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破戒21-3

时间: 2017-06-03    进入日语论坛
核心提示:       (三) 応接室には校長と郡視学とが相対(さしむかひ)に成つて、町会議員の来るのを待受けて居た。それは丑松の
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        (三)
 
 応接室には校長と郡視学とが相対(さしむかひ)に成つて、町会議員の来るのを待受けて居た。それは丑松のことに就いて、集つて相談したい、といふ打合せが有つたからで。尤(もつと)も、郡視学は約束の時間よりも早く、校長を尋ねてやつて来たのである。
 校長に言はせると、何も自分は悪意あつて異分子を排斥するといふ訳では無い。自分はもう旧派の教育者と言はれる一人で、丑松や銀之助なぞとはずつと時代が違つて居る。今日とても矢張自分等の時代で有ると言ひたいが、実は何時(いつ)の間にか世の中が変遷(うつりかは)つて来た。何が可畏(こは)いと言つたつて、新しい時代ほど可畏いものは無い。あゝ、老いたくない、朽(く)ちたくない、何時迄(いつまで)も同じ位置と名誉とを保つて居たい、後進の書生輩などに兜(かぶと)を脱いで降参したくない。それで校長は進取の気象に富んだ青年教師を遠ざけようとする傾向(かたむき)を持つのである。
 のみならず、丑松や銀之助は彼の文平のやうに自分の意を迎へない。教員会のある度に、意見が克(よ)く衝突する。何かにつけて邪魔に成る。彼様(あん)な喙(くちばし)の黄色い手合が、校長の自分よりも生徒に慕はれて居るとあつては、第一それが小癪に触る。何も悪意あつて排斥するでは無いが、学校の統一といふ上から言ふと、是(これ)も亦(ま)た止むを得ん――斯う校長は身の衛(まも)りかたを考へたので。
『町会議員も最早(もう)見えさうなものだ。』と郡視学は懐中時計を取出して眺め乍ら言つた。『時に、瀬川君のこともいよ/\物に成りさうですかね。』
 この『物に』が校長を笑はせた。
『しかし。』と郡視学は言葉を継(つ)いで、『是方(こつち)から其を言出しては面白くない。町の方から言出すやうになつて来なければ面白くない。』
『其です。其を私も思ふんです。』と校長は熱心を顔に表して答へた。
『見給へ。瀬川君が居なくなる、土屋君が居なくなる、左様(さう)なれば君もう是方(こつち)のものさ。瀬川君のかはりには彼(あ)の甥(をひ)を使役(つか)つて頂くとして、手の明いたところへは必ず僕が適当な人物を周旋しますよ。まあ、悉皆(すつかり)吾党で固めて了はうぢや有ませんか。左様(さう)して置きさへすれば、君の位置は長く動きませんし、僕も亦(ま)た折角心配した甲斐(かひ)があるといふもんです――はゝゝゝゝ。』
 斯ういふ談話(はなし)をして居るところへ、小使が戸を開けて入つて来た。続いて三人の町会議員もあらはれた。
『さあ、何卒(どうぞ)是方(こちら)へ。』と校長は椅子を離れて丁寧に挨拶する。
『いや、どうも遅なはりまして、失礼しました。』と金縁の眼鏡を掛けた議員が快濶(くわいくわつ)な調子で言つた。『実は、高柳君も彼様いふやうな訳で、急に選挙の模様が変りましたものですから。』
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