日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 江户川乱步 » 影男 » 正文

影男-小个子的来访(2)

时间: 2022-02-16    进入日语论坛
核心提示:「もう一つ、わたしはあなたのご存じないことまで知っています。それは、あのとき、あなたをひどいめに会わせたまっくろな怪物の
(单词翻译:双击或拖选)

「もう一つ、わたしはあなたのご存じないことまで知っています。それは、あのとき、あなたをひどいめに会わせたまっくろな怪物の正体です……」
「エッ、きみはそれを知っているのですか?」
 良斎は思わず聞き返した。須原は相手の驚きを見て、それ見たことかと、いっそうおちつきはらって、
「あれは恐ろしい男です。名まえを五つも六つも持っていて、変幻自在の奇術師です。自分では悪事を働きませんが、犯罪者をゆすって、そのうわまえをはねるというすごい男です。つまり、世の中の裏側を探検して、ばくだいな金をもうけ、またそれを材料にして、一つの変名で小説まで書いているのです。まず天才でしょうかね。実は、わたしの会社も、あの男の知恵を借りて仕事をしたことがあるのです。ちょっと残酷なふくしゅう殺人でしたがね。あの男はその案を授けておきながら、こんな残酷なことはいやだといって、われわれから離れていきました。惜しいことに、真の悪人ではないのですね。しかし、われわれの会社としては、いろいろな意味で注意すべき人物ですから、できるだけかれの情報を手に入れる努力をしているのです。あなたの事件にかれが関係したことは、そういうわけで、われわれも知っているのですよ」
 須原は何もかも正直にぶちまけて語ったが、むろんそれは、かれが善人だからではない。真の悪人というものは、この人ならばだいじょうぶという見通しをつけた場合は、まるでお人よしのように、隠しだてをしないものだ。こういう話し方をするからには、かれは川波良斎が必ず会社の依頼人になるという確信を持っていたにちがいないのである。
 良斎も商売上の取り引きにかけては、わかりの早いのを自慢にしているほどの男だから、ここまで聞けば、もうちゅうちょすることはないと思った。須原というサル面の小男は、見かけによらぬ大胆不敵な悪党で、信頼するに足るという感じがしてきた。
「それで、きみがきょう、わたしをたずねてくださった意味は?」
 わかりきったことを、わざと尋ねてみた。
「この際、殺人請負業者にご用がおありだと思いましてね」
 相手もすましている。
「そんなにやすやすとやれますか」
「相手によって、むろん難易はあります。しかし、わたしどもの会社は、いまだかつて、途中で手を引いたことはありません。必ずなしとげるのです。しくじれば、われわれ自身のいのちにかかわるのですからね。また、万一われわれが逮捕せられるようなことがありましても、そして、たとえ死刑の宣告を受けようとも、けっして依頼人の名は出しません。その保証がなければ、この商売はなりたちません。大枚の報酬をいただくのですから、それは当然のことですよ」
「大枚の報酬というのは、いったいどれほど……」
 良斎はなにげなく尋ねたが、その目にしんけんな色がちらっときらめいた。
「それも場合によります。仕事の難易と、依頼者の資産から割り出すのです」
「すると、わたしの場合は?」
 たとえドアの外で家政婦が立ち聞きしていたとしても、ふたりの声はけっして聞きとれないほどの低さであった。
「篠田ですか、美与子夫人ですか」
「両方です。そのほかにもうひとりあります」
「あのまっくろな怪物ですか」
「そうです。あいつは、いったい、なんという名まえなんです」
「わたしにもわかりません。わたしが会ったときには佐川春泥という小説のほうのペン・ネームを使っていましたが、そのほかに速水荘吉、鮎沢賢一郎、綿貫清二など、いろいろの名を持っています。住所もそれぞれ違いますし、名によって、顔つきまで変わってしまうのです。変装の名人です」
「そんなやつが、きみの手におえますか。それに、その男はきみの会社の顧問のようなことまでやった関係がある。それでもやっつけることができるのですか。商売上の徳義というものもあるでしょう」
 それを聞くと、小男はニヤリと笑った。ふてぶてしい笑いだった。
「あいつは、先方からわれわれを捨てて逃げたのです。今は何の縁故もありません。ああいうやつを敵に回せば、おおいに張り合いがあるというものですよ」
「それで、報酬は?」
「三人ともこの世から消せばいいのでしょうね。そして、それがあなたにはっきりわかればいいのでしょうね。消し方についての特別のご注文はないのでしょうね。それによって報酬がちがってくるのです」
「注文をつけないとしたら?」
「あの黒い怪物だけは別です。普通の場合の数倍いただかなければなりません。最低二千万ですね。ほかのふたりは、三百万円ずつでよろしい。むろん、仕事が成功して、その結果をあなたが確認したあとで、お払いになるのです。着手金などはいただきません」
「あとになって支払わない場合はどうなさる?」
「ハハハ、それは少しも心配しません。依頼者その人を消してしまうからです。つまり、いのちが担保ですよ。どんなばくだいな報酬でも、いのちには替えられませんから、けっきょくは支払うことになるのです。今までにもそういう例がいくつかあります。この事業は、けっして報酬を取りはぐる心配がないのです」
 かれらのあいだの丸テーブルの上には、良斎がさっきからちびちびやっていたウイスキーびんとグラスがあったが、良斎はそのとき、立っていって、飾りだなからもう一つグラスを出してきて、須原の前に置いた。
「一杯いかがです」
 と、びんの口をとると、小男は舌なめずりをして、グラスを手にした。
「目がないほうです。しかし、このグラスなら三杯ですね。それ以上はやりません。酔うからです。酔っては商談にまちがいがおこります」
「じゃ、乾杯しましょう」
 二つのグラスがカチンとぶっつかり合った。
「ご依頼しました。三人とも消してください。そして、その確証を見せてください。幾日ほどかかりますか」
「ふたりは一カ月もあればじゅうぶんです。しかし、あの黒いやつは、その倍も見ておかなければなりません。まず全体で二カ月というところでしょうね」
「よろしい。それじゃ約束しましたよ」
 良斎はそういって、ぐいとウイスキーを飲みほすと、さも楽しそうに笑いだすのであった。

 

轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: