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白夜行10-1

时间: 2017-01-17    进入日语论坛
核心提示: 駐車場に入ったところで今枝《いまえだ》直巳《なおみ》は顔をしかめた。数十台分のスペースが殆《ほとん》ど埋まっていたから
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  駐車場に入ったところで今枝《いまえだ》直巳《なおみ》は顔をしかめた。数十台分のスペースが殆《ほとん》ど埋まっていたからだ。バブルはもう弾けたんじゃなかったっけ、と彼は独り言を呟《つぶや》いた。
 一番奥の駐車スペースに愛車のプレリュードを止め、今枝はトランクからキャディバッグを引っ張り出した。うっすらと埃《ほこり》をかぶっているのは、二年ほど部屋の隅に置きっぱなしだったからだ。職場の先輩に勧められてゴルフを始め、多少打ち込んだ時期もあったが、独立して一人で仕事をするようになってからは、クラブをキャディバッグから出すことさえなくなってしまった。忙しいからではなく、コースに出る機会がないからだ。一匹狼には向かないスポーツだと、つくづく思う。
 安手のビジネスホテルを連想させるイーグルゴルフ練習場の正面玄関から中に入り、今枝は改めてうんざりした。ロビーでは、順番持ちのゴルファーたちが退屈そうにテレビを見ていた。その数は十人弱というところか。
 出直したい気分だったが、平日にでも来ないかぎり状況は変わらないだろう。仕方なく彼はフロントカウンターで順番持ちの手続きをした。
 空いているソファに腰掛け、今枝はぼんやりとテレビに目を向けた。相撲中継が流れていた。大相撲夏場所だ。まだ時間が早いので、画面に映っているのは十両の取組だった。しかし最近は相撲の人気が上がり、十両や幕内前半の取組にも注目するファンが増えた。若貴兄弟や、貴闘力、舞の海といった新スターが台頭してきたからだろう。特に貴花田は先場所史上最年少で三賞力士になったのに続き、今場所初日にはこれまた史上最年少金星を千代の富士から奪っている。千代の富士は、その二日後には貴闘力にも敗れ、それを最後に引退を決意した。
 時代は間違いなく変化しているのだなと今枝はテレビ画面を見ながら思った。マスコミは連日、バブル景気の終焉《しゅうえん》を伝えている。株や土地で大儲けしていた連中も、今後はその夢が泡の如く弾けていくのを見て、顔色を変えることになるだろう。これでこの国も少しは静かになるかもしれないなと今枝は期待していた。ゴッホの絵に五十億円以上を支払うなんてのは、世の中が狂っている証拠だ。
 ただし若い女性のリッチぶりには変化がないらしいぞと、ロビーを見渡して感じた。一昔前は、ゴルフといえば男の遊びだった。しかもある程度の地位を築いた大人の男の楽しみだった。ところが最近では、すっかり若い女性たちにゴルフ場が占拠された形らしい。事実、順番待ちをしているゴルファーの半分は女性だった。
 もっとも、だからこそ俺も久しぶりにクラブを握ることになったのだが、と彼は心の中で苦笑する。学生時代の友人が電話をかけてきたのは四日前だ。ホステス二人をゴルフに連れていくことにしたのだが、一緒に行かないかと話を持ちかけてきたのだ。どうやら、一緒に行くはずだった男の都合がつかなくなったらしい。
 最近は運動らしいことを何もしていないなと思い、話に乗ることにした。もちろん若い女性が一緒と聞いて、下心が芽生えたのも事実だ。
 一つ気になることは、しばらくクラブを握っていないことだった。それでここに練習場があったことを思い出し、やってきたというわけだった。コースに出るのは二週間後だ。それまでに恥をかかない程度には勘を取り戻しておきたいと考えていた。
 タイミングがよかったのか、三十分ほど待っただけで今枝の名前がアナウンスされた。フロントカウンターで打席番号を書いた札と玉出し用のコインを受け取り、レンジに出ていった。
 指定された打席は一階の右サイドにあった。近くのボール貸出機にコインを入れ、とりあえず二籠《ふたかご》分ほどボールを出した。
 軽く柔軟体操らしきものをしてから打席についた。久しぶりなので、かつて得意にしていた七番アイアンから始めることにした。しかもフルスイングではなく、コントロールショットだ。
 最初少し戸惑ったが、次第に感覚が蘇ってきた。二十球ほど打った頃《ころ》には、大きく振れるようになっていた。体重移動もスムーズだし、フェースのスウィートスポットでボールを捉《とら》えている感覚がある。目測したところでは、七番アイアンで百五、六十ヤードは飛んでいそうだ。なんだ、ブランクがあっても結構大丈夫なものだなと、今枝は悦に入った。ゴルフに熱中していた頃は、知り合いのレッスンプロに教わっていた。
