日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 星新一 » 正文

まぼろしの星(01)

时间: 2018-01-06    进入日语论坛
核心提示:歌うハト モリ・ノブオは少年だった。日曜日には犬のペロをつれて公園へやってくる。そこで午後をすごすのだった。 ふつうの子
(单词翻译:双击或拖选)
歌うハト
 
 
 モリ・ノブオは少年だった。日曜日には犬のペロをつれて公園へやってくる。そこで午後をすごすのだった。
 ふつうの子供なら、お父さんといっしょに遊ぶだろう。この公園にも親子連れの人が、たくさんきている。しかし、ノブオのお父さんは、半年ほど前から地球を留守にしているのだ。ガンマ星にある宇宙基地へ仕事で出かけ、あと三ヵ月ぐらいしないと帰ってこない。
 お母さんも、一日じゅうノブオの遊び相手になってはくれない。しかたがないので、学校の休みの日には、ペロと公園へきてしまうのだ。
 公園には、たくさんのハトがいる。ノブオはベンチに腰かけ、ぼんやりながめていた。
 その時、どこからともなく、小さな歌声がした。人と話でもしていたら、聞きのがしてしまうところだ。
「ぼくはハトだよ、ハトポッポ、青いお空を飛んでゆく……」
 だれが歌っているのかと、ノブオは、あたりを見まわした。しかし、近くには、それらしい人もいない。歌声は、ハトのむれのなかから聞こえてくるようだった。
「ハトが歌っているのかな……」
 注意してよく見ると、ほんとうにそうだった。ほかのハトは、ポウポウとかクウクウとか鳴いているのだが、なかで一羽だけ、歌いながらそれにあわせて首を振っているのがいた。ノブオは驚き、あまりのふしぎさに声を出した。
「おい、ペロ。歌っているハトがいるぞ」
 しかし、それは言わないほうがよかった。ペロは、むくむくした感じの小さな犬で、とてもかわいいのだが、すぐにほえたがるのだ。
 ペロはハトのむれにむかって、勢いよくワンとほえた。ハトたちは、いっせいに飛び立ち、空に舞い上がってしまったのだ。そっと近づけば、つかまえることが、できたかもしれないのに。だが、ノブオは歌うハトから目をはなさなかった。そのハトは、ほかのにくらべ、飛び方もどこか変っている。
 ずっと見つめていると、そのハトは一羽だけなかまから離れ、少しむこうにある高いビルの、三十階の窓のひとつに飛びこんでいった。これは、どういうことなのだろう。
「変だな、いまのハト。よし、なぞをつきとめてやろう」
 ノブオはペロを連れて、そのビルヘと歩いていった。ペロは小さいので、だいていれば受付けの人も文句をいわない。エレベーターに乗り、三十階でおりた。
 ドアを数えながら、ろうかを歩く。外から見て、おぼえておいた窓の部屋は、はじから十番目だ。
 胸がドキドキする。
「いいか、ペロ。ここで待っているんだぞ」
 それからノブオはベルを押した。このなかへ入ると、あの歌うハトの秘密がわかるはずだ。まもなく、ドアがゆっくりと開いた。なんだかこわいような気もしたが、ここで帰るのもしゃくだ。部屋のなかは暗く、一歩入ると、変なにおいがした。
「ふしぎなところだなあ……」
 ノブオがつぶやくと、うしろでドアが音をたててしまった。
 ノブオがはっと思ったとたん、そこでは信じられないようなことが起こっていた。
 あたりは宇宙だったのだ。たしかに、いまドアから部屋のなかへ入ったはずだ。しかし、理屈ぬきで、ここは宇宙のただなかなのだ。上も下もない、はてしない宇宙なのだ。どこを見ても、数えきれぬ星が、光っている。白、赤、青、さまざまに光っている。振りむいても、そこにはドアもない。やはり遠くまで星が散ってしまっている。そして、自分のからだは無重力となって、そのなかにポツンと浮いているのだ。
「なぜ、こんなことになったのだろう……」
 ノブオは考えようとしたが、頭のなかがめちゃくちゃになったようで、さっぱりわからない。また、考えるひまもなかった。
 その暗い宇宙のなかに、どこからともなく、銀色にぼんやりと光る変なものが現われたのだ。いつか水族館で見たクラゲのような感じだが、とても大きい。象ぐらいある。それが、ゆらゆらと動き、たくさんの足をふるわせながら、こっちへやってくる。ノブオは、逃げようとして手足を動かしてみたが、だめだった。地面の上ならかけだすこともできるのだが、無重力だと、そうもいかないのだ。
「ぼくはなにもしないよ、仲よくしよう」
 呼びかけてみたが、相手には、通じない。おばけクラゲは、すぐそばまできた。ノブオは決心した。あくまで戦ってやろう。むざむざやられてたまるものか。さあ、こい……。
 にらみつけていると、クラゲの足の一本がのびてきて、からだにさわった。べっとりとしてつめたく、ぞっとするようないやな感じだった。だが、ノブオはそれにかみついた。
 しかし、相手は、たくさんの足を持っている。一本にかみついただけではこたえない。ほかの足も、つぎつぎとノブオにからみついてきた。
「やい、離せ」
 もがいてもだめだし、ますます動けなくなる。ノブオは苦しがっているうちに、いつか気を失った……。
 
