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十六 行進! 行進!(1)

时间: 2024-07-30    进入日语论坛
核心提示:十六 行進! 行進! 帰途アマゾン流域の人々が示した親切と歓迎に対する感謝の念をここに書きとめておきたい。とりわけ途中い
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十六 行進! 行進!
 帰途アマゾン流域の人々が示した親切と歓迎に対する感謝の念をここに書きとめておきたい。とりわけ途中いろいろと便宜をはかってくれたペナローサ氏をはじめとするブラジル政府役人の諸氏、その必要を見越して、文明世界に仲間入りしても恥かしくないような衣服一式を用意しておいてくれたパラの町のペレイラ氏に対して、深甚なる感謝の念を禁じえない。道々示された好意に対する返礼として、こうした恩人たちを失望させなければならないのはなんとも心苦しい次第だが、事情が事情だからそれもやむをえない。われわれの探検のあとをたどろうとしても時間と金の無駄だということをここでお断わりしておく。報告書の中では地名まで変えてあるから、いかに綿密にそれを研究してみたところで、われわれの土地から千マイル以内にさえ近づくことは、おそらく、だれにもできまいと思う。
 われわれの通り道にあたる南アメリカの各地でひきおこされた熱狂ぶりは、純粋に局地的なものだと思っていたから、われわれの探検のニュースがヨーロッパ全土にまで大騒動をひきおこしているとは、正直言って夢想だにしていなかった。ところが、われわれの乗っている『イベルニア号』がサウサンプントンから五百マイル以内に近づくころ、新聞社や通信社から、探検の成果をほんの数行でも知らせてくれれば、莫大な報酬を支払うという電報が続々と舞いこんできはじめたので、科学界のみならず一般の関心がいかに高まっているかを知った。しかしながら、われわれは動物学会の会員と会うまでいかなる新聞にも声明を発表しないことを申し合わせていた。動物学会から派遣されたわれわれとしては、調査を委任した機関に最初の報告をおこなう義務があると考えられたからである。
そんなわけで、サウサンプトンには新聞記者が大勢待ちかまえていたにもかかわらず、われわれは声明をきっぱり断わった。その結果当然の成行きで、一般の関心は十一月七日夜に予定されている集会に集中した。この集会のためには、われわれの任務の発端の地であった動物学会ホールがあまりにも狭すぎるということで、かわりにリージェント?ストリートのクィーンズ?ホールが会場と決まった。主催者側がアルバート?ホールに口をかけたとしても、それでもなお狭すぎることを、今ではだれでも知っている。
 集会の期日はわれわれの帰国後二日目の晩に当たっていた。最初の晩は、各人それぞれさし迫った個人的な用事があるに違いないからである。わたし自身の用事については今のところは話せない。もう少し時間がたてば、もっと冷静に考えたり話したりすることができるようになるだろう。この物語の冒頭で、わたしをこのたびの行動に駆りたてた原動力がなんであったかを、読者諸氏に示しておいた。とすれば、やはり物語を結ぶにあたってその結果を報告すべきだろう。そして、いずれはそうせざるをえない時がくるかもしれない。少なくともわたしはある力に動かされて驚くべき冒険に参加した。その力に対して感謝の念を抱かずにはいられない。
 さて、いよいよわれわれの冒険の、波乱に富んだ最後にして最高の瞬間について語るときがきた。それをどのように描写すれば一番いいかと頭を悩ましているわたしの目の前に、わたしの友人で同僚でもあるマクドナ記者の手になるすぐれた詳報を掲載した十一月八日のわが社の朝刊がある。見出しまで含めてその全文を書きうつすのが、結局最上の方法ではないだろうか? 正直なところこの探検に特派員を派遣した企業の英断を売り物にするあまり、いささか手前味噌の感じがなくもないが、さすが報道の詳しさにおいては他社を足もとにも寄せつけない感じである。わが友マックはつぎのように書いている。
新世界
クィーンズ?ホールにおいて大集会
大騒動おこる
異常な出来事
あの物の正体は?
