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宇宙の声(07)

时间: 2018-01-06    进入日语论坛
核心提示:おそるべき植物 キダはベータ星の基地と無電で連絡し、いままでのことを報告した。なぞの電波はオロ星人のデギの救助信号であっ
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おそるべき植物
 
 
 キダはベータ星の基地と無電で連絡し、いままでのことを報告した。なぞの電波はオロ星人のデギの救助信号であったこと、そのオロ星では、大変な事件が起こっていることを話してから、
「どうしましょう、なんとかしてあげたいものですが……」
 と、聞いた。基地の長官は命令した。
「気の毒なことだが、どうしていいのか見当もつかない。そのオロ星へ行って、くわしく調べてみてくれ」
「はい、そうします」
 みなは夜になるのを待ち、不時着したデギの宇宙船を見にいった。近くの谷間にあった。故障していて飛べないが、小型で、なかなかよくできていた。ミノルとハルコは、なかに入り、デギにいろいろと質問した。
「これはなんなの……」
「頭で考えたことが、すぐ文字となって記録される装置です」
「では、これは……」
「髪の毛をかってくれる装置です。こっちのは、水を使わずに、からだをきれいにする空気シャワーです」
「すごいな……」
 と、みなが感心するなかで、プーボはつまらなそうに言った。
「便利な装置がたくさんできると、わたしなど、いらなくなってしまいますね」
 それをデギがなぐさめた。
「そんなことはありません。このなかの必要なものを、あなた方の宇宙船に運ばなければならないのですよ」
「わたしにおまかせください」
 プーボの働きで、その仕事はすぐにすんだ。プーボはそのほか、標本用にと、この星の鳥の卵を六つほど集めてきて積みこんだ。そして、宇宙船は出発した。
 オロ星をめざす宇宙船のなかで、ミノルもハルコも、デギにいろいろなことを聞いた。デギは答えてくれたが、心配そうな顔つきをつづけていた。自分たちの星の運命が気になってならないのだろう。
 そのうち、デギは操縦席のキダに言った。
「針路を少し右にとってください」
「なぜですか。それだと、遠まわりになってしまうでしょう」
「行きに遠くから観察しただけですが、よさそうな星があったのです。それをたしかめておきたいのです」
「そうですか。いいですとも」
 宇宙船はその星をめざし、やがて近づいた。キダは上空からながめて言った。
「変な星ですね。海もあり、川も流れている。スペクトルで調べると酸素もある。それなのに、草一つなく、生物はまったくいないようです。荒れはてて、さびしい景色です。なんで、こんな星に興味があるのですか……」
「もし、わたしたちがあのおそるべき植物に勝てなければ、どこかに移住しなければなりません。その場合を考えたのです。移住は大事業ですが、生きのびるためには、いざとなればしかたありません」
 星の住民の全部が引っ越しをするのだ。そして、ここに第二のオロ星を作りあげる。さぞ、大変だろうな、とキダは思いながら言った。
「着陸してよく調べましょうか」
「いや、それより早く行きましょう。水と酸素のある星とわかればいいのです」
 と、デギは答えた。
 宇宙船はオロ星へと針路を変えた。
 宇宙船は飛びつづけ、オロ星の月へと着陸した。空気はなく、岩ばかりだ。ドーム状の建物がいくつも並び、なかではオロ星の人々が、いそがしそうに働いている。
 ドームから迎えに出てきた人にデギが言った。
「植物を退治する方法が見つかったか……」
「それが、まだなのだ。植物はふえつづけている。しかし、デギが協力者を連れて帰ってきてくれたので、ほっとしたよ」
 デギは地球人と会ったいきさつを話し、みなを紹介した。キダはあいさつした。
「できるだけの協力はしますが、あまり期待されても困ります」
 みなは、ドームのなかに入った。月の基地の人たちは、喜んで迎えてくれた。しかし、歓迎会などしているひまはない。だれも植物との戦いが第一なのだ。
 基地には、オロ星にむけられた大きな望遠鏡がある。みなはそれをのぞいてみた。地上には、デギの話のとおりの、おそるべき光景があった。
 むらさき色の葉をした植物が、各地にひろがっている。町にはだれも住んでいない。とがった塔や、丸い屋根や、美しい道路を持った町も、植物に侵入されてしまったのだ。
 くだものの林は枯れ、畑にはなにも育っていない。かつて牧場だったらしい場所には、植物にやられた動物の骨が散らばっている。
 川にかけられた橋にも、植物がからみついていた。それだけでなく、たくさんのつるが引っぱっているらしく、丈夫そうな橋がゆれていた。つるは鋼鉄のように強いらしい。
 見つめていると、ついに橋はこわれ、水の中に沈んでいった。ミノルはデギに言った。
「あの植物は、なぜ橋をこわしたりするのでしょう?」
「どうやら、オロ星を自分だけのものにしたいらしいのです。つまり、自分以外のものは、すベて敵というわけなのでしょう。だから、おそろしいのです」
 そばにいた基地の人が、説明を加えた。
「じつは、少し前に総攻撃をやってみたのです。ナイフ弾ともいうべきものを作り、たくさん発射しました。刃のついたままで、植物をずたずたにしようとしたのです」
「戦果はどうでしたか……」
「植物は弱りかけたが、すぐに勢いをとり戻しました。それどころか、ナイフと同じ成分、つまり鉄の製品に対して、あのように怒ってあばれるようになりました」
 望遠鏡で別な場所をながめると、そこでは高いアンテナが引き倒されていた。この調子だと、コンクリート製の弾丸で攻撃すると、ビルをこわしはじめるかもしれない。
 デギはなかまに聞いた。
「ほかの星々へむかった連中から、いいしらせはないのですか」
「あまり、たいしたことはありません。文明の低い星では、おたがいどうし戦っていて、協力してくれません。文明の高い星の住民には、芸術が好きで気が弱いのが多いようです」
「つまり、だめなのですか」
「いえ、スロンという星にむかった者は、そこで冷凍砲をかりるのに成功したようです。まもなくとどくはずです」
 ミノルとハルコは言った。
「それで退治できればいいですね」
 オロ星の海の底では、住民たちが眠っているのだ。早く地上に出してあげたい。
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