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竹取物語(口語訳)07

时间: 2018-01-06    进入日语论坛
核心提示:七、つばめの|子《こ》|安《やす》|貝《がい》 さて、|中納言《ちゅうなごん》の|石上《いそのかみ》の|麻《ま》|呂《ろ
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七、つばめの|子《こ》|安《やす》|貝《がい》
 
 
 さて、|中納言《ちゅうなごん》の|石上《いそのかみ》の|麻《ま》|呂《ろ》|足《たり》は、家で働いてくれている男たちに、命令を伝えた。
「つばめが巣を作ったら、すぐに知らせてくれ」
 男たちはふしぎがり、やってきて、口ぐちに聞いた。
「なんのために、そんなことを」
「つばめの持っている、子安貝を取るためだ。それが、ぜひ欲しい」
 かぐや姫が、それを中納言に望んだのだ。とにかく、はじめなくてはならない。男のひとりが言った。
「わたしは、つばめを何羽か殺し、腹をさいてみましたけど、見たことはありません。しかし、子を|生《う》む時には、そばにあるのかもしれません。どこから持ってくるのか、見当もつきませんが」
「殺したとは、ひどいことをする。安産のききめのある貝だから、出産の時にそばにあるとは考えられるな」
 中納言がうなずくと、べつな男が言う。
「人が見ようとすると、貝をかくしてしまうという話もあります」
 また、べつな男が言う。
「朝廷のなかの、穀物の倉庫。そのそばの、食事を作る建物の|軒《のき》|下《した》に、つばめがたくさん巣を作っています」
「そんなに多いか」
「はい。身のこなしのいい者をえらんで、ハシゴのようなものを作って、のぼらせたらどうでしょう。つばめの数は多い。たまたま、子を生む時にめぐりあうこともあるでしょう。のぞいて、そうとわかったら取ってくればいいと思います」
 名案のようだと、中納言は喜んだ。
「すばらしい方法を考えついてくれた。わたしは、現実的な計画を立てるのが|苦《にが》|手《て》でねえ。感心したぞ。すぐ、とりかかろう」
 仕事熱心らしい男を二十人ほどにその役を命じ、ハシゴをいくつも用意させた。ご自身は家にいて待ったが、早く手にしたい気分は押さえられない。
「子安貝は、手に入ったか」
 と何回も、ようすを見に行かせる。そのたびに、男たちがハシゴの位置を変え上り下りする。おかしな動きだし、目立つし、見物人もやってくる。つばめは、巣に寄ってこなくなる。
 その報告では、命令の出しようもない。
「それは困ったな。しかし、どうしたものか」
 いらいらしていると、その倉庫や建物をまかされているお役人、|倉《くら》|津《つ》|麻《ま》|呂《ろ》という老人がやってきた。倉のじいさんとの意味か。
「妙なさわぎなので、聞いてみると、こちらのご命令とか。あれじゃ、だめです。みっともないし、笑ってる人もいる。わたしの意見をお聞きになって下さい」
「そうか。ぜひ教えてほしい」
 中納言は、近くに呼び寄せ、低い声で話し合った。倉のじいさんが言う。
「つばめの子安貝となると、やりかたがあるのです。二十人もの男が、ハシゴを上下し、少しずらして、またのぼって巣をのぞきこむ。その光景をお考え下さい」
「子を生むどころではないな」
「ハシゴを片づけ、男たちを引きあげさせる。人数は、忠実な男ひとりでいい。それを大きな|籠《かご》にのせ、それは|綱《つな》でつりあげられるようにしておく。そして、子を生みそうな巣をねらう」
「上げる方法は」
「ハシゴを組み合せ、その上に滑車をつけ、綱で引きあげるのです。やはり、あと四人はいりますな」
「それより、子を生みそうと、どうすればわかるのか」
 中納言が聞くと、倉のじいさんは言う。
「つばめが尾を上にむけて、からだを七回まわします。そのあとすぐ、子を生む。ですから、動きを目にしたら七回目にまにあうよう、|籠《かご》をつりあげ、乗っている人に取ってもらうのです」
「そうか、いい方法のようだな」
 その命令は出され、大部分のハシゴは片づけられ、人数もへって静かになった。
 ハシゴを組ませ、籠に乗った人を引きあげる練習もはじめさせた。倉のそばでそれを見ている中納言は、成功まちがいないという気分になった。
 それというのも、倉のじいさんがいい案を教えてくれたからだ。お礼をしなければならない。そこで、呼びかけた。
「わたしの部下でもないのに相談に乗ってくれて、ありがたい。これをさしあげよう」
 自分の着物をぬいで、手渡した。
「おそれ入ります。早く終ってもらいたいためでもあったのですが」
「夕方に、ここへ来てくれないか。いい指示をしてほしいし」
 やがて、日が暮れてきた。倉のかげからのぞくと、つばめが巣を作っている。なかに、尾をあげてまわるのもいる。
 そこで、籠を引き上げさせる。乗っている男は、巣に手を入れる。|中納言《ちゅうなごん》は、下から聞く。
「あったか」
「ありません」
 尾の動きは、話の通りだ。子を生んだにちがいない。それなのに、貝がないとは。だんだん、がまんできなくなった。
「おまえの、さがしかたが悪いのだ。あるような気がするのだが……」
 乗る者を交代させようと見まわしたが、こうなったら、自分でやるのが最良だろう。
「……よし、わたしが乗る」
 そのうち、また尾をあげてまわるのを目にした。あれだとばかり、中納言は籠に乗って上へ。巣に手を入れる。手のひらに、なにかをつかんだ。
「おい、なにかがあった。倉のじいさん、うまくいったぞ。さあ、おろしてくれ」
 それを聞き、男たちも、ついにやったかとほっとする。気がゆるんだ。綱をゆるめなくてはいけないのに、あわてて引っぱる者もいた。そのため、綱が切れた。
 下には、穀物倉にゆかりのある大きな|釜《かま》があった。そこへ、あおむけに落ちた。人びとがかけよって、かかえ起す。
 気を失い、目は白い部分だけしか見えない。水をくんできて、口に入れ、背中をさすったりする。なんとか、息を吹きかえし、手足を動かした。
 その中納言のからだを、釜からおろし、地面に横たえる。苦しそうだ。
「いかがですか、ご気分は」
 そう聞くと、かすれた声で言った。
「気はとり戻したが、打ちどころが悪かったのか、腰が動かない。それより、子安貝だよ。ちゃんと手のなかにある。少しぐらいの苦痛は、この満足さで消えてしまう。なにかに火をつけ、あかりとしてくれ。それを、この目で見たいのだ」
 頭をあげて、手のひらをひろげる。あかりに照らされたそれは、つばめの古いフンだった。それを見て、中納言はがっかり。
「貝はなしか」
 むなしい結果。
 努力のあげく、なにも得られない。家に運ばれ、寝たままの日常。腰をやられて、立てないのだ。衣服の出し入れもできない。
 姫にとどけるための箱も用意してあったが、フンを入れるわけにいかない。これだけの苦労をしたと伝えたくても。
 ばかげたことをやって、こんな症状になってしまった。人にも話せないし、知られるとみっともない。
 気にすると、ますます弱まってゆく。弱まると、わが身があわれに思え、さらに沈んだ気分になる。
 かぐや姫は、このことを知り、なぐさめの和歌をとどけた。
 