 気がついてみると、ノブオは|長《なが》|椅《い》|子《す》の上に横になっていた。そばで声がした。
「目がさめたようだね。どうだい、気分は……」
 顔をあげてみると、そばには五十歳ぐらいの男がいた。髪の毛にちょっとしらがのある、学者のような感じの人だ。また、そのそばには二十歳ぐらいの女の人が立っていた。やはり頭のよさそうな人だ。ふたりとも宇宙で働く人の制服を着ている。部屋のなかには、机があり、椅子があり、壁にはコンピューターがあった。宇宙や怪物はどこにもいない。ノブオは起き上がって言った。
「ペロはどこです。ぼくのペロは……」
「ああ、犬のことね。心配ないわよ。ほら、ここにいるわよ」
 女の人は床からペロをだきあげ、渡してくれた。たしかにペロだ。
「いったい、ここはどこなんです。ぼくはどうしたんですか」
 こんどは男の人が答えてくれた。
「ここは、きみが入った部屋の、となりの部屋なんだよ」
 窓の外を見ると、ハトのいた公園が下のほうに見えた。しかし、わからないことだらけだ。
「だけど、さっきドアを入ったら、そこには宇宙があったんですよ。ほんとうなんです。そこでクラゲのようなやつと戦って……」
「わかっているよ。さぞ驚いただろう。あれはみんな薬の作用だったのだよ。部屋の空気のなかに薬がまぜてあり、それを吸うと、すぐ無重力の宇宙にいる夢を見る。また、クラゲ怪物と戦う夢もだ……」
 ノブオは、変なにおいを吸いこんだことを思い出した。あれが、その薬のにおいだったのか。そういえば、真空の宇宙で声を出せたのもふしぎだった。でも、びっくりしたなあ。
「だけど、なんでそんなことをしたのです。そうとわかっていれば、もっと楽しめたのに。それから、歌うハトは、なにか関係があるのですか」
 なにもかも、ふしぎなことばかりだ。男の人はまじめな顔になって話しはじめた。
「わたしは、ガンマ星の基地の副所長のフジタです。ある事情で、基地で人をふやさなければならなくなった。しかし、宇宙はきびしいところだ。遊び半分の人間では、なんの役にも立たない。そこで、ひそかに試験をしてから採用する方針をたてた」
 そのあと女の人が言った。
「ロボットのハトがそうなのよ。小さな声で歌うハトなの。それに気がつくかどうかで、注意ぶかさがわかる。気がついたとしても、自分の耳や目に自信のない人は、気のせいだろうと、そのままにする。そんな人は、みんな落第なのよ」
「ロボットのハトだったのですね」
「ええ。つぎに、ハトの行先をたしかめ、正体をつきとめようとする性質でないとだめ。でも、注意力と視力がよくないと、この部屋とまではわからない。だから、ここへやってくる人は、いままでほとんどなかったのよ」
「薬で宇宙の夢を見させるのは……」
「どんなことにもたちむかう勇気があるかどうかの試験なのよ」
 ノブオは、からだをのりだして聞いた。
「それでぼくはどうなんですか。合格なのですか」
 フジタ副所長は言った。
「合格だ。われわれがつくった問題に、すべてパスしたことになる。しかし……」
 そして、困ったような顔になった。女の人が口を出した。
「あたしたちが期待していたのは、もっと年上の人だったのよ。あなたは、若すぎるわ。あ、まだ名前を言ってなかったわね。あたしは、ミキ・ユキエ。やはり、ガンマ基地の隊員なの」
 若すぎると言われ、ノブオはがっかりした。だが、ガンマ基地の人とわかり、たずねてみた。
「じゃあ、ぼくのお父さんをご存知でしょう。ぼくはモリ・ノブオといいます。元気かどうか教えてください。このところ手紙がこないんです」
 フジタ副所長は、ミキ隊員と顔を見合わせ、暗い表情になりながら言った。
「そうか、きみがモリ隊員のむすこさんだったのか。そうとは知らなかった。じつは話しにくいことなんだが、モリ隊員は、ある任務をおびて、基地を出発した。しかし、いまだになんの連絡もないのだよ。まだ、だめときまったわけではないのだが……」
 ノブオは心のなかで、なにかが火のように燃えはじめた。空のかなた、どこかの星で、いまお父さんがさまよっているのだ。
「ぼくを宇宙で働かせてください。お父さんをさがす手伝いをしたいのです。なんでもやります。苦しくても文句は言いません」
 ノブオの輝く目を見つめていたフジタ副所長は、うなずいて言った。
「よし、きみならやれそうだ。ほかの人とは意気ごみがちがう。しかし、宇宙は、決して安全なところではないのだよ。その覚悟だけは、してもらわなければならない」
「わかっています。いったい、ガンマ基地ではなにが起こっているのですか」
「くわしいことは、ガンマ星へ行く宇宙船のなかで話そう。原因不明の変なことが起こっているのだ。それを調べるために、何台もの宇宙船が基地を出発していったが、連絡を|断《た》ったきりのが半分だ。なかには帰ってきたものもあるが、その乗員たちは記憶を失っていて、報告にならない。きみのお父さんは、まだ帰ってこないほうだ」
「ぼくは、きっとやりとげてみせます」
 フジタ副所長は、ノブオの家までついてきた。お母さんはノブオの熱心さに負け、宇宙へ行くのを許してくれた。
 三日後、ノブオは空港から宇宙船に乗り、ガンマ星へと出発した。フジタ副所長も、ミキ隊員もいっしょだ。許可をもらってノブオはペロを連れてきた。
 
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%