 クラブを五番アイアンに換えて何球か打った頃、斜め横からの視線を感じた。今枝のすぐ前の打席で打っていた男が、椅子に座って休憩しているのだが、どうやら先程から彼のショットを見ているようなのだ。悪い気はしないが、打ちにくいのも事実である。
 今枝はクラブを取り換えながら男のほうをちらりと見た。若い男だった。三十歳にはなっていないかもしれない。
 おや、と今枝は小さく首を傾げた。どこかで会ったような気がしたからだ。彼はもう一度、横目で盗み見た。やはりそうだ。見覚えがある。どこで会ったのだろう。しかし男の様子を見たかぎりでは、向こうは今枝のことを知らないようだった。
 思い出せぬまま、今枝は三番アイアンの練習を始めた。程なく、前の男も打ち始めた。なかなかの腕前だった。しかもフォームもいい。ドライバーを使っているが、二百ヤード先にあるネットに、真っ直ぐぶつかっていく。
 男が顔を少し右に回した時、首の後ろに二つ並んだ黒子《ほくろ》が見えた。それを見て今枝は、あっと声を出しそうになった。男が誰《だれ》だったかを不意に思い出したのだ。
 高宮誠だった。東西電装株式会社特許ライセンス部所属――。
 ああそうか、と今枝は合点した。この男とここで会うのは、偶然でも何でもなかった。ゴルフの練習をしようと思って、すぐにこの練習場を思い出したのは、三年前の件があったからだ。そして高宮のことも、あの時に知ったのだ。
 高宮のほうは今枝のことを知っているはずがない。それは当然のことだった。
 あの後、どうなったのだろうなと今枝は思った。あの女性とは、今も付き合っているのだろうか。
 三番アイアンがどうしてもうまくいかないので、今枝はひと休みすることにした。自動販売機でコーラを買うと、椅子に腰掛け、高宮が打つのを眺めた。高宮はピッチングショットの練習をしている。狙《ねら》いはどうやら五十ヤード程先にある旗のようだ。ハーフショットされたボールが、ふわりと上がって旗のそばに落ちていく。見事なものだった。
 視線を感じたのか、高宮が振り返った。今枝は目をそらし、缶コーラに口をつけた。
 高宮が今枝のほうに近づいてきた。
「それ、ブローニングですよね」
 えっ、と今枝は顔を上げた。
「アイアンです。ブローニングじゃないですか」高宮は今枝のキャディバッグの中を指していった。
「ああ」今枝はアイアンのヘッドに刻印されたメーカー名を確認した。「そうみたいですね。よく知らないんですけど」
 ふらりと立ち寄ったゴルフショップで衝動買いしたものだった。そこの店主が、お奨めの品だといって出してきたのだ。このクラブがどう優れているかを延々と述べた後、あんたのような細めの体形の人に向いているともいった。だが今枝が買う気になったのは、その講釈を信じたからではなく、ブローニングというメーカー名が気に入ったからだ。彼は以前、銃に凝っていた時期があった。
「ちょっと見せてもらっていいですか」高宮は訊《き》いた。
「どうぞ」と今枝はいった。
 高宮は五番アイアンを抜き取った。
「友人で急にうまくなった奴《やつ》がいましてね、そいつがブローニングを使っているんです」
「へえ。でもそれは、その人の腕がいいということでしょう」
「でもアイアンを換えてから急にうまくなったんですよ。それで僕も、自分に合ったものを探し直したほうがいいかなと思いましてね」
「なるほど。でも、十分にお上手じゃないですか」
「いや、本番になるとだめなんです」そういいながら高宮は、構えたり、軽く振ったりした。「ふうん、グリップが少し細いんだな……」
「何でしたら、打ってみたらどうですか」
「いいですか」
「どうぞどうぞ」
 では、といって高宮は今枝のクラブを持ったまま打席に入った。そして一球二球と打ち始めた。いかにもスピンのよくきいていそうなボールが、勢いよく上がっていく。
「素晴らしいですね」と今枝はいった。お世辞ではなかった。
「いい感じです」と高宮も満足そうにいった。
「どうぞお好きなだけ打ってください。私はウッドを練習しますから」
「そうですか。ありがとうございます」
 高宮は再び打ち始めた。ミスショットが殆《ほとん》どない。それはクラブのおかげではなく、彼のフォームがしっかりしているからだ。やはりスクールに通っていただけのことはあると今枝は思った。
 そう、高宮はここのゴルフスクールに通っていたのだ。そしてそこで一緒だった女性と付き合っていた。
 少し考えてから今枝は彼女の名前を思い出した。三沢千都留という名前だった。
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