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 年を|経《へ》て浪立ちよらぬ|住《すみ》の|江《え》の
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 まつかひなしと聞くはまことか
[#ここで字下げ終わり]
 
 ごぶさたですが、いかがなさっておいでですか。おたのみした貝を待っても、むだというわけですか。この住の江とは、松の名所で、言葉のあそび。
 
 そばの人が読んであげると、中納言は弱っている気分を振りしぼり、苦痛をしのんで頭を|枕《まくら》からあげ、手伝ってもらって、紙に歌を書いた。
 
[#ここから1字下げ]
 かひはかくありけるものをわび果てて
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 死ぬる命を救ひやはせぬ
[#ここで字下げ終わり]
 
 貝はだめでしたが、思いがけず和歌をいただけました。やってみたかいはあったのでしょう。せめて、一目でもお会いできれば、死んでしまうわたくしへの、大きな救いになりますのに。
 
 書き終えると、息が絶えてしまった。そのことを聞いて、かぐや姫は少し同情なさった。これは前例のないことで、人びとのなかには「やっただけの、かいはあった」と言う人もいた。
 |甲《か》|斐《い》があったと書くが、もとは“|効《かい》”だったようで、このほうが意味が通る。
 子安貝は買うわけにいかず、名案をかいかぶって、かいがいしく動いてみた。つばめの飛ぶのをかいくぐったが、失敗。姫をかいまみることなく、人生に幕。
 
 
 ちょっと、ひと息。
 どうも、うまくいきませんな。
 この人物の特色は、他人の意見をつぎつぎに求め、よりよい意見があると、それを試みる。最後には、自分で確認しようとする。経営学のはじまりみたいだ。
 横道にそれるが、つばめについて書いておく。漢字だと燕。妙な字だ。昔は神秘的な鳥とされていた。
 暖かくなると出現し、秋になるといなくなる。渡り鳥と知らない人たちは、どこに消えるのか、ふしぎがった。木の穴にかくれるのかと思った人もいた。中国には、泥の中で春を待つとの説もあった。
 地上にはめったにおりず、飛び方の早さ、害虫を食べて農作を助けてくれる。子安貝とは、安産のおまもりだが、つばめのとなると、一段とありがたい品なのだろう。
 子を生むと、何ヵ所も書かれている。なぜ卵でないのか。その区別は、なかったのかもしれない。
 この部分の物語の面白さは、自主性のない人物と、その部下の男たちの、ドタバタにあるのは、すぐにわかる。しかも〈かいがない〉のしゃれで、死んでしまうのだ。無責任に物語を聞いていれば、中納言でも失敗だったなで終り。
 しかし、当人にとってはね。ついに死者が出たのだ。その立場になれば、悲劇そのものだ。会った人でないからむりもないが、姫は「少し」同情しただけ。
 この冷血の女めと言いたいとこだが、勝手に思い込んで、そのあげく死んだのだ。のちの時代には、主義、信念、時には目立ちたがりで死ぬ人も出る。死について考えさせますね。
 これで、五人はすべて失格。読むほうは、なんだかものたりない。作者たるもの、その期待に応じなければならない。前の男は、海で死にかけ、今回は現実に死んでしまった。この手法は行きついた。
 同じことのくりかえしでは、この先をついてきてくれない。話を作るのは、楽じゃないのだ。日本最初の物語だから、参考になる本があるわけじゃない。
 しかし、そんなことは、覚悟の上だ。むろん、作者はそう思っていただろう。一転し予期しなかった人物を登場させる。
 その人とは。
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