リージェント?ストリートの夜の騒乱
(特別記事)
「昨年、先史時代の動物が今もなお南アメリカ大陸に存在しているというチャレンジャー教授の報告の真偽を確めるべく、動物学会によって調査委員会が同大陸へ派遣された。その問題の報告会が昨夜大クィーンズ?ホールにおいて開催されたが、参集した何人も忘れえぬほど異常でセンセーショナルな雰囲気の中で会合が進行したという意味で、まさに科学史上記念すべき一日となるだろう」(わが同業のマクドナ君、なんという物々しい書きだしだろう!)「入場券は動物学会員とその知人のみに制限されていたはずだが、この知人というやつがはなはだつかまえどころのない表現で、開会予定の八時よりはるか前から、大ホールは立錐りっすいの余地もないありさまであった。しかしながら、閉めだしをくったことにいわれのない不満を抱く一般大衆が、八時十五分前に入口へ殺到したため、かなりの時間混乱が生じ、不幸にして脚を骨折したH管区のスコーブル警部を含めて、数人の怪我人まで出る始末であった。この不当な侵入者たちが、そこかしこの通路のみならず新聞記者席にまで詰めかけた結果、推定約五千人の聴衆が探検隊の到着を待つことになった。ようやく姿を現わした一行四人は、わが国はおろかフランス、ドイツの指導的科学者までがずらりと居並ぶ演壇の最前列に席を占めた。スウェーデンからもウプサラ大学の有名な動物学者セルジウス教授が出席していた。四人の英雄の登場をしおに、全聴衆が立ちあがり、盛大な歓迎の拍手が数分間つづいた。しかしながら、注意深い観察者ならば、拍手に混じって反対分子もいることに気がつき、この集会がかならずしもなごやかな雰囲気ではなく、むしろ荒れ模様であると推測したことであろう。ただし、あれほど意外な発展を予想した人物は一人としていなかったに違いない。
 四人の探検家の風貌については多言を要すまい。彼らの写真がかなり前から各紙をにぎわしているからである。ただ、伝えられるごとく数々の困難を乗り越えてきた様子が、その風貌からはほとんど感じられない。おそらく出発のときにくらべてチャレンジャー教授のひげは手入れがゆきとどかず、サマリー教授の顔はより禁欲的で、ジョン?ロクストン卿はいっそう痩せており、三人とも黒く陽にやけてはいるようだが、それぞれ健康状態は申し分なさそうに見える。わが社の特派員で、国際的なラグビー?プレイヤーである有名な運動家E?D?マローンに関して言えば、髪の毛一筋乱れたところはなく、聴衆を見わたすその正直で素朴な顔には、上機嫌な満足の微笑が浮かんでいた」(わかったよ、マック、二人だけになったら承知しないぞ!)「やがて拍手の嵐もしずまり、聴衆がふたたび腰をおろすと、議長であるダーハム公爵が立って話しはじめた。『わたしはここに参集した大聴衆と、彼らの目の前にあるごちそうの間に割りこんで、長ったらしい演説をおこなうつもりはありません。委員会の代表であるサマリー教授がどのような報告をなさるかをあれこれ臆測するのは議長の役目ではないが、このたびの探検がまれに見る成果をあげたということは、広く世間で取沙汰されております』(拍手)『明らかにロマンスの時代はまだ死滅していなかったのであり、小説家の途方もない空想が真理探究者の科学的調査と一致する接点が現実に存在したのであります。最後につぎの一言を述べて、前置きを終わりとしたい。すなわち、議長および全聴衆は、四人の方々が、困難にして危険な任務を果たして無事帰国されたことを、心から喜ばしく思うものであります。なぜならば、この種の探検に万一事故がおこった場合、動物学にとってはほとんどとりかえしのつかない損失だからであります』(嵐のような拍手、チャレンジャー教授もそれに仲間入りしていた)
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