一)
 
 天長節の夜は宿直の当番であつたので、丑松銀之助の二人は学校に残つた。敬之進は急に心細く、名残惜しくなつて、いつまでも此処を去り兼ねる様子。夕飯の後、まだ宿直室に話しこんで、例の愚痴の多い性質から、生先(おひさき)長い二人に笑はれて居るうちに、壁の上の時計は八時打ち、九時打つた。それは翌朝(よくあさ)の霜の烈しさを思はせるやうな晩で、日中とは違つて、めつきり寒かつた。丑松が見廻りの為に出て行つた後、まだ敬之進は火鉢の傍に齧(かじ)り付いて、銀之助を相手に掻口説(かきくど)いて居た。
 軈(やが)て二十分ばかり経つて丑松は帰つて来た。手提洋燈(てさげランプ)を吹消して、急いで火鉢の側(わき)に倚添ひ乍ら、『いや、もう屋外(そと)は寒いの寒くないのツて、手も何も凍(かじか)んで了ふ――今夜のやうに酷烈(きび)しいことは今歳(ことし)になつて始めてだ。どうだ、君、是通りだ。』と丑松は氷のやうに成つた手を出して、銀之助に触つた。『まあ、何といふ冷い手だらう。』斯(か)う言つて、自分の手を引込まして、銀之助は不思議さうに丑松の顔を眺めたのである。
『顔色が悪いねえ、君は――奈何(どう)かしやしないか。』
 と思はず其を口に出した。敬之進も同じやうに不審を打つて、
『我輩も今、其を言はうかと思つて居たところさ。』
 丑松は何か思出したやうに慄へて、話さうか、話すまいか、と暫時(しばらく)躊躇(ちうちよ)する様子にも見えたが、あまり二人が熱心に自分の顔を熟視(みまも)るので、つい/\打明けずには居られなく成つて来た。
『実はねえ――まあ、不思議なことがあるんだ。』
『不思議なとは?』と銀之助も眉をひそめる。
『斯ういふ訳さ――僕が手提洋燈(てさげランプ)を持つて、校舎の外を一廻りして、あの運動場の木馬のところまで行くと、誰か斯う僕を呼ぶやうな声がした。見れば君、誰も居ないぢやないか。はてな、聞いたやうな声だと思つて、考へて見ると、其筈(そのはず)さ――僕の阿爺(おやぢ)の声なんだもの。』
『へえ、妙なことが有れば有るものだ。』と敬之進も不審(いぶか)しさうに、『それで、何ですか、奈何(どん)な風に君を呼びましたか、其声は。』
『「丑松、丑松」とつゞけざまに。』
『フウ、君の名前を?』と敬之進はもう目を円(まる)くして了(しま)つた。
『はゝゝゝゝ。』と銀之助は笑出して、『馬鹿なことを言ひたまへ。瀬川君も余程(よツぽど)奈何(どう)かして居るんだ。』
『いや、確かに呼んだ。』と丑松は熱心に。
『其様(そん)な事があつて堪るものか。何かまた間違へでも為たんだらう。』
『土屋君、君は左様(さう)笑ふけれど、確かに僕の名を呼んだに相違ないよ。風が呻吟(うな)つたでも無ければ、鳥が啼いたでも無い。そんな声を、まさかに僕だつて間違へる筈も無からうぢやないか。どうしても阿爺だ。』
『君、真実(ほんたう)かい――戯語(じようだん)ぢや無いのかい――また欺(かつ)ぐんだらう。』
『土屋君は其だから困る。僕は君これでも真面目(まじめ)なんだよ。確かに僕は斯(こ)の耳で聞いて来た。』
『其耳が宛(あて)に成らないサ。君の父上(おとつ)さんは西乃入(にしのいり)の牧場に居るんだらう。あの烏帽子(ゑぼし)ヶ嶽(だけ)の谷間(たにあひ)に居るんだらう。それ、見給へ。其父上(おとつ)さんが斯様(こん)な隔絶(かけはな)れた処に居る君の名前を呼ぶなんて――馬鹿らしい。』
『だから不思議ぢやないか。』
『不思議? ちよツ、不思議といふのは昔の人のお伽話(とぎばなし)だ。はゝゝゝゝ、智識の進んで来た今日、そんな馬鹿らしいことの有るべき筈が無い。』
『しかし、土屋君。』と敬之進は引取つて、『左様(さう)君のやうに一概に言つたものでもないよ。』
『はゝゝゝゝ、旧弊な人は是だから困る。』と銀之助は嘲(あざけ)るやうに笑つた。
 急に丑松は聞耳を立てた。復(ま)た何か聞きつけたといふ風で、すこし顔色を変へて、言ふに言はれぬ恐怖(おそれ)を表したのである。戯れて居るので無いといふことは、其真面目な眼付を見ても知れた。
『や――復た呼ぶ声がする。何だか斯う窓の外の方で。』と丑松は耳を澄まして、『しかし、あまり不思議だ。一寸、僕は失敬するよ――もう一度行つて見て来るから。』
 ぷいと丑松は駈出して行つた。
 さあ、銀之助は友達のことが案じられる。敬之進はもう心に驚いて了(しま)つて、何かの前兆(しらせ)では有るまいか――第一、父親の呼ぶといふのが不思議だ、と斯う考へつゞけたのである。
『それはさうと、』と敬之進は思付いたやうに、『斯うして吾儕(われ/\)ばかり火鉢にあたつて居るのも気懸(きがゝ)りだ。奈何(どう)でせう、二人で行つて見てやつては。』
『むゝ、左様(さう)しませうか。』と銀之助も火鉢を離れて立上つた。『瀬川君はすこし奈何(どう)かしてるんでせうよ。まあ、僕に言はせると、何か神経の作用なんですねえ――兎(と)に角(かく)、それでは一寸待つて下さい。僕が今、手提洋燈(てさげランプ)を点(つ)けますから。』
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%